ジャンル 芸術の世界
中野校
チャップリンが見たファシズム いかにして【笑い】はファシズムと闘ったか?
大野 裕之(劇作家、日本チャップリン協会会長)

曜日 | 土曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全4回
・04月12日 ~
05月24日 (日程詳細) 04/12, 04/26, 05/10, 05/24 |
コード | 310418 |
定員 | 24名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 11,880 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 13,662 |
目標
・チャップリンが、1931〜1932年の世界旅行においてファシズムの危機を目撃した様を追う。
・喜劇王と、ガンジーやアインシュタインら世界の偉人たちとの興味深い対話について考察する。
・笑いを武器に闘ったチャップリンを通して、混迷を深める現代を生き抜くヒントを学ぶ。
講義概要
喜劇王チャップリンは、1931〜1932年にかけて世界旅行に出ました。世界恐慌から続く政情不安の中、ドイツではナチスの妨害を受け、イタリアではムッソリーニの独裁政治を肌に感じ、日本では五・一五事件の標的として命を狙われるなど、各地でファシズムの萌芽を目の当たりにしました。また、ガンジーやチャーチル、アインシュタインら、時代を代表する偉人と語り合いました。この時の経験は、のちにヒトラーを痛烈に笑い飛ばした名作『独裁者』へと繋がっていきます。<笑い>は果たして、全体主義に対しての武器になるのか?チャップリンの闘いは、混迷を深める現代に生きる私たちに多くのヒントを教えてくれます。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/12 | 喜劇王の凱旋帰国〜ロンドンへのノスタルジック・ジャーニー | 1931年、名作『街の灯』を完成させたチャップリンはハリウッドを旅立って、世界旅行に出ます。最初に彼が訪れたのは生まれ故郷のイギリス。実に10年ぶりの凱旋帰国でした。第一回目は、チャップリンの極貧の生い立ちから大成功するまでをたどりつつ、チャップリン映画の魅力に迫ります。またこの時の帰国で出会ったチャーチルやバーナード・ショー、ガンジーなどとの興味深い対話について紹介します。 |
2 | 04/26 | チャップリンvsヒトラー | チャップリンはその後ドイツへと旅立ちます。そこでの1週間の滞在の間に、大衆からの大歓迎とナチスからの数々の妨害を受けます。実は、ヒトラーは1920年代からチャップリンへのバッシングを繰り返していました。チャップリンとヒトラーとの知られざる闘いについて詳しく論じます。また、チャップリンがヨーロッパ各地を訪れた際の抱腹絶倒のハプニングや行く先々での奔放な恋愛など、プライベートな面についても。 |
3 | 05/10 | 五・一五事件とチャップリン | ヨーロッパを離れたチャップリンは、インド、バリ島などを経由して、日本を訪れます。この初来日の翌日に五・一五事件が勃発。なんと海軍将校たちは犬養毅首相とともに、チャップリンの命を狙っていました。この時、いかにしてチャップリンは難を逃れたか——サスペンス映画さながらの展開についてお話しします。また、チャップリン秘書・高野虎市の生涯や、チャップリンと日本との深い関わりについても紹介します。 |
4 | 05/24 | 名作『独裁者』製作秘話 | 世界旅行から帰国したチャップリンは、機械文明を痛烈に批判した『モダン・タイムス』を発表。その後、『独裁者』を製作し、ヒトラーに真っ向から立ち向かいました。ドイツだけでなく、アメリカやイギリスからも製作中止を求める妨害を受けながら、どのようにして傑作を作り上げたのか。そして、そのことがナチスに対して具体的にどんな打撃を与えたのか?笑いを武器に闘ったチャップリンの生き方は、わたしたちに多くのことを教えてくれます。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講日は6月7日(土)を予定しています。
◆講師著書の『チャップリンが見たファシズム—喜劇王の世界旅行1931-1932』をお読みいただきますと、より理解が深まります。
講師紹介
- 大野 裕之
- 劇作家、日本チャップリン協会会長
- 1974年大阪府生まれ。京都大学大学院卒。映画学・英米文化史。『チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦』(岩波書店)で、第37回サントリー学芸賞。脚本・製作を手がけた映画『太秦ライムライト』(福本清三主演)はカナダのファンタジア国際映画祭最優秀作品賞ほか国内外で13の賞を受賞するなど、脚本家・研究者として幅広く活動。他に、『音楽劇ライムライト』(石丸幹二主演、シアタークリエ他で上演)の脚本など。最新刊は、『チャップリンが見たファシズムー喜劇王の世界旅行1931-1932』(中公選書)。