ジャンル 文学の心
早稲田校
現代によみがえる小泉八雲と怪談
小泉 凡(小泉八雲記念館館長、島根県立大学短期大学部名誉教授)
曜日 | 土曜日 |
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時間 | 13:10~16:35 ※途中休憩をはさみます。 |
日程 |
全1回
・09月13日 ~
09月13日 (日程詳細) 09/13 |
コード | 120126 |
定員 | 88名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 5,940 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 6,831 |
目標
・小泉八雲の思考の特色である「オープン・マインド」がどのように醸成されたのか、おいたちを通して学ぶ。
・八雲の怪談文学(再話文学)の特色とその現代的意義について理解を深める。
・小泉八雲・セツの文化資源としての活用事例を通し、現代社会における文学の可能性を考える。
講義概要
今秋から始まるNHKの朝ドラ「ばけばけ」は、小泉八雲の妻セツが主人公のモデルとなる。セツは八雲の怪談文学の最大の功労者であった。多様性を尊重する<オープン・マインド>なまなざしで本質を探究する八雲の姿勢と優れた語り部セツの協力が、怪談文学の傑作を生みだしたといえる。分断、対立、戦争の時代に、八雲がセツと紡いだ怪談文学は、東洋と西洋、生者と死者、人と自然、現世と異界をつなぐ、「つながりの文学」としての意味をもつ。怪談作品のさまざまな芸術表現活動、松江ゴーストツアーなどの観光への活用、ボナー・フェラーズによる戦後日本への八雲の日本理解の活用などの事例を通して、作品世界の現代的意味を考えていきたい。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 09/13 | 1.現代によみがえる怪談―「雪女」を中心に / 八雲の思考や態度に底流する<オープン・マインド>醸成の経緯を旅とカタストロフィ(惨事)というキーワードから考察する。また、そのまなざしで紡がれた怪談作品のうち、主として「雪女」をとりあげ、セツの関与、松江の雪女伝承、青梅の雪女伝承との関係、そして愛読者に運ばれて伝説として根をおろす「雪女」、さらに現代社会に芸術表現、地域資源としてよみがえる「雪女」の意味を考えていく。 2.八雲の日本理解と戦後日本の平和―ボナー・フェラーズをめぐって / マッカーサーの側近でアメリカ陸軍准将ボナー・フェラーズ(1896-1973)は、日本人留学生・渡辺ゆりの薦めで八雲の著作に親しみ、すべてを読破する。1930年にはじめて小泉家を訪問し、以後、小泉一雄(ハーンの長男)と親交を深める。対日戦では、心理戦のチーフとしてビラの投下を指揮し、日本兵の心理的武装を解き、和平を促す。戦後統治では、八雲の「祖先信仰と天皇への敬愛は不可分」とする理解に基づき、象徴天皇制の扉を開くことに心血を注いだ。戦後80年を迎える今年、八雲作品が戦後体制にもたらした意味を考えていく。 |
講師紹介
- 小泉 凡
- 小泉八雲記念館館長、島根県立大学短期大学部名誉教授
- 1961年東京生まれ。
成城大学・同大学院で民俗学を専攻後、1987年に松江へ赴任。妖怪、怪談を切り口に、文化資源を発掘し観光・文化創造に生かす実践活動や、小泉八雲の「オープン・マインド」を社会に活かすプロジェクトを世界のゆかりの地で展開する。2022年度全国日本学士会アカデミア賞を受賞。
小泉八雲記念館館長・焼津小泉八雲記念館名誉館長・島根県立大学短期大学部名誉教授。
主著に『民俗学者・小泉八雲』(恒文社)、『怪談四代記―八雲のいたずら』(講談社)、『小泉八雲と妖怪』(玉川大学出版)ほか。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)曾孫、日本ペンクラブ会員。