ジャンル 現代社会と科学
早稲田校
変わりゆく都市国家シンガポール―過去、現在、そして未来
久末 亮一(日本貿易振興機構アジア経済研究所開発研究センター副主任研究員)

曜日 | 月曜日 |
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時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全10回
・04月07日 ~
06月16日 (日程詳細) 04/07, 04/14, 04/21, 04/28, 05/12, 05/19, 05/26, 06/02, 06/09, 06/16 |
コード | 110736 |
定員 | 30名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・シンガポールとはどのような国かを知る。
・都市の持つ歴史的文脈から現在と未来を考える。
・世界における東南アジアの位置づけを多面的に理解する。
講義概要
シンガポールは1965年に建国された都市国家ですが、その経済発展は目覚ましく、2023年の一人あたり名目GDPは世界5位に位置します。一方で「建国の父」リー・クアンユーの統制的体制は21世紀に限界を迎え、2010年代以降は統治モデルの転換が進みつつあります。このように注目を集めるシンガポールですが、その歴史的文脈が現代にどのような影響を及ぼしてきたかを理解する機会は、あまり提供されていません。そこで本講座はシンガポールを、過去・現在・未来を俯瞰する時間軸のなか、さまざまな切り口で多面的に紹介しつつ、これを一国への理解にとどまらず、世界における東南アジアの位置づけを考える契機にしたいと思います。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/07 | イントロダクション:シンガポールの面白さを探る | シンガポールの概要と多面性を紹介。 |
2 | 04/14 | シンガポールは「インドの一部」!?:自由港の成立と発展の歴史(19世紀〜20世紀前半) | 1819年の開港から、19世紀〜20世紀前半を通じた経済と都市の発展を解説。 |
3 | 04/21 | 自治領からマレーシア連邦、そして独立:リー・クアンユーという人物の登場(1940年代後半〜1965年) | 「戦後」という時代環境の激変のなか、1950年代の自治領運動と、そこから台頭したリー・クアンユーの権力闘争、そして1963年のマレーシア連邦加入、1965年の連邦追放による分離・独立という、政治的波乱の時代を知る。 |
4 | 04/28 | 「国民国家」の建設:高度経済成長の時代(1965〜1970年代) | リー・クアンユーと同志たちによる徹底的な社会改造によって、新しい「国民国家」が建設されてゆく姿を、その光と影と共に辿る。 |
5 | 05/12 | リーからゴー、ゴーからリー、でもやっぱりリー:権力継承の系譜とメカニズム(1980〜2000年代) | 高度経済成長で国家を発展させる一方、1980年代から変化を見せはじめたリー・クアンユーの統治思想が、同国の権力継承にどのように影響を及ぼしたかを考察。 |
6 | 05/19 | 閑話休題:日本・シンガポール関係史 | 因縁浅からぬ日本とシンガポール。その過去から現在の長きにわたる関係を、さまざまな話題と共に知る。 |
7 | 05/26 | 2011年の政治的衝撃:統治モデルの転換模索へ(2010年代) | 21世紀に入ると次第に硬直化していったリー・クアンユーの統治モデルが、2011年の2つの選挙結果によって抜本的転換を迫られた姿を解説。 |
8 | 06/02 | 「第四世代」への権力継承:その迷走と背景(2010年代) | 2010年代を通じて、リー・シェンロン首相は自身の後継者を探すものの、それが思わぬ迷走を辿った経緯を考察。 |
9 | 06/09 | 複雑さを増す国際環境の中で:シンガポールの外交・安全保障政策(2010年代) | 「バランス外交」の大原則を守りながら、独立期・冷戦期・ポスト冷戦期を経て、現在の米中対立のなか、どのような外交・安全保障上の立ち位置にあるかを解説。 |
10 | 06/16 | シンガポールの未来:漸進的だが不可逆な自由化への道 | 小都市国家として挑戦すべき課題が山積するなかでも、前進を続けるシンガポールとその未来を展望しつつ、私たちが学ぶべきものは何かを考える。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
・休講が発生した場合の補講は6月23日(月)を予定しています。
講師紹介
- 久末 亮一
- 日本貿易振興機構アジア経済研究所開発研究センター副主任研究員
- 学術博士(東京大学)。専門はアジア経済史、シンガポール政治経済、比較都市史(香港・シンガポール)。東京大学助教、政策研究大学院大学助手を経て、日本貿易振興機構アジア経済研究所。主著に『香港:帝国の時代のゲートウェイ』(名古屋大学出版会、2012年)、『転換期のシンガポール』(アジア経済研究所、2021年)。