ジャンル 日本の歴史と文化
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ひめゆり学徒隊と沖縄戦
普天間 朝佳(ひめゆり平和祈念資料館館長)

曜日 | 月曜日 |
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時間 | 15:30~17:00 |
日程 |
全6回
・07月14日 ~
09月01日 (日程詳細) 07/14, 07/28, 08/04, 08/18, 08/25, 09/01 |
コード | 720206 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 17,820 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 20,493 |
目標
・アジア太平洋戦争末期の沖縄戦の実相や十代で動員されたひめゆり学徒隊の体験への理解を深める。
・戦争体験者たちが戦後培ってきた平和思想への理解を深める。
・体験者から非体験者への次世代継承の取り組みへの認識を深め、未来の平和を構想する一助にする。
講義概要
80年前のアジア太平洋戦争末期、沖縄は日米両軍の決戦場となった。県民の4人に1人が亡くなった沖縄戦の実相とはどのようなものであったのか、また十代で動員されたひめゆり学徒隊がどのような体験をしたのかを解説する。併せて、沖縄戦の前史としての沖縄の女子教育の歩みやひめゆり学徒隊以外の沖縄の男女学徒隊の体験、学徒隊を引率した教師たちの実像にも迫る。さらに、学徒生存者たちの学友を失った痛恨の体験から平和資料館を設立し、その後30年以上も運営を続けてきた戦後の歩みを通して、戦争体験者たちが戦後培ってきた平和思想への理解を深める。体験者から非体験者への次世代継承の取り組みへの認識を深め未来の平和を構想する。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 07/14 | ひめゆり学徒隊の沖縄戦 | ひめゆり平和祈念資料館の紹介とともに、ひめゆり学徒隊が沖縄戦でどのような体験をしたのかを生存者の証言映像を交えて解説する。「戦争前の学校生活」、「沖縄戦の概要」、「沖縄陸軍病院への動員」、「沖縄本島南部への撤退」、「解散命令と死の彷徨」、「米軍による収容」と時系列でたどりながら、その時々の学徒たちの体験や気持ちを具体的に紹介する。ひめゆり学徒隊は解散命令後に全戦死者の80%以上が戦死しているが、それはなぜなのかについても考察する。 |
2 | 07/28 | ひめゆりの学校−女師・一高女−の歩み | ひめゆり学徒の学校である沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校(略称女師・一高女)の明治の開校から沖縄戦で消滅するまでの歩みをたどる。沖縄の女子教育の先駆けである女師・一高女の歴史をたどることは、近代以降の沖縄の女子教育の歴史への理解につながる。女師・一高女の歴史を黎明期(言語や風俗の日本化、良妻賢母主義教育)、成長・充実期(女師と一高女の併置、施設の充実、大正デモクラシー)、戦時体制期(学園に吹く戦争の風、軍事化されていく学園、戦場への動員)の3つの時期に分け、解説する。 |
3 | 08/04 | 沖縄戦に動員された男女学徒隊 | 沖縄戦には女師・一高女以外にも21の旧制中等学校・師範学校から学徒たちが動員された。それぞれの学校の学徒たちがどのような体験をしたのかを男女学徒隊の生存者の証言映像を交えて解説する。各校の沿革史や戦時体制下の状況、沖縄戦への動員数・配属先・任務・撤退後の状況・戦死者数などについて詳説し、また男女学徒隊の戦場動員の法的根拠や引率教師の状況についても考察する。なかなか知る機会が少ない沖縄の男子学徒隊について知ることができる機会になると思われる。 |
4 | 08/18 | ひめゆり学徒隊の引率教師たち | 沖縄戦でひめゆり学徒隊を引率した教師たちの実像を学徒生存者たちの証言映像を交えて、多角的な視点から解説する。18人の引率教師のうち13人が戦死し5人が生存したが、生き残った教師のほとんどは戦後、戦争体験を積極的に語ろうとはしなかった。一方で引率教師の一人である仲宗根政善は、多くの生徒を戦場に動員し死傷させてしまったという自責の念から、ひめゆり学徒隊の体験を後世に伝えるために尽力した。その仲宗根の痛恨の思いと戦争責任への言及も紹介する。 |
5 | 08/25 | 生き残ったひめゆり学徒たちの戦後 | 生き残った学徒たちは戦後生き残ってよかったと喜んだわけではなかった。多くの学徒が自分だけ生き残ってしまったという自責の念を抱えるようになり、戦後長い間戦争体験を語ることはなかった。しかし戦後40年近く経ち戦争体験が風化していく中で、このままではまた戦争が起きてしまうのではないかと考えるようになり、自分たちが体験した戦争の実相を伝える平和資料館をつくることを決意をする。学徒生存者たちが戦後どのような思いでいたのか、激動の沖縄戦後史の中でどのように生きてきたのか、そしてなぜ平和資料館をつくったのかを生存者たちの証言映像を交えて解説する。 |
6 | 09/01 | ひめゆり平和祈念資料館の次世代継承 | ひめゆり平和祈念資料館の開館後、学徒生存者たちは「証言員」となって、多くの来館者に戦争体験を伝える活動を続けてきた。彼女たちはまた自分たちが語れなくなった後も未来にわたって戦争体験を伝え続けていくことができるように次世代継承にも取り組み、後継者を育ててきた。現在は彼女たちからバトンを受け取った戦後世代の資料館職員が館の運営や戦争体験を伝える活動を担っている。資料館を設立し運営してきた元学徒たちの活動や次世代継承の取り組み、後継者である戦後世代の職員の新たな取り組み(展示リニューアル、主体的で能動的な学びの開発)について、解説する。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合、補講日は9月8日(月)を予定しています。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30 までに公開します。インタ
ーネット上で 1 週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)
講師紹介
- 普天間 朝佳
- ひめゆり平和祈念資料館館長
- ひめゆり同窓会が設立し、元ひめゆり学徒が中心になって運営してきたひめゆり平和祈念資料館に1989年から勤務。長年元学徒たちとともに働き、非体験者の視点で展示会やプロジェクトを企画・実施。2002年以降元学徒たちとともに次世代継承に取り組む。2018年、初の戦後世代の館長に就任。主な著書に「学徒隊」(沖縄県教育委員会発行『沖縄県史各論編6沖縄戦』)、「問われる沖縄戦」(沖縄県教育委員会発行『沖縄県史各論編7現代』)、共著『沖縄戦を知る事典』(2019年吉川弘文館)など