ジャンル 芸術の世界
早稲田校
クラシック名曲解剖―標題音楽編 作曲家が解説を付けたオーケストラ作品を深堀りする!
野本 由紀夫(元玉川大学教授・日本女子大学非常勤講師)
曜日 | 水曜日 |
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時間 | 15:05~16:35 |
日程 |
全8回
・07月02日 ~
08月27日 (日程詳細) 07/02, 07/09, 07/16, 07/23, 07/30, 08/06, 08/20, 08/27 |
コード | 120450 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 24,778 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 28,342 |
目標
・映像を見ながら、クラシック名曲の「聴き方ポイント」を身につける。
・オーケストラやピアノ等の演奏の「見どころポイント」を身につける。
・世界史的な背景からクラシック音楽の理解を深める。
講義概要
本講座では、「作曲家が解説を付けたオーケストラ音楽」、すなわち「標題音楽」のウラに迫ります。第1回:19世紀におけるベートーヴェンの跡目争い(標題音楽の成立へ)。第2回:ベルリオーズの《幻想交響曲》(1)。第3回:同(2)。第4回:交響詩の誕生(リストの交響詩《レ・プレリュード》)。第5回:交響詩《モルダウ》(1)その原曲のチェコ民謡。第6回:同(2)なぜ《モルダウ》は《ヴィシェフラト》で終わるのか。第7回:同(3)チェコにおける《モルダウ》の受容史。第8回:ゲスト演奏家を迎えてのレクチャー・コンサートをお楽しみいただきます。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 07/02 | 19世紀におけるベートーヴェンの跡目争い(標題音楽の成立へ) | 19世紀ロマン派の時代、まだベートーヴェンが生きていました。この巨匠をいかに継承し、発展させていくのかをめぐって、ロマン派では激しい跡目争いが起きました。その中で誕生したのが、「あらかじめ作曲者が解説を付けておく」オーケストラ音楽、すなわち「標題音楽」でした。ベートーヴェンからロマン派への音楽史的な背景に迫ります。 |
2 | 07/09 | ベルリオーズの《幻想交響曲》(1) | 標題音楽の第1号ともいえるオーケストラ作品が、ベルリオーズの《幻想交響曲》です。しばしば「自伝的交響曲」と呼ばれるほどエピソードに満ちています。ところが、ベルリオーズ自身が書いた解説(=標題)は、作曲の「あとに」何度も書き換えられていたのです。つまり、物語音楽ではなかったのです。標題を読みながら、この作品の映像を鑑賞してみましょう。 |
3 | 07/16 | ベルリオーズの《幻想交響曲》(2) | ベルリオーズはオーケストラ楽器の使い方の大天才でした。19世紀の初演当時の楽器を用いた《幻想交響曲》の演奏映像を見ながら、その天才ぶりを味わってみましょう。 |
4 | 07/23 | 交響詩の誕生(リストの交響詩《レ・プレリュード》) | 標題音楽という用語も、交響詩という新ジャンルも、生み出したのは「ピアノの魔術師」と呼ばれたフランツ・リストです。彼の代表的交響詩《レ・プレリュード》は、フランスの詩人ラ・マルティーヌの詩作品に「もとづく」とされますが、私がドイツで発見した手書きスコア(最初期稿)からとんでもない事実が判明しました。それを実証した演奏音源(2011年 NHKラジオ・センター長賞を受賞)や演奏映像もご視聴いただきます。 |
5 | 07/30 | 交響詩《モルダウ》とその原曲(1) | チェコの作曲家スメタナの連作交響詩《我が祖国》の第2曲が《モルダウ》です。中学校の音楽鑑賞教材としても、合唱曲としても有名です。しかしこの作品は、モルダウ川(チェコ語でヴルタヴァ川)の「描写音楽」ではなかったのです。この作品には、支配者民族に知られざる原曲(チェコ語の民謡)がありました。作曲者の「意図」に迫ります。 |
6 | 08/06 | 交響詩《モルダウ》とその原曲(2) | 《モルダウ》の終結部は、連作交響詩《我が祖国》の第1曲《ヴィシェフラト》のメロディに回帰して終わります。そもそもヴィシェフラトとはなにか。《モルダウ》に秘められた作曲者の「思い」と、作曲上の「意図」を追求していきます。 |
7 | 08/20 | 交響詩《モルダウ》とその原曲(3) | 交響詩《モルダウ》は、チェコの人々にとって特別な作品です。チェコの歴史のなかで、この作品がどのように受け取られてきたのか、その「受容史」から解釈していきます。チェコの名指揮者、ラファエル・クーベリックの感動的超名演の映像もご視聴いただきます。 |
8 | 08/27 | レクチャー・コンサート | 今期も、日本音楽コンクールで優勝されたヴァイオリニスト、清水英理子さんをゲスト演奏者に迎えて、これまでの学修に肉付けするようなレクチャー・コンサートを行いたいと思います。どうぞお楽しみに。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆楽譜が読めなくても、楽しく受講できます。
◆蛍光ペンを5色ご用意くださると、楽譜が読めなくてもグラフィックに音楽を理解できます。
講師紹介
- 野本 由紀夫
- 元玉川大学教授・日本女子大学非常勤講師
- 桐朋学園大学助教授を経て、2025年3月まで玉川大学芸術学部教授。NHK「名曲探偵アマデウス」および「ららら♪クラシック」の監修者・解説者、「又吉直樹のヘウレーカ!」、「チコちゃんに叱られる」他、出演多数。主著『はじめてのオーケストラ・スコア』はすでに27刷となるロングセラー。西洋音楽史・音楽文化論・音楽鑑賞理論・オーケストラ指揮者としても活動中。