ジャンル 芸術の世界
早稲田校
西欧中世の美術と建築―ロマネスク・ゴシックの教会堂
小倉 康之(玉川大学教授、美術博士)

曜日 | 土曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全10回
・04月05日 ~
06月21日 (日程詳細) 04/05, 04/12, 04/19, 04/26, 05/10, 05/17, 05/31, 06/07, 06/14, 06/21 |
コード | 110435 |
定員 | 36名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・中世ヨーロッパの美術と建築について、様式上の特質を理解し、作品鑑賞に役立てることができる。
・ロマネスク・ゴシックの絵画・ステンドグラスと彫刻、工芸、建築について、主要な作品の主題と象徴的意味について理解を深める。
講義概要
中世ヨーロッパは「総合芸術」の時代です。絵画・彫刻と教会建築は一体化し、あたかも交響楽のように、ひとつの世界観を表現しています。本講座では、中世のキリスト教芸術をより深く理解するために、美術史と建築史、二つの視座から考察します。まず、教会堂の空間構成と装飾について、図像学と様式史の視点から解説します。その上で、絵画や彫刻、工芸作品の主題を読み解き、教会堂のシンボリズムとの関わりについて考えます。フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、スペインの街に聳え立つゴシックのカテドラル、田園風景の中に溶け込むロマネスクの教会堂について、豊富な写真と図版を用いながら、わかりやすく解説いたします。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/05 | ロマネスクの美術と建築【Ⅰ】:カロリング朝とオットー朝〜フランクとザクセンの芸術〜 | 西ローマ帝国の滅亡から民族移動期、カロリング朝フランク王国、オットー朝神聖ローマ帝国の美術と建築について考察します。ケルト美術、カール大帝時代の写本挿絵やオットー朝時代の写本、初期中世の教会建築などを取り上げ、フランク族とザクセン族の歴史と文化について触れながら、個々の作品の象徴的な意味を解読します。 |
2 | 04/12 | ロマネスクの美術と建築【Ⅱ】: ロンバルディアとカタルーニャ〜ロマネスクの起源〜 | 前半は、北イタリア、ロンバルディア地方におけるランゴバルド族の美術、および初期ロマネスク期のロンバルディア建築・壁画を取り上げ、ロマネスク様式の「ロンバルディア起源説」について再考します。後半は、スペイン、カタルーニャの初期ロマネスク様式の教会堂について解説します。 |
3 | 04/19 | ロマネスクの美術と建築【Ⅲ】: ライン文化圏の教会堂〜皇帝権とロマネスク芸術〜 | ロタンギリア、すなわち現在のフランス東部とドイツ西部にまたがるロレーヌ、ラインラント、アルザス、シュヴァーベン地方など、ライン川・モーゼル川流域の美術と建築について考察します。アーヘンの宮廷礼拝堂からシュパイヤー・マインツ・ヴォルムス大聖堂に至る皇帝美術と教会建築の象徴的意味について、建築・絵画・彫刻・工芸の分野を総合的に捉えます。 |
4 | 04/26 | ロマネスクの美術と建築【Ⅳ】: ブルゴーニュとアキテーニュ〜フランス南部の美術と建築〜 | 第4回の講義では、ブルゴーニュとアキテーニュのロマネスク美術と教会堂について考察します。歴史的な背景を理解するため、ブルグンド王国からブルゴーニュ公国に至る歴史、アキテーニュ公国の歴史と文化について概説し、その上でキリスト教芸術の主要な作品について解説します。クリュニー派とシトー派の教会堂、サン・サヴァン・シュル・ガルタンプ教会堂のフレスコ画を中心に考察します。 |
5 | 05/10 | ロマネスクの美術と建築【Ⅴ】: サンティアゴ巡礼とレコンキスタ〜ロマネスクとイスラーム〜 | サンティアゴ巡礼路の教会堂と美術について考察します。バスク人とナバーラ王国が果たした役割、レコンキスタにおけるイスラーム・スペイン(後ウマイヤ朝・タイファ王国)、ムラービト朝・ムワッヒド朝のイスラーム勢力との異文化接触に注目し、ロマネスク美術におけるイスラームの影響について考えます。 |
