ジャンル 日本の歴史と文化

早稲田校

江戸文化と日本の幽霊・妖怪―唱導と文芸を中心に

  • 秋講座

藤田 勉(江戸娯楽文化研究家、音楽家)

曜日 水曜日
時間 13:10~14:40
日程 全5回 ・11月05日 ~ 12月03日
(日程詳細)
11/05, 11/12, 11/19, 11/26, 12/03
コード 130237
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 14,850
ビジター価格 受講料 ¥ 17,077

目標

・近世前期の怪異的な仮名草子や通俗仏書(勧化本)を読む
・挿絵・図巻・絵草紙等の絵画を史料として読む
・日本の怪談の発生と仏教の関わりを知る
・近世における幽霊・妖怪の娯楽的な側面を知る

講義概要

現代の私たちが共通して抱く日本の幽霊や妖怪の、その姿形や属性、出現動機などへのイメージは、近世中期にはすでに完成して当時の人々にとっても共通の認識となっていました。近世前期の仏教唱導説話や怪異説話の中に仏教的な因果や教訓を色濃くまとって現れた幽霊・妖怪が、半世紀を経ずして演劇や文芸、絵画、また百物語の場などの娯楽文化に欠くことのできない存在となって広く享受されていたのです。こうした日本型の幽霊・妖怪像がどのような文化諸相の中で形作られていったのか。幽霊・妖怪を近世における文化的創造物ととらえ、仏教唱導や文芸、娯楽文化との関わりを中心に、その形成過程を追ってみたいと思います。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 11/05 仏教唱導の中の怪異 娯楽の少ない近世前期の大衆にとって唱導僧の説く霊験譚の不思議や刺激的な因果譚は大きな楽しみであったでしょう。仏教大衆化の時代、多くの聴衆を集めた唱導の場に語られた怪異譚から、日本の幽霊・妖怪の定型が形作られていきます。
2 11/12 「ハナシ」の集成と怪異説話集 近世前期からの出版ブームにおける仏教的な怪異譚、諸国の奇談怪談や創作的な怪談の旺盛な刊行と、新奇な「ハナシ」を持ち寄って楽しむ世間話や百物語の場の盛行は、互いに刺戟しあって幽霊・妖怪を文化として定着させていきます。怪異説話集の魅力のひとつである挿絵にも注目します。
3 11/19 日本の幽霊にはなぜ女性が多い 中世説話に幽霊譚が語られはじめた当初から日本の幽霊に女性偏重の傾向は強く、近世に入ってますますその傾向を強めます。この理由を仏教の女人観や儒教的女性観から探りながら様々な女性幽霊の例を見ていきます。
4 11/26 妖怪で遊んだ江戸っ子たち 地方の民間伝承に生まれた妖怪たちは、近世に入って怪異説話集の挿絵、図巻、草双紙に様々のユニークな姿に描かれて親しみやすいキャラクターとなっていきます。大都市江戸では民俗的な背景を失ったキャラクター妖怪たちが江戸っ子たちの弄びものとなって妖怪ブームが起こります。
5 12/03 怪異譚の伝播と民俗の中の怪異 近世の交通網の整備や出版物の増大などによって怪異な「ハナシ」は全国津々浦々を廻り、あるものは土地の伝承に根を下ろし、あるものは都市に持ち込まれて文芸や芸能に昇華しました。奇談怪談は人々を引き付けて止まず、その伝播力には目を見張るものがあったのです。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆本講座は2022年度エクステンションセンター八丁堀校で行った講座「江戸文化が生んだ日本の幽霊・妖怪」の内容を大幅に改訂して講義するものです。
◆講義内容の性格上、現在では差別的とされる文言や表現を用いることがあります。

講師紹介

藤田 勉
江戸娯楽文化研究家、音楽家
1962年生まれ。法政大学文学部史学科中退。音楽演奏活動を中心に、各地の博物館・文学館等のイメージ音楽制作も手掛ける。平成21年より早稲田大学エクステンションセンター講師。専門は近世の芸能音楽、風刺文芸・風刺浮世絵、怪異文芸など江戸庶民娯楽文化史。
  • 外国語 コースレベル選択の目安
  • 広報誌「早稲田の杜」
  • オープンカレッジ友の店