ジャンル 芸術の世界
オンライン
蔦屋重三郎が手掛けた絵師たち 出版活動の足跡をたどり、歌麿、写楽の「謎」をひも解く
松嶋 雅人(東京国立博物館学芸企画部長・広報室長)
曜日 | 水曜日 |
---|---|
時間 | 19:00~20:30 |
日程 |
全4回
・05月14日 ~
06月18日 (日程詳細) 05/14, 05/28, 06/11, 06/18 |
コード | 710403 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 11,880 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 13,662 |
目標
・江戸時代後期の特筆すべき版元として知られる蔦屋重三郎の出版活動の概要を理解できる。
・蔦屋重三郎が発掘し世に出した浮世絵師と、その作品の魅力と特色を知ることができる。
・蔦屋重三郎の活動を通して、江戸後期文化に対する理解を深めることができる。
講義概要
江戸時代後期の傑出した出版業者である「蔦重」こと蔦屋重三郎は、浮世絵の世界で喜多川歌麿、東洲斎写楽といった現代では世界的芸術家として評される絵師を世に出したことで知られている。この講義ではその蔦屋の出版活動をみつめながら、「浮世絵の黄金期」ともいわれた天明・寛政期(1781〜1801)を中心に、絢爛たる浮世絵世界を紹介する。
江戸の版元たちが浮世絵版画で様々な新機軸を打ち出し、しのぎ削る中で蔦重は、江戸の「今」を生きる人々の内面を映し出した。それらが版元・蔦重の、そして浮世絵の人物表現の一つの到達であることを歌麿、写楽といった人気浮世絵師たちの作品を通して明らかにする。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
---|---|---|---|
1 | 05/14 | 蔦屋重三郎と吉原―出版活動のはじまり | 幕府公認の遊郭、吉原で生まれた蔦屋重三郎は、吉原大門前で遊郭の情報誌『吉原細見』に関わり、出版活動をはじめる。吉原生まれの蔦重が、その強みを生かして出版界に様々な新機軸を打ち出していくが、江戸で流行した富本節の歌詞を載せた『富本正本』や初等教科書である『往来物』などの販売を通して地盤を固めながら、当時の人気絵師たちとも関わり、版元への道を進んでいく様を明らかにする。 |
2 | 05/28 | 天明狂歌の流行と蔦屋重三郎の戯作出版 | 江戸では天明期に狂歌が大流行し、武士や町人たちや歌舞伎役者など階層に関わらず、人々はこぞって狂歌に遊び戯れた。この「天明狂歌」の大ブームの中で、吉原の地で蔦重は文化人との強固なネットワークを築いていく。ここでは当時の人気戯作者である朋誠堂喜三二や恋川春町、山東京伝といった流行作家の傑作の数々を世に出した蔦重の戯作出版の道程をたどっていく。 |
3 | 06/11 | 喜多川歌麿の登場ー大首絵の意味 | 日本橋油通町に店を構えた蔦屋重三郎は、満を期して浮世絵版画出版に乗り出していく。浮世絵出版において、蔦重自らが発掘した絵師、喜多川歌麿は狂歌絵本において、細やかな写実描写の粋を見せつけ、「大首絵」という顔のクローズアップの表現によって、女性の内面まで画面に描き出した。その歌麿作品の魅力を明らかにすることで、蔦重のアートディレクターとしての意義を探る。 |
4 | 06/18 | 東洲斎写楽のリアリズムと蔦屋重三郎の事業展開 | 蔦屋重三郎は突如、無名の新人絵師である東洲斎写楽による役者大首絵28枚を一挙に出版する。この版行への蔦重の思惑を探るとともに、写楽の役者大首絵に、いかにリアリズムが発揮されているかをひも解く。あわせて寛政の改革がもたらした出版界の大変動に、蔦重はどのように対応し、展開していったのかをだとっていく。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講は、6月25日(水)を予定しております。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30 までに公開します。インターネット上で 1 週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員】授業動画の視聴方法(会員向け)
【ビジター・法人会員】授業動
画の視聴方法(ビジター・法人会員向け)
講師紹介
- 松嶋 雅人
- 東京国立博物館学芸企画部長・広報室長
- 1966年、大阪市生まれ、1990年金沢美術工芸大学卒業、1997年東京藝術大学大学院 博士後期課程単位取得満期退学、1998年12月より東京国立博物館研究員。
主な著書に『あやしい美人画』(東京美術・2017)、『蔦屋重三郎と浮世絵:「歌麿美人」の謎を解く』(NHK出版新書・2024)など。
主な展覧会企画に、特別展『没後400年 長谷川等伯(東京国立博物館、京都国立博物館・2010)、『本阿弥光悦の大宇宙』(東京国立博物館・2024)、『蔦屋重三郎―コンテンツビジネスの風雲児』(東京国立博物館・2025)などを企画。
大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(NHK・2025)の近世美術監修。