6 | 05/17 | ゴシックの美術と建築【Ⅰ】: フランス・イギリスのゴシック大聖堂〜ゴシック様式の変遷〜 | 初めに、イギリスにおけるゴシック様式の変遷について通観します。カンタベリー大聖堂、リンカーン大聖堂、ソールズベリー大聖堂、ウェールズ大聖堂、グロスター大聖堂、ロンドン・ウエストミンスター寺院 などを概観し、ゴシックとは何か、について考えます。後半は、パリのノートルダム大聖堂、シャルトル大聖堂、ラン大聖堂、ランス大聖堂、アミアン大聖堂など、フランスの大聖堂を取り上げ、ヴィラール・ド・オヌクールの画帖と関連づけながらゴシック様式の伝播について考察します。 |
7 | 05/31 | ゴシックの美術と建築【Ⅱ】: 大聖堂の装飾〜ステンドグラスとトリフォリウム〜 | 前半はゴシックのステンドグラスについて、《善きサマリア人の喩え》など、聖書のテキストと関連づけながら理解を深めます。また、ステンドグラスの象徴的意味と建築との関わりについて考え、ゴシック建築のトリフォリウムの役割と象徴的意味を明らかにします。後半はパリのノートルダム大聖堂と建築装飾・ステンドグラス、フリードリヒ2世とシチリアの教会堂およびカステル・デル・モンテについて解説します。 |
8 | 06/07 | ゴシックの美術と建築【Ⅲ】: ゴシック様式の彫刻〜フランスとカタルーニャ〜 | 第8回のテーマは聖王ルイ9世とサントシャペル、ゴシック様式の彫刻です。ランス大聖堂の彫刻群など、盛期ゴシックの多様な彫刻の様式美について考察します。後半はカタルーニャ・ゴシックとフランス・ゴシックとを比較し、ゴシックの地域性について考えます。 |
9 | 06/14 | ゴシックの美術と建築【Ⅳ】:ゴシック芸術の地域性〜フランスとイタリア〜 | フランスとイタリアの作例を比較しながら、ゴシックの地域性について、理解の深化を図ります。シャルトル大聖堂、およびフリードリヒ2世とシチリアの建築を中心に考察します。また、後半は、バルセロナのゴシック聖堂とアラゴン・カタルーニャ連合王国の芸術、ブルゴス大聖堂とイスラームなどのテーマを扱う予定です。 |
10 | 06/21 | ゴシックの美術と建築【Ⅴ】: ゴシックとルネサンス〜イタリア中世絵画の位置づけ〜 | フランス・ゴシックの写本挿絵とイタリアにおけるプロト・ルネサンスの壁画について考察します。フランスとイタリアの絵画作品を比較し、ゴシック絵画とプロト・ルネサンス絵画の違いについて、歴史的背景や美意識の相違などから理解を深めます。イタリアの画家、カヴァリーニとチマブーエ、アッシジのサン・フランチェクスコ聖堂などを取り上げ、13世紀・14世紀のイタリア中世絵画の特質について解説します。建築の分野では、ミラノ大聖堂の歴史的定位について考察します。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆3/8(土)13:30より本講座の無料体験講座を早稲田校で実施します。
◆無料体験講座お申し込みはこちらから。
https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/65296/
◆持ち物: 筆記用具
◆プロジェクターによる画像投影を行いますので、室内が暗くなります。必要に応じてペンライトなどお手元の明かりをお持ちください。
◆2023年度冬学期の「西洋美術の流れ ロマネスク・ゴシック篇」の続編(発展的内容)ですが、初めての方も問題なくご受講いただけます。新しい内容で講義を行いますが、3割〜4割程度、「西洋美術の流れ」の内容の振り返り(重複)があることをご了承ください。
備考
5/24(土)は休講となりました。補講は6/21(土)に行う予定です。
講師紹介
- 小倉 康之
- 玉川大学教授、美術博士
- 1968年、千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。東京藝術大学大学院美術研究科修士・博士後期課程修了、2001年博士号取得。西洋美術史(建築図像学)専攻。著書・論文: 『ビジネスエリートのための! リベラルアーツ2 西洋美術』 (監修・著、すばる舎)、 『イメージとテキスト』 『イメージとパトロン』(共著、ブリュッケ社)、「第二次シュパイヤー大聖堂のアプシスと霊廟建築」(『美學』 第212号)など。現在、玉川大学芸術学部アート・デザイン学科教授、共立女子大学文芸学部・実践女子大学文学部非常勤講師。