ジャンル 日本の歴史と文化

オンデマンド

【オンデマンド】激動の平安前期200年を知りましょう―桓武天皇から『源氏物語』誕生まで 『謎の平安前期』を深掘りします

  • 春講座

榎村 寛之(斎宮歴史博物館学芸員)

コード 910204
定員 20名
単位数
会員価格 受講料 ¥ 15,840
ビジター価格 受講料 ¥ 15,840

目標

・8世紀と10世紀、奈良時代と平安時代と言う全く違うイメージで語られる2つの歴史的な時期を連続したイメージで考えられるようにしていきます。

講義概要

「あおによし奈良の都」の『万葉集』の時代と、「春はあけぼの」の『枕草子』『源氏物語』の時代。全く印象が違いますね。この間の約200年に何があってこんなに変わってしまったのでしょう。
政治、文化、社会、いろいろな面から、「なぜ平安時代はできたのだろう?」「紫式部の時代は、本当に女性が生き生きとした時代だったのだろうか?」などを、8世紀末〜10世紀末の歴史に沿って考えていきます。

各回の講義予定

講座内容
1 奈良時代と平安時代のギャップ 王権が国全体を直接把握するデータ主義の奈良時代から、貴族や官人に委託して小さな政府を目指す平安時代への転換。その契機としての平城京から長岡京へ、さらに平安京への遷都の意義を、「律令国家の価値基準とその変化」という視点から考えます。
2 桓武天皇と新しい「王朝」 奈良時代末期に即位した桓武天皇は、じつは極めて異例な天皇でした。にもかかわらず、彼は平安時代の天皇イメージの開祖となりました。彼は何をしたのか、その変革はどうして可能だったのか?その結果、どのような成果と弊害が起こったのか?新しい時代の幕開けとなった、桓武天皇の行き当たりばったりを考えます。
3 宮廷女官の政治力 奈良時代において、宮廷女官は非常に強力な力を持っていました。それは中国の統治システムにならった律令制の中で、極めて日本的な特徴でした。その一例として、光明皇后の母の橘三千代や、吉備真備の娘の由利を取り上げて、女帝のみならず、すべての天皇を支えた女官組織についてのお話をします。
4 嵯峨天皇と藤原北家 桓武天皇の次世代、兄の平城上皇の乱を克服した嵯峨天皇は、父とは異なる新たな政治体制を築いていきます。そこに食い込んでくるのが藤原冬嗣です。彼のために作られた蔵人頭は奈良時代の天皇と女官や貴族の関係を大きく変えていきます。摂関家による貴族政治の第一歩となる時代です。
5 斎王と内親王の役割 飛鳥時代以来、皇后は皇族から選ばれると言う重要なルールがありました。一方、天武天皇の娘、大来皇女以来、皇女が伊勢斎王として天皇を支えるという体制が成立していました。しかし、奈良時代、藤原氏出身の光明皇后と、元斎王の皇后、井上内親王が現れ、この体制に大きな変化が生まれていきます。また嵯峨天皇は伊勢だけではなく、賀茂神社にも斎王を置きました。この変化は女帝の廃絶にもつながっていくのです。
6 9世紀の人材登用と菅原道真 9世紀は日本史上、最も柔軟な人材登用が行われた時代でした。どういう基準で有能な人材が抜擢されたのでしょう?そしてこのシステムはなぜ10世紀には劣化して、次第にフリーズしていきます。なぜなのでしょう。その大きな転機となった時期を、このシステムを登り詰めた菅原道真を始め、当時の有能な人材から考えていきます。
7 和歌と漢詩 奈良時代、日本が国家の形を取れたのは、文章行政の導入のおかげともいえます。しかし、そのため、日本語の表現はかなり制限されたものになっていました。ひらがなの形成、そして和歌文学の地位の確立は、10世紀社会の大きな転換につながっていきます。紀貫之や斎宮女御徽子女王を取り上げ、この時代を考えていきます。
8 摂関政治と日本の王権 9世紀の天皇と10世紀の天皇はどう変わったのか、9世紀の貴族政治と10世紀の摂関政治はどのように違うのか。摂関が天皇をロボットのように操ったという摂関政治のイメージを離れ、文徳天皇や宇多天皇・藤原忠平らを素材に、日本型の王権のあり方から、天皇と摂関が補完し合う摂関政治が生まれてくる社会について検討を加え、講座のまとめとします。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆視聴期間は一般申込開始(2025/3/4)から学期終了翌月末(2025/7/31)までになります。一般申込開始(2025/3/4)以降はお申し込みいただけましたら視聴可能になります。
◆この講座は
2024年度 秋期 「激動の平安前期200年を知りましょう―桓武天皇から『源氏物語』誕生まで」 (09/30〜12/02 月曜日、全8回)
で開講した講座のアーカイブ講座になります。
◆途中映像音声の乱れるところがありますがご了承ください。
◆オンデマンド講座のため講義内容に関する質疑は受付けいたしかねます。あらかじめご了承お願いいたします。

講師紹介

榎村 寛之
斎宮歴史博物館学芸員
(三重県立)斎宮歴史博物館で学芸員を35年務めています。専攻は日本古代史、特に祭祀研究です。斎宮は伊勢神宮に仕えた皇族女性、斎王の宮殿で、少なくとも飛鳥・奈良・平安・鎌倉時代の660年の間存在しました。斎王や斎宮の資料は、歴史文献、古典文学、和歌文学、伝承研究、そして考古学、つまり斎宮の遺跡である斎宮跡の発掘調査にまで広がっています。従って、斎王がいた社会の研究のためには、それぞれの時代のこれらの分野すべてに、一応通じていないといけないのです。そうした研究生活の積み重ねの成果の一つとして執筆した、中公新書『謎の平安前期ー桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』が予想外のご好評をいただき、本人が誰より驚いています。
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