ジャンル 文学の心
中野校
『平家物語』を読む
清水 由美子(中央大学等講師)
曜日 | 火曜日 |
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時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全10回
・09月30日 ~
12月02日 (日程詳細) 09/30, 10/07, 10/14, 10/21, 10/28, 11/04, 11/11, 11/18, 11/25, 12/02 |
コード | 330109 |
定員 | 36名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・物語を丁寧に読み味わいます。
・物語世界全体に目を配り、その魅力を解説いたします。
・絵画作品などもご紹介し、『平家物語』の世界を味わいます。
講義概要
『平家物語』を、全体の構成や背景となる史実などに目を配りながら熟読し、その奧深い世界を味わうとともに、この物語を作り上げ、語り続けてきた日本人の心の奥底をのぞいていきます。今期は、巻二から巻三を読みます。鹿ヶ谷の陰謀に端を発した一連の騒動のあとの都の様子と、鬼界ヶ島に流された俊寛らのその後を描く部分です。そうした物語の世界について、ご一緒に楽しく学びを深めていきましょう。毎回補助プリントを用いて、同時代史料・絵画資料・地図・系図などを参照しながら、史実との関係、人物の描かれ方、合戦に関する知識などについてもわかりやすく解説します。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 09/30 | 巻二「山門滅亡 堂衆合戦」「山門滅亡」 | 山門と対立する後白河法皇は、三井寺で伝法灌頂の儀式を行おうとするが、山門の反対により天王寺で行うことを余儀なくされる。山門では、学生と堂衆の対立が深まり、清盛が援軍を派遣する事態に展開した。清盛は撤退するも、その後、延暦寺は衰退する。天台の仏法も滅びようとしているのだった。 |
2 | 10/07 | 巻二「善光寺炎上」「康頼祝言」 | そのころ、善光寺も炎上した。善光寺の本尊は、天竺から伝わった尊い阿弥陀像であった。人々は、こうした仏法の衰退を平氏滅亡の予兆だと語り合う。一方、鬼界ヶ島に流された流人の一人、康頼は島に向かう途中で出家し、ともに流された成経とともに、島の中に熊野の神を勧請し帰京を願った。しかし、不信心だった俊寛だけは参加しない。康頼は、祝詞を読み上げて帰京を願い続けるのだった。 |
3 | 10/14 | 巻二「卒塔婆流」「蘇武」 | 熊野の神への祈願を続ける康頼と成経は、帰京が叶えられる夢告を得る。そこで、康頼が卒塔婆を千本作りそれぞれに和歌を書いて海に流したところ、そのうちの一本が厳島に流れつき、そこからさらに都へ運ばれ、法皇や清盛の見るところとなる。清盛までが、感動したのだった。昔、胡国にとらえられた漢の蘇武が雁に託した手紙が漢王に届き、帰国できたという故事があるが、望郷の念が強いと、必ず届くものなのである。 |
4 | 10/21 | 巻三「赦文」 | 治承三年(一一七九年)正月、建礼門院徳子が懐妊した。しかし、諸々の悪霊による苦しみはひどく、怨霊慰撫が行われた。中でも、鬼界ヶ島の生霊による祟りは強く、その流人たちへの恩赦が決定する。しかし、俊寛だけは例外となった。 |
5 | 10/28 | 巻三「足摺」 | 鬼界ヶ島にやってきた恩赦の使いを最初に発見したのは俊寛であった。しかし、自分だけが恩赦から漏れた事を知った俊寛は絶望する。康頼と成経は懸命になぐさめるが、俊寛は必死に船にすがり、船が遠ざかると浜で足摺をして叫ぶ続ける。 |
6 | 11/04 | 巻三「御産」「公卿揃」 | 中宮徳子のお産が始まるが、中々進まない。後白河法皇までもが自ら加持祈祷を行い、無事に皇子が誕生し、清盛は感涙に咽ぶ。公卿たちは揃って参上し、祝った。しかし、一連のお産の行事の中には、珍しい出来事もあった。 |
7 | 11/11 | 巻三「大塔建立」 | このたびの皇子の誕生は、厳島神社の御利益なのだった。清盛が厳島神社を信仰するようになったのは、高野の大塔を修復した時に、さらに厳島神社も修理するようにとの託宣を受け、修理をしたところ、夢告の通りに実際に小長刀を授かったからだったが、その際に、清盛に悪行があった場合は、その加護は子孫には及ばないと釘を刺されていたのだった。 |
8 | 11/18 | 巻三「頼豪」 | 白河院の御代には、祈祷によって皇子を誕生させた三井寺の僧頼豪が、その褒賞に三井寺に戒壇を建立させるように願ったが許されず、自らは干死して魔道に赴き、その際に自分が祈りだした皇子を伴ってしまうという出来事があった。 |
9 | 11/25 | 巻三「少将都帰」 | 恩赦にあった康頼と成経は、治承三年(一一七九年)正月に肥前国を発って、途中の備前で成親の供養などをしつつ、三月には鳥羽に到着した。 |
10 | 12/02 | 巻三「有王」 | 一方、俊寛が残された鬼界ヶ島には、俊寛に召し使われていた有王が、苦難の末に辿り着く。そこにあらわれたのは、変わり果てた姿のかつての主である俊寛だった。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆すでにお持ちの『平家物語』テキストがございましたら、そちらをご持参ください。その場合は指定テキストを新たに購入する必要はございません。
テキスト
テキスト
大津 雄一/平藤 幸【編】『平家物語 覚一本 全 改訂版』(武蔵野書院)(ISBN:978-4838606504)※上記以外でもお手持ちの『平家物語』があれば、それをお持ちください。
講師紹介
- 清水 由美子
- 中央大学等講師
- 東京大学大学院人文社会系研究科日本文化研究専攻修了。同博士(文学)。中央大学、清泉女子大学、成蹊大学、学習院大学等講師。主な論書は『平家物語を繙く』(単著、若草書房)、『校訂延慶本平家物語 十二』(共著、汲古書院)、『日本の古典を見る 平家物語』(共著、世界文化社)など。