ジャンル 現代社会と科学
中野校
国際正義論―貧困問題から軍事介入まで
福富 満久(一橋大学大学院教授、英王立地理学会フェロー(F.R.G.S.))
| 曜日 | 金曜日 |
|---|---|
| 時間 | 13:30~15:00 |
| 日程 |
全10回
・09月26日 ~
12月05日 (日程詳細) 09/26, 10/03, 10/10, 10/17, 10/24, 11/07, 11/14, 11/21, 11/28, 12/05 |
| コード | 330706 |
| 定員 | 24名 |
| 単位数 | 2 |
| 会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
| ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
本講座は、近年、国際政治で重要な課題となっている国際正義(グローバル・ジャスティス)について国際政治学、人間の安全保障論、政治哲学の三つの軸から光を当てることを目標とします。国際正義とは何でしょうか。単に戦争がない状態を指すのでしょうか?戦争が起きている場合はどうしたら良いのでしょうか?部外者が介入するべき法的根拠はどこにあるのでしょうか?戦争がなくても慢性的な飢餓や暴力にあえぐ国々がこの世界には存在しますが、それらを黙認しても良いのでしょうか。本講座ではこのような簡単に解けない問題を歴史的および実践的・理論的視点から理解できるようになることを目標にします。
講義概要
本講座では、近年、国際政治で重要な課題となっている国際正義(グローバル・ジャスティス)について国際政治学、人間の安全保障論、政治哲学の三つの軸から光を当てます。国際正義とは何か、部外者が介入すべき法的根拠はどこにあるのか、慢性的な飢餓や暴力にあえぐ国々が存在していることを黙認しても良いのでしょうか。大学での講義・国際正義論を中心に、国際社会の問題のあり様を前半では平常時の正義の分配、すなわち貧困問題や民主主義について歴史的な側面から、正義がどのように考えられ実践されてきたのかを論じていきます。後半では緊急時の正義の分配、すなわち紛争に対する軍事介入と人間の安全保障について深く考察していきます。
各回の講義予定
| 回 | 日程 | 講座内容 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 09/26 | 前近代、近代の平和思想 | 統治について、財産、権利、所有概念について ヨーロッパの私有財産に対する思想史 |
| 2 | 10/03 | 社会主義の挑戦 ソビエトとは何だったのか | 共産主義、ロシア革命 マルクス、レーニンの平等主義 恐怖政治と前衛政治 |
| 3 | 10/10 | ファシズム、ナチス、全体主義 | ファシズムの出現 ナチス(アウシュヴィッツの写真等) 全体主義の起源と余波 |
| 4 | 10/17 | 自由至上主義の問題と義務論 | あらゆる強制を排除する自由至上主義は正義を実現できるか ロールズの正義論 |
| 5 | 10/24 | コミュニタリアニズムと討議理論 | サンデルの共同体主義 ハーバーマスの討議理論その他 |
| 6 | 11/07 | 軍事介入の論理と保護する責任 | 軍事介入の手法と効果 保護する責任と国際社会の義務 |
| 7 | 11/14 | 平和構築と権力分有 | パワーシェアリングの手法 自治と多元主義その他 |
| 8 | 11/21 | イスラエル・パレスチナ問題と未来 | イスラエルとパレスチナ問題の背後にあるもの 歴史的経緯と実際(エルサレムの写真等) |
| 9 | 11/28 | 統治機構とガバナンスの重要性 | 制度と経済発展の関係 民主主義の実践と拡充など |
| 10 | 12/05 | 平和構築と人間の安全保障 | アマルティア・センの人間の安全保障論 マーサ・ヌスバウムの人間の幸福についてその他 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆開始時間にご注意ください。2025年度秋学期は13:30〜15:00となっています。
◆基本的にはパワーポイントを使用しながら、必要に応じて板書(補足説明)や資料配付します。
◆過去の講座内容と重なるところが一定程度ありますのでその点ご了承の上履修をお願いします。
◆歴史、政治制度、国際政治、人間の安全保障に関する本・名著なども講座内でご紹介します。
◆長い開講期間になります。受講者の理解度を考えながら進めて参ります。また筆者が訪れた紛争地の写真やアウシュヴィッツやエルサレムの写真などもご覧いただきます。気長にゆっくりと理解を深めたいという方に受講をお願いしたいと思います。
テキスト
テキスト
福富 満久『国際正義論』(東信堂)(ISBN:978-4798919416)
講師紹介
- 福富 満久
- 一橋大学大学院教授、英王立地理学会フェロー(F.R.G.S.)
- 早稲田大学政経卒。同大学院政治学研究科博士課程およびパリ政治学院国際関係学Ph.D.コース修了。博士(政治学)、Ph.D(国際関係学)。英王立地理学会フェロー(F.R.G.S.)、専門は国際政治・安全保障・中東問題。12年より一橋大学大学院社会学研究科准教授、15年より現職。15年〜16年カリフォルニア大学サンタバーバラ校 オルファレア国際問題研究センターリサーチフェロー、19年〜20年ロンドン大学キングス・カレッジ 戦争学研究科シニアリサーチフェロー。18年より防衛大修士・博士論文審査委員。最新著書に『国際正義論』(東信堂)、その他『国際平和論』(岩波書店)、『戦火の欧州・中東関係史』(東洋経済新報社)など。




