ジャンル 世界を知る

中野校

経済で読みとく戦いの歴史

  • 春講座

小野 圭司(防衛省防衛研究所主任研究官)

曜日 水曜日
時間 15:05~16:35
日程 全8回 ・04月16日 ~ 06月11日
(日程詳細)
04/16, 04/23, 05/07, 05/14, 05/21, 05/28, 06/04, 06/11
コード 310323
定員 36名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 23,760
ビジター価格 受講料 ¥ 27,324

目標

・戦いの背景を、経済と歴史の視点から学ぶ。
・経済・戦争を通して、人間社会の課題を多面的に捉える。

講義概要

人間社会の歩みは、「経済活動の歴史」であると同時に「戦いの歴史」でもありました。この2つはどのように結び付き、社会とどう関わってきたのでしょうか。本講座では、古代ギリシア・ローマから中世ヨーロッパ、戦国日本、さらには2つの世界大戦や現在のウクライナ侵攻まで、人間の営みとしての戦いを経済の視点から読み解きます。例えば、戦争に必要なお金の集め方と使い方、ルネサンスと傭兵の関係、近代総力戦が庶民の生活に与えた影響などを、歴史上の逸話を紹介しつつ、その背後にある理論や考え方に触れながら解説します。「戦いと経済」を切り口に、人間社会が辿ってきた途を一緒に探訪しましょう。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/16 できればタダ乗りしたい:戦争の公共財論 軍事力は民間企業によって提供されません。なぜでしょうか。本講座は、この問いから始めます。また軍隊は戦争をしていなくても、存在するだけでカネがかかります。もちろん戦争が激しくなると軍事支出は増えて、庶民の生活が犠牲となります。そのような戦争と経済の仕組みを解説します。
2 04/23 戦場の沙汰もカネ次第:戦争の財政学 古代ローマや絶対王政ヨーロッパでは、戦争のために税金を集め、足りなければ大富豪から借りていました。しかし近代に入ると、広く庶民からお金を借りて戦争をするようになります。もちろん返済が必要ですし、戦争に負けると賠償金を払います。第1次大戦は4年で終わりましたが、ドイツが賠償金を払い終えたのは90年後の2010年でした。戦争が財政に始まり財政に終わる様を辿ります。
3 05/07 始まりは美女の誘拐:戦争の通商・産業論 記録が残る最古の経済封鎖は古代ギリシア(紀元前432年)のもので、美女の奪い合いが戦争の発端という戯曲も作られます。戦国日本は、銀や銅の輸出、傭兵募集でヨーロッパと繋がり、イエズス会も一役買いました。第4次中東戦争(1973年)では石油、ウクライナ侵攻(2022年〜)では食料の輸出制限が世界を揺さぶります。生活物資から武器の輸出入まで、戦争と通商・産業の関りを考えます。
4 05/14 モナ・リザが微笑んだ:ルネサンスの戦争経済学 ルネサンスになって、史上初めてヨーロッパは世界の先進地域としての地位を固めます。その人文主義・合理主義は芸術や科学技術を発達させ、これは軍事技術にも及びます。モナ・リザを描いた天才レオナルド・ダ・ヴィンチは軍事技術者でもあり、戦争思想家のマキャベリと一緒に仕事もしました。この輝かしいルネサンスも戦争と傭兵に翻弄されます。戦争経済の視点から、ルネサンスを読み解きます。
5 05/21 戦うバランスシート:戦争の通貨・金融論 戦争に必要なカネが足りなければ、借りるしかありません。必要があれば、戦争のために銀行を作ります。英国の中央銀行イングランド銀行や日本の一部メガバンクは、こうしてできました。僧兵が跋扈した比叡山延暦寺も金融業を営みます。また贋金作りが「作戦」として採用されることもありました。近代では銀行の協力なくして戦時国債の発行は不可能です。戦争と通貨・銀行の関りを深堀します。
6 05/28 家康が真に恐れたもの:戦国日本の戦争経済学 関ヶ原の戦い(1600年)に勝って幕府を開いた徳川家康にとって、大坂城の豊臣秀頼の存在は頭痛の種でした。大阪夏の陣(1615年)で豊臣家は滅びますが、落城後の大坂城には「大坂の陣 シーズン2」をやるだけの金銀が残っていました。戦国時代には万単位の足軽が動員されるようになり、武将たちは金策に奔走します。「日本らしさ」も垣間見える、戦国時代の戦いと経済の関係を概観します。
7 06/04 市民革命+産業革命⇒総力戦:総力戦の経済学 今年はポーツマス条約締結120周年、そして第2次大戦終結80周年です。ナポレオン戦争(1799〜1815年)以降、国民国家の成立と産業革命の進展は、戦争の形態を総力戦へと変化させました。総力戦では経済力はどのように動員され、庶民の日常生活に影響を与えたのか。マルクス経済学で独ソ戦(1941〜45年)を戦い抜いたソ連の例も紹介しながら、経済データを用いて解説します。
8 06/11 古くて新しい職業:傭兵の経済学 古代文明の成立時、傭兵は既に存在していました。中世ヨーロッパでは傭兵同士が戦います。米国独立宣言(1776年)は、英国王の傭兵動員を非難しました。現代では傭兵は国際条約で禁止となります。しかし冷戦終結後、民間軍事会社(PMSC)が登場、ウクライナ侵攻(2022年〜)にも参画します。「体で稼ぐ」傭兵から、「頭で稼ぐ」危機管理コンサルとして生き残りを図るPMSCまでの歴史を辿ります。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆3/8(土)13:30より本講座の無料体験講座を早稲田校で実施します。
◆無料体験講座お申し込みはこちらから。
https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/65502/

講師紹介

小野 圭司
防衛省防衛研究所主任研究官
経済の観点から軍事・安全保障問題を研究。政策研究大学院大学、防衛大学校、統合幕僚学校などでも講師を務める。人工知能の軍隊への導入や人口動態と安全保障の問題も研究。著書に『戦争と経済――舞台裏から読み解く戦いの歴史』(日本経済新聞出版)など。

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