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人物伝から学ぶオスマン帝国600年の歴史

  • 春講座

小笠原 弘幸(九州大学准教授)

曜日 木曜日
時間 10:30~12:00
日程 全10回 ・04月10日 ~ 06月19日
(日程詳細)
04/10, 04/17, 04/24, 05/08, 05/15, 05/22, 05/29, 06/05, 06/12, 06/19
コード 710307
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・オスマン帝国の歴史の流れを理解する
・オスマン帝国の政治や文化の基本的な知識を身に着ける

講義概要

オスマン帝国(1299年頃〜1922年)は、今のトルコ共和国を中心として成立し、アジア・アフリカ・ヨーロッパの三大陸にわたって版図を広げました。その歴史は、日本史でいえば鎌倉時代から大正時代にまで重なります。この広大かつ長期に渡って存続した帝国は、多様な宗教や民族からなる人々によって担われてきました。本講座は、オスマン帝国で生きた人々のうち、特に魅力的な人物に着目し、彼ら・彼女らの人生を追体験し、合わせて帝国の歴史も理解することを目的とします。オスマン帝国を支えた君主や政治家などの国家の重要人物のほか、建築家や作家など、帝国の文化を担った文人たちも取り上げる予定です。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/10 オスマン帝国とは何か 初回では、オスマン帝国の歴史についての全体像をわかりやすく説明するとともに、建国者オスマン一世をはじめ、帝国創成期の人々についてお話しします。
2 04/17 征服王メフメト二世と大宰相マフムト オスマン帝国が、名実ともに「帝国」といえるほどに発展したのは、1453年、時の君主メフメト二世が、ビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルを征服したのちのことです。征服王と呼ばれたこの君主と、彼の右腕であった大宰相マフムト(セルビア出身の元キリスト教徒でした)について説明します。
3 04/24 壮麗王スレイマン一世と寵姫ヒュッレム オスマン帝国の「黄金時代」を築いたのが、第10代君主スレイマン一世です。壮麗王とも立法王とも呼ばれた彼は、ハプスブルク帝国を追い詰めるなど、後世の記憶に残る事績をいくつも残しました。また、彼の寵姫で、ウクライナ出身のヒュレムは、スレイマンに深く愛され、国政にも大きな影響を与えました。この二人を中心に、黄金時代のオスマン帝国を説明します。
4 05/08 白人宦官長ガザンフェル・アアとハレムの世界 オスマン帝国は、君主を中心とした国家です。後継者を作るために、ハレム(後宮)という制度が整備されました。女性の世界であるハレムでは、去勢された男性である宦官が実務をとりしきりました。中でも有名なのが、イタリア系で元キリスト教徒であった白人宦官長ガザンフェルです。彼は、イタリアにいる家族と交流を続けながら、ハレムの影の権力者として君臨しました。彼の隠然たる活躍を中心に、ハレムの世界を説明します。
5 05/15 大建築家ミマール・スィナンとオスマン帝国のモスク トルコを中心としたオスマン帝国の旧領では、帝都イスタンブルをはじめ、多くのモスクが残されています。そして大モスクのいくつもが、16世紀に活躍した大建築家、ミマール・スィナンの手によるものです。元キリスト教徒だった彼の人生は、彼の建築に劣らず、ドラマチックなものでした。第5回では、彼の人生と彼の名作を紹介します。
6 05/22 大宰相を輩出したキョプリュリュ家と帝国の改革 17世紀、オスマン帝国の破竹の進撃は止まり、国内的にも停滞と混乱の時期が訪れました。こうしたなか、大宰相となり、「中興の祖」とも言える業績を残したのが、アルバニア系で元キリスト教徒であった大宰相キョプリュリュであり、彼の一族でした。帝国を支えたキョプリュリュ家の人々について、お話しします。
7 05/29 19世紀のオスマン宮殿を作ったアルメニア系建築家バルヤン一族 オスマン帝国の宮殿といえば、トプカプ宮殿が有名です。しかし19世紀には、ドルマバフチェ宮殿をはじめ、近代的で洋風の宮殿がいくつも作られました。それらのほとんど全てを手掛けたのが、建築家一家であるバルヤン一族です。彼らはアルメニア系であったため、その業績を低く評価されていましたが、近年、再評価の動きが広がっています。新宮殿とともに、彼らの活動を紹介します。
8 06/05 新時代のオスマン帝国を作った青年トルコ人たち 1908年、立憲政をもとめた若手将校たちが青年トルコ革命を起こします。革命は成功し、オスマン帝国では議会と憲法が復活しました。「諸民族の統一」を目指す、新しい時代を迎えたのです。しかし、これを先導した統一進歩委員会のリーダーたち、エンヴェル、ジェマル、タラートの三人は、徐々に権力を握り、オスマン帝国は第一次世界大戦へと向かってゆきます。彼ら三人の人生は、どのようなものだったのでしょうか。
9 06/12 王族ならざる女性たちの活躍 前近代のオスマン帝国において、活躍する女性は、寵姫や王女などの王族関係者に限られていました。しかし、19世紀後半には、王族ではない女性たちがオスマン社会で存在感を放つようになります。第9回は、オスマン末期にトルコ独立戦争に参加した女性作家ハリデ・エディプを中心に、彼女たちの活動を紹介します。
10 06/19 トルコ建国の父ケマル・アタテュルクと妻ラティーフェ オスマン帝国は、第一次世界大戦に敗北し、滅亡の道を進むことになります。帝国が崩壊するなか、列強の支援を受けて侵略したギリシアを退けたのが、将校ムスタファ・ケマルでした。彼は、列強に従属していたオスマン王家を追放し、トルコ共和国を打ち立てます。のちにアタテュルク(トルコ国民の父)の名をえた彼は、まさにトルコ建国の父でした。彼の激動の人生を、彼を取り巻く人々、特に彼の妻であったラティーフェも取り上げつつ、お話しします。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は6月26日(木)を予定しております。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず
「オンラインでのご受講にあたって」
をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)

講師紹介

小笠原 弘幸
九州大学准教授
北海道生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は、オスマン帝国史およびトルコ共和国史。著書として『オスマン帝国―繁栄と衰亡の600年史』(中公新書、2018年。第14回樫山純三賞)、『オスマン帝国 英傑列伝―600年の歴史を支えたスルタン、芸術家、そして女性たち』(幻冬舎新書、2020年)、『ハレム―女官と宦官たちの世界』(新潮選書、2022年)、『ケマル・アタテュルク―オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父』(中公新書、2023年)、『オスマン帝国は、いかに「中世」を終わらせたか―コンスタンティノープル征服』(NHK出版、2024年)。

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