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ケルトの文化遺産と古層ヨーロッパ―アイルランド篇 ヨーロッパ最大古墳、孤島修道院、ジョイス作品まで

  • 春講座

鶴岡 真弓(多摩美術大学名誉教授)

曜日 土曜日
時間 10:30~12:00
日程 全3回 ・05月10日 ~ 06月07日
(日程詳細)
05/10, 05/24, 06/07
コード 710360
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 8,910
ビジター価格 受講料 ¥ 10,246

目標

・本講座では「ヨーロッパの古層」の文化・文明を築いた「ケルトの遺産」を、「アイルランド」から見る。世界遺産「ニューグレンジ古墳」遺跡・「スケリグ島修道院」・首都ダブリン「大学図書館&国立博物館」を探訪。先史と中世の①「聖なる場所」としての「古墳」、②大西洋に浮かぶ絶海の「修道院」、そして③首都ダブリンの美術館・図書館で、「異教とキリスト教の美術」の遺産を学び、その体系を通してヨーロッパの「古層」が、いかにキリスト教中世に受容されたか、また近代文学へのその反映までを新たに学ぶ。
・なぜアイルランドという西端の島に「ヨーロッパの古層ケルト」のエッセンスが遺されたのか。「ケルト語文化圏」の歴史文化の謎を解き「ヨーロッパ」の成り立ち自体を最前線で発見する。

講義概要

これまでの西洋史の教科書では「ヨーロッパの誕生」は「古代ローマとゲルマンの大移動」によってなされたと書かれてきた。しかしローマとゲルマン以前のヨーロッパ大陸・半島・島には「ケルト語文化圏」が各地に形成され「古層のヨーロッパ」文明が築かれていた。その最西端にあり「島のケルト」文化の核となったのがイギリス(ブリテン)諸島西端の島「アイルランド」である。アングロ=サクソン支配下の苦難を乗り越え「先史・中世・近代」を貫いた「死生観と美」を、数千年を超えて伝える島国の古墳、黄金美術、キリスト教聖書写本芸術等の遺産と至宝を、ダブリンの博物館も探訪し観察、かつジョイス文学にもその反映を発見する。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 05/10 世界遺産「ニューグレンジ古墳」 ー ヨーロッパ最大の先史円墳の儀礼と美 ダブリンの北方、ボイン川の丘に展開する先史王族の墳墓群、世界遺産「ニューグレンジ古墳」は、ヨーロッパ最大の円墳。冬至を境に「太陽が蘇り死者の玄室を射る」構造を秘めている。世界的に有名な➊羨道入り口の「渦巻巨石」❷内部構造と文様 ❸背面の文様と儀礼の謎まで、また丘陵下の❹「母なるボイン川」にまつわるアイルランド神話の意味を読み解く。
2 05/24 世界遺産 絶海の孤島「スケリグ島修道院」ー聖人の石室「ハチの巣」とヴァイキングの襲来まで 古代・異教時代を越え、ケルト・キリスト教の修道院文化は5世紀に始まる。アラン島も含めて大西洋の絶海の孤島に「隠修士」たちが庵を編んだ。厳しい修行はエジプトや小アジアの「砂漠の修道士」と比較されるものである。「スケリグ(聖ミカエルの)島」の大自然と、断崖に建つ石室、井戸、十字架など考古学的遺産とともに、「ヴァイキング」の来襲を受けた「修道士の殉教」、更に、この島の名前が示すとおりフランスの「モン・サン・ミッシェル」同様、異教時代には、「異界につながる巌」と考えられていた背景、「岩・巌」への信仰までを探る。
3 06/07 首都ダブリンの大学図書館と博物館 ー 至宝『ケルズの書』と「タラ・ブローチ」を訪ね、ジョイスを読む アイルランドの首都ダブリンは、19世紀、大英帝国の被植民地支配を乗り越えてきた。アイルランドの至宝『ケルズの書』を所蔵する「ダブリン大学トリニティ・カレッジ」は、『ガリバー旅行記』の作家スウィフトやオスカー・ワイルドの母校だ。この図書館内部の建築遺産と、所蔵される装飾写本の「美」を、「ケルト美術」の文脈から学ぶ。と共に、国立博物館の中世の宝物「タラ・ブローチ」「アーダーの聖杯」の装飾のディテールまでを観察する。また更に、この国不世出の作家ジィムズ・ジョイスの代表作『ダブリン市民』から「土くれ」と「死者たち」の要点を読み、「アイリッシュ・ケルト」の死生観の伝統を、近代にも探る。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講は6月28日(土)を予定しております。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員】授業動画の視聴方法(会員向け)
【ビジター・法人会員】授業動画の視聴方法(ビジター・法人会員向け)

講師紹介

鶴岡 真弓
多摩美術大学名誉教授
1952年生。早大大学院修了。ケルト文化芸術研究。ユーロ=アジア世界の生命表象研究。『ケルト/装飾的思考』『ケルト美術』『芸術人類学講義』(編著)(筑摩書房)『ケルトの想像力』(青土社)『装飾する魂』『ケルトの魂』『京都異国遺産』(編著)(平凡社)『図説 ケルトの歴史』(共著:河出書房新社)『ケルトの宗教 ドルイディズム』(共著:岩波書店)ミーハン『ケルズの書』(訳:岩波書店 & 創元社)『阿修羅のジュエリー』(イーストプレス)ピゴット『ケルトの賢者ドルイド』(訳:講談社)等著訳書多数。『ケルト再生の思想』(ちくま新書:河合隼雄学芸賞)。

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