ジャンル 人間の探求

中野校

仏教思想入門 仏教的思惟の世界を探る

  • 秋講座

岩田 孝(早稲田大学名誉教授)

曜日 火曜日
時間 10:40~12:10
日程 全10回 ・09月30日 ~ 12月02日
(日程詳細)
09/30, 10/07, 10/14, 10/21, 10/28, 11/04, 11/11, 11/18, 11/25, 12/02
コード 330505
定員 15名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 39,600
ビジター価格 受講料 ¥ 45,540

目標

・アジアの文化圏の思想文化の中に仏教用語が入り込んでいることは少なくない。それらは大方の場合無意識のうちに受け入れられたものである。その結果、仏教的な思惟方法がアジアの人々の考え方の一つの基盤となっている。本講義では、そうした仏教的な考え方を知るための準備として、日常的に用いられている「諸行無常」「輪廻」などの仏教用語の本来の意味の理解を目標としたい。
・教理の理解のために必要な、文献の読み方や分析の仕方などについても学ぶ機会としたい。

講義概要

仏教思想の全体像を把握することは、初期仏教・部派仏教・大乗仏教の諸教理の理解から始まる。部派仏教の教理は、専門的な仏教用語を前提とする。大乗仏教は、その部派仏教を越えようとして深遠な教理を展開している。これらの教理は難解である。それに対して、初期仏教は現実の人間の生存にかかわる苦しみや煩悩についての捉え方を解り易く説明している。その教理は現代の我々の理性で十分に理解可能なものである。本講義では、仏教思想の入門として、『法句経』の「はげみ」などの章や仏陀の最後の旅を叙述した『遊行経』を読み、生きること、煩悩、苦と楽、常と無常、自我と無我などに関しての仏教の思惟方法について論じる予定である。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 09/30 初期仏教の聖典『長阿含経』の中の『遊行経』を読む―マガダ国での霊鷲山における釈尊の説法の描写  
2 10/07 仏陀の最後の旅を叙述した『遊行経』での記述―釈尊は霊鷲山において比丘衆1250人と共にいた  
3 10/14 大乗仏典『法華経』での記述―霊鷲山の説法では、阿羅漢、有学、無学、更には、釈尊の義母、菩薩、天、龍などがその座に共にいた  
4 10/21 阿闍世王からの釈尊への問い―隣国のヴァッジ族を征服することを是とするか否か  
5 10/28 釈尊からの答え―共和的政治を行うヴァッジ人に衰退しないための七つの法(七不退法)を既に教示した  
6 11/04 ヴァッジ人が遵守する七不退法―会議において物事を決め、協同して行動する、古老を敬い、霊的な場所を敬うなど  
7 11/11 不退法を仏教の修行者に対して説く  
8 11/18 初期仏教の仏陀観を大乗仏教の仏陀観と比較して考察する  
9 11/25 『遊行経』での釈尊の寿命―有限、クシナーラーにおいて八十歳入滅  
10 12/02 『法華経』での仏の寿命―如来の寿命は無限、如来は常住不滅  

テキスト

テキスト
中村 元『ブッダの 真理のことば 感興のことば』(岩波文庫)(ISBN:978-4003330210)

講師紹介

岩田 孝
早稲田大学名誉教授
1944年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科東洋哲学専攻単位取得満期退学。哲学博士取得(ハンブルク大学)。印度の六派哲学学派やジャイナ教と仏教との思想上での討論という視点から、仏教における認識論、存在論、論理学を取り扱う。著書に『Prasanga und prasangaviparyaya bei Dharmakirti und seinen Kommentatoren』(Universität Wien 1993年)。
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