ジャンル 世界を知る

中野校

オランダ東インド会社から読み解く近世ヨーロッパとアジア

  • 春講座

島田 竜登(東京大学 准教授)

曜日 金曜日
時間 10:40~12:10
日程 全6回 ・04月04日 ~ 06月20日
(日程詳細)
04/04, 04/18, 05/09, 05/23, 06/06, 06/20
コード 310328
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・近世ヨーロッパとアジアとの関係を、オランダ東インド会社の歴史から具体的に考える。
・国際貿易や異文化間交流を題材に、近世グローバル・ヒストリー研究の最新動向を理解する。
・オランダ東インド会社の事例分析から、多民族共生など現代的な諸問題解決の糸口を模索する。

講義概要

17世紀のオランダは黄金時代と呼ばれるほど経済的繁栄を謳歌しました。レンブラントやフェルメールが活躍した時代であり、そうしたなかで史上初のグローバル・カンパニーであったオランダ東インド会社が誕生します。オランダ東インド会社はアジア各地に多数の商館を設置し、様々なビジネスを行いました。最新の研究に基づきながら、オランダ東インド会社の歴史を紐解き、17世紀から18世紀にかけてのヨーロッパとアジアの関係を考察します。このことはまた、会社とは何か、グローバル化が引き起こす文化摩擦を回避する工夫は何であったかなど、現今の社会問題を考える際のヒントを模索することにもなるでしょう。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/04 オランダ東インド会社の誕生 オランダ東インド会社は1602年に特許会社として設立されました。1600年設立のイギリスの東インド会社と比べ、10倍以上の資本金を集めました。膨大な資本金をもとにどのようなビジネスを展開したのでしょうか。オランダ東インド会社の組織や意思決定の仕組みなど基本的な特徴を解説します。また、例えば18世紀の半ば過ぎまでヨーロッパとアジアとの貿易活動をリードし続けたことなど最先端の研究成果を紹介します。
2 04/18 ヨーロッパ・アジア間貿易 オランダ東インド会社が設立された当初の目的は、アジアに出向き、ヨーロッパ市場が必要としていたアジア産品を購入してくることにありました。オランダから銀を持ち出し、アジアから胡椒をはじめとした香辛料、のちには砂糖や綿織物、コーヒー、茶などを持ち帰りました。こうしたヨーロッパ・アジア間貿易の実態と変遷について、アジアの生産地やヨーロッパの消費市場の動向などを踏まえ具体的に解説します。
3 05/09 アジア域内貿易 オランダ東インド会社の発展の背後には活発なアジア域内貿易がありました。日本から西アジアにかけての海域アジア各地に多数の商館を設置し、これらアジア内の商館を結ぶ貿易活動を行っていたのです。このアジア域内貿易からの多額の利益が、オランダ東インド会社に繁栄をもたらします。アジア域内貿易について具体的に検討するとともに、イギリス東インド会社がなぜアジア域内貿易を行うことができなかったのかを考えます。
4 05/23 グローバル・カンパニーの多民族共生ガバナンス オランダ東インド会社にかかわった人々はオランダ人だけではありませんでした。ドイツや北欧出身の職員もいましたし、アジア人の船員もいました。一つの船にヨーロッパ人船員とインド出身のムスリム船員が同乗していたのです。言葉や宗教の違う人々が、文化摩擦を回避しながら、どのようにして一つの会社で働いていたのでしょうか。グローバル・カンパニーに特徴的なこの一大問題について歴史的に検討します。
5 06/06 近世植民都市バタヴィアの多民族共生社会 オランダ東インド会社のアジア内での最大拠点はバタヴィアに置かれました。現在のインドネシアの首都ジャカルタです。このバタヴィアはオランダ東インド会社が開発した都市であり、オランダ東インド会社の職員のほか、中国やインドからの多数のアジア人移民とその子孫たちが居住していました。いわばマルチ・エスニック社会であったのですが、こうした植民都市の特徴と平和共存の仕組みを解明します。
6 06/20 長崎出島とグローバル・ヒストリー 長崎出島のオランダ商館について分析します。まずオランダ東インド会社が日本に商館を設置した理由を、グローバル・カンパニーであったオランダ東インド会社の経営上の観点から考察します。次いで、出島のオランダ商館にいた多数の奴隷について検討します。彼らはどこから来て、出島で何をしていたのでしょうか。彼らがいかにオランダ人や日本人と関わったのかについて具体的に考察します。

講師紹介

島田 竜登
東京大学 准教授
東京大学大学院人文社会系研究科(文学部)准教授。ライデン大学PhD。専門は東洋史学(南・東南アジア史)、グローバル・ヒストリー。オランダ東インド会社文書などを解読し、世界貿易史や異文化交流の歴史などに関心がある。主著The Intra-Asian Trade in Japanese Copper by the Dutch East India Company during the Eighteenth Century, Leiden: Brill, 2006のほか、編著『1683年 近世世界の変容』『1789年 自由を求める時代』(いずれも山川出版社、2018年)、共編著『アジア経済史研究入門』(名古屋大学出版会、2015年)『歴史に刻印されたメガシティ』(東京大学出版会、2016年)『構造化される世界:14〜19世紀』岩波講座世界歴史第11巻(岩波書店、2022年)などがある。
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