ジャンル 文学の心
早稲田校
戦後文学再考―戦争体験と戦後日本社会
坪井 秀人(早稲田大学教授)
曜日 | 月曜日 |
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時間 | 15:05~16:35 |
日程 |
全6回
・06月30日 ~
08月18日 (日程詳細) 06/30, 07/07, 07/14, 07/28, 08/04, 08/18 |
コード | 120125 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 17,820 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 20,493 |
目標
・文学と文化を歴史的視点と今日の視点の両面からとらえる思考を身につける。
・戦後日本の社会と文化を文学テクストの読解を通して再検討する。
・文学テクストの読解をもとに他者と議論する技術を学ぶ。
講義概要
「戦後」とは文字通りには「戦争の後」という意味だが、戦争の経験と記憶はこの時代にどのような影を落としているのか。日本の戦後はいつ始まりいつ終わるのか(終わったのか)。「戦後」という時代区分はそもそも有効なのか。正解のないこれらの問いを起点として、「戦後」という時代を文学その他のテクストの読解を通して再考してみたい。「戦後」の評価は様々だが、私たちは誰しもがこの同じ時代を共有してきた。今年戦後80年という重大な節目を迎えることの意味を踏まえ、私たちが生きてきた「戦後」の時間とは何だったのか、それにどう向き合うべきなのかを一緒に考える時間になればと思う。特定の教科書は用いず印刷資料を配付する。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 06/30 | 「戦後」という時代をめぐって | 「戦後」という時代区分は日本以外で通用するのだろうか。戦後80年を迎えた現在の日本でこの長く続いた時代を再検討することの意義に触れながら講義の全体に関わる幾つかの問いを立てて受講者の皆さんと議論したい。 |
2 | 07/07 | 戦争を詠う、戦争を読む | 前線と銃後という二極的な空間配置によって構成された戦時期の詩歌を読む。『支那事変歌集』および尾崎喜八の詩作品を取り上げる。 |
3 | 07/14 | 復員者とパラレルワールド | 戦争が終わり復員や引揚げ者が帰還してきたとき、どのような経験が記憶に刻まれ表現されたのか。ここでは八木義徳の「母子鎮魂」という作品を読むことでそれについて考える。 |
4 | 07/28 | 歴史を上書きすること | 文学を通して戦争責任や戦後責任の意味を考える。ここでは高橋和巳の小説「散華」を読む。 |
5 | 08/04 | 街頭の思想 | 街頭文化の時代がかつてあった。それをノスタルジーとして語るのではなく現代においてなぜそれが失われたのかについて考えたい。寺山修司の映像作品を取り上げる。 |
6 | 08/18 | 死者論言説と生者の思想 | 2011年の東日本大震災以後、いわゆる「震災後文学」が現れるとともに死者論言説が日本の社会に拡がっていた。この現象について私たちはどう向き合えばよいのか。最後の時間に議論したい。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講日は8/25を予定しています。
講師紹介
- 坪井 秀人
- 早稲田大学教授
- 文学博士(名古屋大学)。名古屋大学・国際日本文化研究センター名誉教授。現在はアジア太平洋戦争後の難民化、ポスト冷戦期文学と生政治をめぐる二つのプロジェクトの代表を務める。主著に『戦後日本』『性が語る』『感覚の近代』『戦争の記憶をさかのぼる』『声の祝祭』など。