ジャンル 日本の歴史と文化
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太平洋戦争下の中国戦線―「後期日中戦争」の実像
広中 一成(愛知学院大学准教授)

曜日 | 金曜日 |
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時間 | 15:30~17:00 |
日程 |
全6回
・04月04日 ~
06月13日 (日程詳細) 04/04, 04/18, 04/25, 05/09, 05/23, 06/13 |
コード | 710216 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 17,820 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 20,493 |
目標
・日中戦争、および「後期日中戦争」の歴史を理解する。
・日中戦争をめぐる日中関係や世界史的動向を理解する。
講義概要
本講義ではアジア太平洋戦争下の日中戦争の諸相について、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線や太平洋戦争の戦況をふまえながらたどっていく。8年間続いた日中戦争のなかで、太平洋戦争が開戦した1941年末以降の中国戦線、いわゆる「後期日中戦争」にどうしても関心が向けられにくくなっている。しかし、それでは日中戦争の全容を理解することはできず、日本が中国に対してどのような侵略行為や加害を行ったのかということが見えない。
このような問題点のもと、本講義では「後期日中戦争」の主要な戦いに注目し検討を深めていく。より理解を深めたい受講者は、講師が執筆した本講座に関わる書籍などで事前・事後学習することが望ましい。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/04 | 「後期日中戦争」最初の戦い―第二次長沙作戦(1941年12月) | 太平洋戦争が開戦すると中国戦線では香港攻略作戦が始まった。これに参加した阿南惟幾軍司令官率いる第11軍は予定になかった湖南省都長沙を攻撃する。しかし、この作戦で第11軍は惨敗し、「後期日中戦争」最初の敗北となる。負けることの少なかった日本軍がなぜこの戦いで敗れたのか。中国軍の動きをたどりながら考察する。 |
2 | 04/18 | 実戦での細菌兵器の使用―浙贛作戦(1942年5月―8月) | 1942年4月、日本は突如米空軍機による「ドーリットル空襲」を受けた。太平洋戦争緒戦の勝利にわいていた日本国民にとってこれは冷や水を浴びせられた思いだった。空襲を終えた米空軍機が中国浙江省に降りたことを知った陸軍中央は、それらを攻撃するための浙贛作戦の発動を決めた。この戦いは戦死者よりも戦病者が多かった。さらにここで日本軍は国際法上禁止されている細菌兵器を用いた。なぜそのような戦いになったのか。関係者の証言などとともに分析する。 |
3 | 04/25 | 「後期日中戦争」最大の「虐殺」―江南殲滅作戦と廠窖事件(1943年4月―6月) | 1943年に入ると、日本軍は膠着した中国戦線を打開するため、中国の首都重慶に向けて戦線を拡大していく。そのひとつとして行われた江南殲滅作戦では、日本軍が「太平洋戦争期で最大の虐殺」といわれる廠窖事件を起こしたといわれている。なぜこのような「虐殺」が起きたのか。どのような「虐殺」が起きたのか。作戦の展開と生存者の証言をもとに探っていく。 |
4 | 05/09 | 「毒ガス」兵器の使用と中国軍の抵抗―常徳殲滅作戦(1943年11月―12月) | 湖南省西部の常徳は、重慶へと進む要地として重要な位置にある。日本軍が堅固な城壁に囲まれた常徳の攻略に入った。この戦いでは戦場では使っていけない「毒ガス」など化学兵器が使用され、敵味方双方に被害が出た。なぜそのような戦いとなったのか。中国軍は常徳をどのように守ったか。日中双方の戦いの様子をたどりながら見ていく。 |
5 | 05/23 | 華北における「後期日中戦争」―「三光作戦」と八路軍の抵抗 | 「後期日中戦争」は華北でも激しい戦いが続いた。日本軍はゲリラ戦(遊撃戦)を駆使して抵抗する中国共産党の八路軍を追いつめるため、いわゆる「三光作戦」といわれる掃討戦を繰り広げた。それがどのようなもので、八路軍や中国民衆はどのように抵抗したか。日中の史料や証言をもとに検証する。 |
6 | 06/13 | 終わりなき戦い―大陸打通作戦から敗戦へ(1944年4月―1945年8月) | 1944年、日本軍は日中戦争最大の作戦といわれる大陸打通作戦(一号作戦)を実行した。戦争が始まってからすでに7年もたっているこのときに、日本軍はなぜこのような大規模な戦いを行ったのか。戦いはどのように展開されたか。この戦いは戦局にどのような影響を与えたのか。このような戦いをしたにも拘わらず、なぜ日本は戦争に敗れたのか。これまでの講義の内容も含めながら考えていく。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講日は6月27日(金)を予定しております。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず
「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)
講師紹介
- 広中 一成
- 愛知学院大学准教授
- 愛知県生まれ。博士(中国研究)。三重大学や愛知大学などで非常勤講師を務め、現在に至る。戦争と平和の資料館ピースあいち理事。専門分野は中国近現代史。特に日中戦争をめぐる諸問題をテーマとしている。著書に『後期日中戦争 華北戦線』(KADOKAWA、2024年)、『増補新版 通州事件』(志学社、2022年)、『冀東政権と日中関係』(汲古書院、2017年)などがある。