ジャンル 日本の歴史と文化
早稲田校
日本の現代 高度経済成長から現在まで
黒川 みどり(静岡大学名誉教授)
曜日 | 火曜日 |
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時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全10回
・09月30日 ~
12月02日 (日程詳細) 09/30, 10/07, 10/14, 10/21, 10/28, 11/04, 11/11, 11/18, 11/25, 12/02 |
コード | 130205 |
定員 | 30名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・日本現代史の流れを論理的・構造的に理解する
・高度経済成長、オイル・ショック、冷戦の終焉、等々を経て現在にいたるまでの歴史を理解する
・〈今〉と向き合うために必要な問題意識を培う
講義概要
1960年代の高度経済成長の時代から現在までを対象とします。それはほかならぬ私たちの生きてきた同時代史であり、まだ記憶に新しい事柄をもとり上げながら、それらのもつ意味を歴史のなかに位置づけることをめざします。そうすることで、今日の社会のありようを問い、また自らがそれにどう向き合うかを考えてゆくための一助になればと考えています。具体的な事実、史料を提示しながら進めてゆきます。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 09/30 | 高度経済成長の時代 | 政治の季節から経済の時代への転換がなされて「所得倍増計画」が打ち出され、東京オリンピックに象徴されるように、日本が高度経済成長に邁進していく過程を、その国際的背景にも触れながら明らかにします。またそれにより、都市部では核家族化、三種の神器と台所革命等が進行する一方、農村では兼業化が進むなどの変貌を余儀なくされていくありようをみていきます。 |
2 | 10/07 | 戦後の部落問題と狭山事件 | 戦後復興、高度経済成長は、それに取り残されている被差別部落との格差の増大をもたらし、国は同和対策事業に踏み出します。その背景にある部落問題のありよう、ならびにその過程でおこり、今なお未解決にある狭山事件について述べます。 |
3 | 10/14 | 明るみに出る公害 | 高度経済成長がもたらした陰の側面としての公害問題についてとりあげます。四大公害訴訟のなかでもとくに四日市公害と水俣病についてとりあげます。とりわけ今なお闘いがつづいている水俣病の問題をとおして、人権とはなにかということを考えたいと思います。 |
4 | 10/21 | 住民運動の高揚と革新自治体 | 当該時期に広がる住民運動や、美濃部統制を始めとする革新自治体の誕生などついて論じます。 |
5 | 10/28 | 家永教科書裁判と問われる歴史認識 | 歴史学者の家永三郎が提起した教科書裁判と、その後の歴史教科書問題などを踏まえながら、今日にいたる歴史認識のありようを問い直します。 |
6 | 11/04 | 大学紛争の時代 | 黒人解放運動などの世界的な流れのなかで、1968年を頂点として展開された大学紛争について、そこで問われたものはなんであったのか、知識人の応答なども視野に入れながら考察します。またウーマン・リブやベ平連の運動などについても論及します。 |
7 | 11/11 | 沖縄本土復帰 | ヴェトナム戦争を一つの契機として高まる沖縄の本土復帰運動、そしてそれが実現する過程を追います。合わせて復帰後から現在にいたる沖縄のおかれている問題について考えたいと思います。 |
8 | 11/18 | 「経済大国」への道ー日米安保体制下のアジア | 1970年の大阪万博、田中角栄の登場と「日本列島改造論」、さらには石油ショックを経て、「経済大国」への道を突き進んでいった日本社会のありようを、人びとの生活に視点をあてながら照らし出してゆきます。男女雇用機会均等法成立がもたらしたものとその後の問題についても述べます。併せて、1965年の日韓基本条約、小笠原諸島返還、日中国交回復などをとりあげ、今日、投げかけられている問題につなげたいと思います。 |
9 | 11/25 | 「冷戦」後の政治・社会 | 戦後の大きな枠組みであった「冷戦」の終焉はなにをもたらしたのか。その後のた天安門事件、バブルの崩壊、代替わり、湾岸戦争、細川連立政権の誕生に伴う55年体制の崩壊、オウム真理教事件をはじめとする諸事項について述べながら、今日の問題につなげてゆきたいと考えています。 |
10 | 12/02 | 〈今〉を問う | 主として3・11以後に突き出されてきた問題を考えます。憲法改正がたえず提起されるなか、憲法によって守られる人権とはなにかを、性的少数者、夫婦別姓、冤罪と再審法改正等、今日問われている問題を射程に置きながら考えてみたいと思います。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆本講座は2025年春学期の続きとなりますが、各テーマごとに完結させていますので、初めてでも受講いただけます。内容は2024度秋学期のものを大幅に改めます。
講師紹介
- 黒川 みどり
- 静岡大学名誉教授
- 博士(文学、早稲田大学)。専門分野は日本近現代史・思想史・部落史。主著に『共同性の復権―大山郁夫研究』(信山社)、『評伝 竹内好』(共著、有志舎)、『評伝 丸山眞男』(有志舎)、『描かれた被差別部落―映画のなかの自画像と他者像』(岩波書店)、『被差別部落認識の歴史』(岩波現代文庫)、『差別の日本近現代史』(共著、岩波現代全書)、『増補 近代部落史』(平凡社ライブラリー)、『被差別部落に生まれて―石川一雄が語る狭山事件』(岩波書店)、『評伝 丸山眞男 その思想と生涯』(有志舎)など。これまでに早稲田大学・立教大学(現在)、東京大学、千葉大学等講師を務める。高校日本史教科書(実教出版)執筆。