ジャンル 世界を知る
中野校
【対面+オンラインのハイブリッド】中国の後宮 王朝をささえた内廷の歴史
加藤 徹(明治大学教授)
曜日 | 火曜日 |
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時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全5回
・10月28日 ~
11月25日 (日程詳細) 10/28, 11/04, 11/11, 11/18, 11/25 |
コード | 330314 |
定員 | 36名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 14,850 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 17,077 |
目標
・私たちが生きている今の時代がこのようになった理由を考える
・日本史と中国史という枠組みを取り払い、世界的な視野から東アジアを見直す
・歴史の予備知識がない人にも、身近なことから考える楽しさを体験してもらう
講義概要
国家は、国と家と書きます。中国の君主にとって、大臣や官僚とともに政治を行う外廷と、后妃とともに暮らす内廷すなわち後宮は、国家経営の両輪でした。外廷の政治は儒教とか科挙とか論理的な計画設計が可能であり、古代から近代にかけて改革と改良が試みられました。内廷すなわち後宮は、国家安定のため君主の男系子孫を安定供給する「宗族製造インフラ」でしたが、妊娠という偶然に左右される生理現象が頼りでした。そのため后妃や宮女、宦官を巻き込んだ後宮の騒動は、しばしば国家をゆるがしました。本講座では、後宮から見た殷王朝から唐までの中国史を、豊富な映像資料を使い、予備知識のないかたにもわかりやすく解説します。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 10/28 | 古代の後宮 | 中国の有史時代は紀元前14世紀ごろ、殷王朝の後期に始まります。文字による歴史記録は、史実というより説話であり、ヒストリーというよりストーリーでした。殷王の妻で将軍だった婦好、紂王の説話に出てくる妲己、西周の滅亡のもととなった褒姒、多くの君臣と関係した美魔女とされる夏姫、など、いわゆる先秦時代の人物たちは、多くの謎に包まれています。しかし、戦国時代に成立した儒教の経典『礼記』で君主の後宮の后妃の定員が定められるなど、後宮の制度が始まったのも先秦時代でした。 |
2 | 11/04 | 漢の後宮 | 220年からの中国史における分裂時代で中国史上初の帝国は、始皇帝の秦でしたが、短命で滅びました。始皇帝の正妻「始皇后」が誰であったのか、秦の「宦官」趙高が去勢宦官であったのかどうか、秦の後宮は謎だらけです。劉邦が建てた漢帝国の後宮は、規模は大きかったものの、なにぶん歴史に前例がなかったため、想定外の事態の連続でした。中国の三大悪女に数えられる初代皇后・呂后、書類上のうっかりミスでシンデラレになった竇皇后、60代で公然と美少年を愛人にした館陶公主、腹上死疑惑の皇帝と趙飛燕姉妹、など破天荒な人物を輩出しました。 |
3 | 11/11 | 南朝の後宮 | 中国史の「魏晋南北朝時代」は、西暦220年に魏王朝が成立してから、589年に隋王朝が天下を統一するまでの、数百年にわたる慢性的な分裂時代を指します。この時代、南京を首都とした呉、東晋、南朝(宋・斉・梁・陳)では漢民族的な貴族社会が形成され、優雅な「六朝文化」が花開きました。同時に、フランス革命前の貴族社会のような淫靡な退廃も広がりました。吉田御殿の話の元ネタとなった西晋(南朝の東晋の前身)の皇后・賈南風、南朝宋の皇帝の姉として逆ハーレムをかまえた山陰公主、両性愛者であった南朝斉の皇帝と寵臣と三角関係を楽しんだ皇后・何婧英、亡国の暗君である陳の後主に愛された張麗華、など、この時代の後宮は乱脈でした。 |
4 | 11/18 | 北朝の後宮 | 中国の南朝と対峙した北朝(439年 - 589年)は、華北に興亡した五つの王朝、北魏、東魏、西魏、北斉、北周の総称です。北朝はいわゆる「拓跋国家」(たくばつこっか)でした。支配層は、北方遊牧民であった鮮卑(せんぴ)の中の部族集団「拓跋部」の血を引く、質実剛健かつ荒々しい気風の人々でした。事実上の女帝となった北魏の馮太后、「子貴母死制」の廃止で命を拾ったあと国を傾けた北魏の霊太后、亡国後も売春業で生き残った北斉の胡皇后、皇后でありながら裸にされむち打たれた北斉の李祖娥、など、北朝の後宮は荒々しさに満ちています。 |
5 | 11/25 | 隋唐の後宮 | 南朝と北朝を統一した隋 (581年-618年) と、そのあと超大国として栄えた唐(618年-907年)は、北朝の後継国家でした。後宮の気風も北朝に似ていました。事実上の一夫一婦制を皇帝にしいた隋の皇后・独孤伽羅、中国史上唯一の女帝となった武則天、実権をにぎるため夫である皇帝を毒殺した韋后、玄宗皇帝が息子から略奪して寵愛した楊貴妃、など、この時代の後宮はドラマチックでした。唐の後宮の制度は、遣唐使を通じて日本にも影響を与えました。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講日は12月2日を予定しています。
◆本講座は対面でもオンラインでも受講できるハイブリッド講座です。対面・オンラインのご都合の良い形式でご受講いただけます。
◆講師は中野校の教室で講義し、オンラインで同時配信いたします。
◆対面でご受講される方は、通常の対面講座と同様に開講確定後にお送りする教室案内通知記載の教室にお越しください。
◆テキストはありません。教材はネット上に公開します。教室での対面受講者にはプリントを配付します。
◆オンラインで受講される方はオンライン講座と同様にマイページからご受講ください。
◆オンラインは、Zoomのウェビナー形式を使用しています。
◆オンラインでの受講予定の方はお申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆本講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
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講師紹介
- 加藤 徹
- 明治大学教授
- 1963年、東京生まれ。東京大学中文科を卒業後、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。文学修士。専門は京劇(中国の伝統演劇)。著書に『京劇』(中公叢書、2002年度サントリー学芸賞受賞)、『西太后』(中公新書、2005年)、『貝と羊の中国人』(新潮新書、2006年)、『漢文で知る中国』(NHK出版、2021年)その他がある。2025年4月よりNHKテレビ「中国語!ナビ」に出演中。