ジャンル 日本の歴史と文化

早稲田校

「させていただく」の使い方 敬意漸減と敬意のインフレーション

  • 春講座

椎名 美智(法政大学教授)

曜日 金曜日
時間 10:40~12:10
日程 全8回 ・04月11日 ~ 06月06日
(日程詳細)
04/11, 04/18, 04/25, 05/09, 05/16, 05/23, 05/30, 06/06
コード 110287
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 23,760
ビジター価格 受講料 ¥ 27,324

目標

・「させていただく」の意味と役割についての理解を深める。
・「させていただく」の使い方が適切かどうかを判断する言語感覚を身につける。
・敬語が変化していく現状への理解を深める。

講義概要

「させていただく」は、「それを使わないでは人前で話せない」というくらい使用が拡大しているにもかかわらず、「違和感がある」と批判されてもいます。「させていただく」は、はたして正しい敬語なのでしょうか?
「愛されていると同時に嫌われている」という「させていただく」の矛盾を、コミュニケーション論と言語史の観点から徹底的に探ります。そこからは日本社会や人間関係の歴史的変化が見えてきます。
講座では、言語学関連の本で異例のヒットを記録した著書『「させていただく」の使い方―日本語と敬語のゆくえ』(角川新書)をもとに、身近な例をあげながら敬語の歴史的な変化とその背景をわかりやすく解説します。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/11 「させていただく」の用例研究と現状 「させていただく」が使用拡大している現状を、一つの社会現象として捉えていきます。受講者のみなさんも、講座を通して「あれ?変だな」と思ったり、「面白いな」と思ったりした「させていただく」の用例を集めて、紹介してください。どこが変なのか、どこが面白いのかを考えながら、「させていただく」を使うときに注目すべきポイントを見極めていきたいと思います。
2 04/18 「させていただく」の基礎知識 「させていただく」には本来どんな意味が備わっているのか、言語学的に探っていきます。また、国語辞典における「させていただく」の記述から何が見えてくるのか、ことばの変化について考えていきます。
3 04/25 「させていただく」の人気の秘密と違和感の理由 「させていただく」は、なぜこれほどまで使われているのでしょうか? また、なぜこれほど話題になり、批判されているのでしょうか? この相反する現象の背後にはどんな事情があるのか、探りたいと思います。
4 05/09 「させていただく」の違和感調査 講師が実施した「させていただく」への違和感調査についてお話しします。人々がどんな「させていただく」の使い方に、どの程度の違和感を覚えたのか、また調査結果から見えてくる私たちの言語感覚の変化について、考察したいと思います。
5 05/16 「させていただく」の今昔物語 「させていただく」は、他の類似した表現(「させてもらう」「させてくれる」「させてくださる」)と共に、一つの体系を成しています。これらの四つの表現は、これまでどのくらいの頻度で使われてきたのでしょうか? 過去と現在の大量のテキストを調査してわかった歴史的変化について概観します。
6 05/23 「させてくださる」から「させていただく」への変化 歴史的変化を観察すると、「させていただく」の前には「させてくださる」がよく使われていたことがわかります。では、なぜ「させてくださる」は使われなくなったのでしょうか? その理由を探ります。
7 05/30 「敬意」のすり減りと「敬意」のインフレーション 敬語はゆっくりと、しかし常に変わり続けています。なぜ敬語は変化していくのでしょうか? その理由を「敬意漸減」という概念を使って説明します。
8 06/06 「シン・させていただく」 の躍進とこれからの敬語 「させていただく」も一種の敬語なので、変化を免れることはできません。今後「させていただく」はどのように変わっていくのでしょうか? これからの「させていただく」の変化、これからの敬語の変化についてお話しします。
また、「させていただく」と同時期に出てきたにもかかわらず、ほとんど使われなくなってしまった「てさしあげる」についても触れたいと思います。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は6/13(金)を予定しています。

◆3/7(金) 13:30より本講座の無料体験講座を早稲田校で実施します。
◆無料体験講座お申し込みはこちらから。
https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/65479/

テキスト

テキスト
椎名美智『「させていただく」の使い方―日本語と敬語のゆくえ』(KADOKAWA)(ISBN:978-4040824147)

講師紹介

椎名 美智
法政大学教授
宮崎県出身。Ph.D (ランカスター大学)、博士(学術、放送大学)。専門は言語学、語用論、コミュニケーション論など。30年以上、法政大学で教鞭をとっている。若い頃は早稲田大学教育学部で英語の非常勤講師をしていたことも。「させていただく」研究で注目をあびる。著書は『「させていただく』の語用論」(ひつじ書房)、『「させていただく」の使い方』(角川新書)など多数。
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