ジャンル 芸術の世界

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現代美術史入門―20世紀から現在まで 社会との交わりに着目して

  • 夏講座

山本 浩貴(実践女子大学准教授)

曜日 水曜日
時間 13:00~14:30
日程 全8回 ・07月02日 ~ 09月03日
(日程詳細)
07/02, 07/09, 07/23, 07/30, 08/06, 08/20, 08/27, 09/03
コード 720406
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 23,760
ビジター価格 受講料 ¥ 27,324

目標

・「現代美術」とは何かを理解する。
・世界各地の現代美術の具体的な作品やプロジェクトについての知識を増やす。
・現代美術の歴史と私たちが生きる社会の変化のつながりを知る。

講義概要

本講義では、20世紀から1990 年代を経て現在に至るまでの美術の歴史を概説する。狭義の「美術」だけではなく、「写真」・「映画」・「建築」といった隣接する文化領域の動きにも目を配りながら講義を進める。また、より広い政治的・社会的文脈と美術(文化)との交わりを常に意識しながら議論を展開する。欧米圏・非欧米圏を含む各国での動きに幅広く目を向けると同時に、1990 年代以降にグローバル化が急速に進行したことを踏まえ、複数の国や地域をつなぐトランスナショナルな視座も導入して現代美術の歴史を眺める。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 07/02 写真の誕生(1826年)とマリネッティ「未来派宣言」(1909年)を起点に フォービズム、印象派、キュビスム、ブリュッケ、青騎士、未来派といった美術史上の動向について講義する。写真の誕生が20世紀以降の美術(特に絵画)に与えた影響について理解し、第一次世界大戦における芸術家の「戦争協力」について知ることを目標とする。
2 07/09 ブルトン「シュルレアリスム宣言」(1924年)と世界恐慌の始まり(1929年)を起点に ダダ、マヴォ、シュルレアリスム、民藝、メキシコ壁画運動、抽象表現主義(アクション・ペインティング)などの美術史上の動向を網羅的にカバーする。ブルトン「シュルレアリスム宣言」を手がかりにして、当時の学問領域の発達などにも目を配りながら、とりわけシュルレアリスムの芸術家たちが目指したものを探る。また、戦前の世界恐慌が戦後アメリカで発展した抽象表現主義に及ぼした影響についても考察を加える。
3 07/23 現代美術とは何か 前回の続きとして、ニューマンのテキスト「崇高はいま」(1948年)の読解を通じて、抽象表現主義のもうひとつの流れであるカラー=フィールド・ペインティングについて講義する。その後、ミニマリズムとコンセプチュアル・アートというふたつの美術史上の動向について議論するが、その先駆者として、しばしば「現代美術の祖」とされるマルセル・デュシャンについて言及する。
4 07/30 「ゼロックス」の発売とカプロー《6つの部分からなる18のハプニング》(ともに1959年)を起点に アースワーク(ランド・アート)、アルテ・ポーヴェラ、ポップ・アート、オプ・アート、パフォーマンス・アート、フルクサスなど、1960年前後の美術史上の動向を駆け足で概観する。「ゼロックス」の発売に象徴される複製技術・通信技術などの高度な発達が現代美術に及ぼした効果についても検討する。
5 08/06 ギー・ドゥボール『スペクタクルの社会』(1967年)がもたらしたもの ギー・ドゥボールを中心とするシチュアショニスト・インターナショナルを主な対象として取り上げる。加えて、同時代における非欧米圏の現代美術として、ネオ・コンクレティスム(ブラジル)や具体美術協会&もの派(日本)にも触れる。
6 08/20 ACT UPの結成(1987年)とベルリンの壁崩壊(1989年) 美術史上の動向をこえて広がるフェミニズム(ジェンダー・スタディーズ)、エイズ・アクティヴィズム、クィア・セオリー、ポストコロニアリズム、マルチカルチュラリズム、メディア・アートなどについて論じる。1990年代に突入する時期、現代美術の領域で顕著となった巨大な「地殻変動」について考える。
7 08/27 ブリオー『関係性の美学』(1998年)とビショップ「敵対と関係性の美学」(2004年)の対立点はどこにあるのか リレーショナル・アート、インタラクティヴ・アート、参加型アート、ソーシャリー・エンゲージド・アート、ソーシャル・ワークス、アート・アクティビズムなどと様々に呼称される現代美術における社会・政治的実践について、ふたつの重要なテキスト(とりわけ、その対立する論点)の内容を繙きながら考察する。
8 09/03 ヒミッドのターナー賞受賞(2017年)とボイスのヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞受賞(2021年)が物語るもの 近年、現代美術の世界で注目を集める「ブラック・アート」について講義する。また、ルアンルパによるドクメンタ 15(2023年)など最近の出来事にも言及しながら、現代美術の領域で現在進行形で起きている現象について考える。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講は、9月10日(水)を予定しています。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30 までに公開します。インターネット上で 1 週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)

講師紹介

山本 浩貴
実践女子大学准教授
文化研究者。1986年千葉県生まれ。実践女子大学文学部美学美術史学科准教授。一橋大学社会学部卒業後、ロンドン芸術大学にて修士号・博士号取得。2013〜2018年、ロンドン芸術大学トランスナショナルアート研究センター博士研究員。韓国・光州のアジアカルチャーセンター研究員、香港理工大学ポストドクトラルフェロー、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教、金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科芸術学専攻講師を経て、2024年より現職。単著に『現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル』(中央公論新社 、2019)、『ポスト人新世の芸術』(美術出版社、2022)、『12ヶ月で学ぶ現代アート入門』(美術出版社、2025)。共編著多数。
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