ジャンル くらしと健康

早稲田校

食と健康・老化の最新エビデンス

  • 夏講座

佐藤 隆一郎(東京大学特任教授・名誉教授)

曜日 月曜日
時間 10:40~12:10
日程 全4回 ・07月14日 ~ 08月18日
(日程詳細)
07/14, 07/28, 08/04, 08/18
コード 120605
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 11,880
ビジター価格 受講料 ¥ 13,662

目標

・私たちヒトにとっての「食」の重要性を再認識します。
・日本人の食生活の現状についての理解を深めます。
・コレステロール、老化のサイエンスを学びます。

講義概要

日本人の平均寿命は男女ともに80歳代です。生涯に8万回近く食事を摂ることになりますが、その食事内容が健康、老化進行に大きな影響を与えることはいうまでもありません。長寿を支えている日本型食生活は世界的に高い評価を受けていますが、若い世代では脂質からのエネルギー摂取が過剰であるとも指摘されています。食、健康、老化について理解を深め、自分自身の食生活のバランスの乱れを矯正できる理知的な生き方を実践して、健康寿命を伸ばしませんか。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 07/14 食と人類そして日本人の食生活の現状 およそ600〜700万年前にチンパンジーから枝分かれして出現した人類は巨大な脳を持つ生物として進化してきました。巨大な脳はエネルギー消費が著しく高く、食べ物からこれを補う必要があります。二足歩行、石器製造、火のコントロールのいずれも食べ物からの栄養補給に絶大な貢献をしてきました。そうして現代、肥満が世界に蔓延する中で長寿国日本で食される日本型食生活は高い評価を受けています。しかし日々刻々変化する私たちの食生活は次第に理想からかけ離れつつある傾向があることを認識しましょう。
2 07/28 コレステロールとの闘い コレステロールは動物性食品にのみ含まれる脂質成分です。脂質は体内で燃焼するとエネルギーを生みますが、コレステロールからエネルギーは得られるの?私たちは体内で必要とされるコレステロールのすべてを肝臓で合成することができることから、コレステロールは必須栄養素ではありません。この事実は体内で必要とするコレステロールは自前で合成するほど重要な成分であることを意味しますが、それではコレステロールは善玉なの?それとも動脈硬化症の引き金になる悪玉なの?2人のノーベル賞学者との4年間の激烈な研究生活を紹介しながらコレステロールとの闘いを紹介します。
3 08/04 大豆はすごい ユネスコ無形文化遺産に登録された和食。豆腐、味噌、醤油、納豆、きなこ、湯葉、厚揚げ、がんもどき等々、大豆製品がなければ和食は成立しません。大豆は「畑の肉」と呼ばれるほどタンパク質含有量が高く、しかも動物性タンパク質とほぼ同等の高い栄養価を有します。含有タンパク質には脂質代謝改善効果が検証されています。またイソフラボン類を含み、女性ホルモン様活性を体内で発揮し、骨粗しょう症の予防、男性の前立腺がんの予防にも効果を発揮すると考えられています。このような栄養優等生である大豆、実は日本を含む東アジアの国々と世界では数か国でしか食用にされていません。ほとんどは家畜の餌として利用されている大豆のすごさを紹介します。
4 08/18 抗老化により健康寿命をのばすには 加齢に伴い体内の各所で老化細胞が出現します。この老化細胞が炎症性因子を分泌し、さらに老化が組織全体に広がることが組織老化と考えられています。そこで老化細胞を駆逐する作用を持つ化合物を探索したところ、玉ねぎなどに含まれるフラボノイドが見出されてきました。食と抗老化は近いところに位置しています。さらにサルの実験ではカロリー制限食を摂取したサルが長寿であることが示されています。腹八分目が健康長寿に結びつくことの分子機構が明らかにされつつあります。食の力を介して老化進行を抑えることが現実化しつつあるともいえます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合、補講日は9月1日(月)を予定しています。

講師紹介

佐藤 隆一郎
東京大学特任教授・名誉教授
2人のノーベル生理学・医学賞受賞者の米国の研究室で激烈な研究修行(コレステロール代謝研究)をしてきました(1990〜1994)。帰国後、大阪大学薬学部・助教授を経て、東京大学に奉職(1999〜2022)。生活習慣病の発症機序、骨格筋機能の解析などの基礎研究を食品科学応用へと結びつける研究を展開し、100名以上の修士・博士を輩出してきました。現在は健康寿命延伸を食の力で達成するための生体内標的分子、食品成分の研究を進めています。東京大学総長補佐、日本農芸化学会会長などを歴任。2019年紫綬褒章受章。著書『健康寿命をのばす食べ物の科学』(ちくま新書)
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