ジャンル 現代社会と科学
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国際報道から読み解く世界 命を守るジャーナリズム
横村 出(ジャーナリスト、作家)

曜日 | 土曜日 |
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時間 | 15:30~17:00 |
日程 |
全8回
・07月05日 ~
09月06日 (日程詳細) 07/05, 07/12, 07/19, 07/26, 08/02, 08/23, 08/30, 09/06 |
コード | 720701 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 23,760 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 27,324 |
目標
・戦後80年を迎えた世界はどこへ向かうのか? 現状と背景を国際報道等を通じて理解する。
・世界を分断へと導いた覇権主義の歴史を確かめ〝新たな戦前〟にぶれない思考の軸を学ぶ。
・権威主義やポピュリズムに抗う少数派ジャーナリズムを通じ、報道本来の使命を考える。
講義概要
第2次世界大戦の終結から80年後の世界は、いまだ多くの紛争と対立を抱えて混迷がつづく。ウクライナとパレスチナの情勢からも分かるように、コロナ禍に覆われた数年間に人類は共存を学ぶことなく、分断と独善の道を再び歩みはじめている。本講座では、戦後80年間を8つの時代に区分し、おもに戦後秩序をめぐる戦争と対立に焦点を当てながら振り返り、これからの時代を考察する。「戦後」の概念を再定義し、「戦後」という言葉がもつ本来の意味と重さを考えてみたい。最新の国際情勢を踏まえて、講義の進行をアップデートします。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 07/05 | 第2次大戦後の覇権争う緒戦——1950年代 | 朝鮮戦争やハンガリー動乱、中東戦争、キューバ革命に象徴されるように、新たな〝戦後〟の秩序を模索する混迷がつづいた時代。第2次世界大戦の終結は、覇権的秩序をめぐる新たな地域戦争の幕開けでもあった。日本では、敗戦につづくサンフランシスコ平和条約の締結によって戦後の立ち位置は否応なしに定まったが、それへの反発と対立でいまだ体制を模索する時代でもあった。 |
2 | 07/12 | イデオロギーによる世界分割——1960年代 | 戦後の秩序と冷戦構造を決定づけたのが、キューバ危機とプラハの春だ。戦後17年目にして第3次大戦の悪夢に直面した世界は、米ソの劇的な妥協に救われた。その核心は、米ソによる世界覇権の線引きの確定にあり、対決と抑止論によって両国ともに求心力を高めた。プラハの春は公然と弾圧され、各地で激化した政治闘争も確立された世界覇権の力学に影響を与えることはなかった。 |
3 | 07/19 | 冷戦膠着と覇権国のつまずき——1970年代 | 戦後の秩序をめぐる戦争には終わりがなく、しだいに覇権の縁辺部に歪みが生じた。この時代を象徴するのがベトナム戦争とウォーターゲート事件である。米ソに加えて中国を巻き込んだ三つ巴の戦争は、当初掲げられた双方のプロパガンダは色あせて、権謀術数の駆け引きが暴露された。米国の頭越し外交に翻弄されつつ独自路線を模索した日本だが、覇権の力学にねじ伏せられた。 |
4 | 07/26 | 冷戦の終わりと新たな戦後——1980年代 | ベトナムの失敗で求心力を弱めた米国に対し、ソ連はアフガニスタンで巻き返しを試みた。しかし、すでに経済力で大差をつけた西側が反ソ勢力を支援、ソ連も米国と同様に覇権の縁辺部での戦いに敗北した。冷戦の雪解けとソ連崩壊が視野に入るころ、冷戦後の世界の多極化・過激化の芽が出る。日本はこの時期、サンフランシスコ体制の呪縛と戦後の負の遺産を清算する機会を逸した。 |
5 | 08/02 | 利権と経済めぐる争奪戦——1990年代 | 慣れ親しんだ対立のプロパガンダの嘘は、冷戦崩壊によって露呈した。東西ドイツが統一される一方、欧州ではボスニア紛争、中東では湾岸戦争が勃発。冷戦後の新たな世界秩序の模索も、再び戦争とともに幕を開けた。解体されたソ連は〝泥棒資本主義〟を標榜し、後継ロシアは腐敗と紛争にまみれた。日本では〝55年体制〟が崩壊するが、政治経済の混乱から旧来の姿に出戻った。 |
6 | 08/23 | 対テロ戦と戦後秩序の混乱——2000年代 | 冷戦期を含めて長く戦後を支配した、米中ロを筆頭とする〝連合国による秩序〟は、テロの時代を迎えて大きく動揺した。戦後つづいた旧連合国の覇権対立と戦争が生んだ〝過激な温床〟に抑えが効かなくなった。旧連合国が結束したアフガン戦争、米国と有志国独断のイラク戦争を経て、世界にさまざまな過激主義と紛争が拡散、難民移民もあふれて格差と対立と断絶の溝が深まった。 |
7 | 08/30 | 民主主義と戦後秩序の衰退——2010年代 | 冷戦後に唱えられた〝米一極集中〟があっけなく崩れたのは、中国の強国化とロシアの復権、さらにはグローバルサウスの台頭だけが要因ではなかった。世界的な動乱の反動が欧米の旧西側諸国の政治をも揺さぶって、戦後かつてない右傾化と極右台頭の時代を迎えたためだ。それが中ロといった権威主義国には追い風となり、米国を筆頭に多くの国にポピュリズムの台頭支配を導いた。 |
8 | 09/06 | 戦後をくつがえす新たな時代へ——2020年〜 | ロシアによるウクライナ侵攻と、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ侵攻というふたつの戦争は、世界にとっての〝新たな戦前〟あるいは〝戦中〟の先駆けといえる。戦後80年をふり返れば、いわゆる第3次世界大戦が起きなかっただけで、覇権の衝突と縁辺部での戦争はずっとつづいてきた。すでに積み上がった戦争と社会対立は、戦後をくつがえす世界再編への序章にすぎない。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
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◆休講が発生した場合の補講は9月13日(土)を予定しています。
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講師紹介
- 横村 出
- ジャーナリスト、作家
- 1962年生まれ。早稲田大学政経学部政治学科卒・大学院政治学研究科博士前期課程修了。朝日新聞社入社後、ロシアのサンクトペテルブルク国立大学へ留学し、モスクワ特派員になる。ロシア東欧・中東アフリカなどで戦争や革命を取材した。現在、米ロと関わる国際紛争や安全保障をテーマにするほか、小説を執筆している。著書に、プーチン政権の政治と戦争の闇を記録したルポ『チェチェンの呪縛 — 紛争の淵源を読み解く』(岩波書店)、現代世界を点描した小説『漆黒のピラミッド — 世界をめぐる十の短編』(新潟日報メディアネット)などがある。詳しくは、公式サイト(izuruyokomura.com)をご覧ください。