ジャンル 芸術の世界
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仏師快慶の事績をたどる
根立 研介(京都大学名誉教授、公益財団法人美術院理事長)

曜日 | 水曜日 |
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時間 | 10:30~12:00 |
日程 |
全10回
・04月02日 ~
06月18日 (日程詳細) 04/02, 04/09, 04/16, 04/23, 05/07, 05/14, 05/21, 06/04, 06/11, 06/18 |
コード | 710406 |
定員 | 30名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・日本文化の基礎となる鎌倉時代の文化がどのようなものであったか、この時代の初期を代表する仏師の事績と、その遺品を通して広い視野から理解する。
・鎌倉時代を代表する仏師快慶がどのような彫像を造っていたかを主要な遺品から探り、その事績を追うことで当時の文化の理解を深める。
・快慶の主要仏像がどのような目的で造られ、どのような造形を造ったかを知ることで、日本美術史の理解を深める。
講義概要
日本では、仏像などの彫刻類を製作した工人を仏師と呼ぶ。仏師と言えば、近年は運慶が注目されているが、ほぼ同時期に活躍した快慶の存在も無視することは出来ない。快慶は、鎌倉初頭期の重要な造仏事業に参加し、また中世以前の仏師の中では格段の数の造像銘記を伴う作例を遺し、さらに一般に安阿弥様(あんあみよう)と呼ばれる調和の整った阿弥陀如来立像の様式を創り上げ、後世に大きな影響を与えた。本講座では、10回に亘り快慶の活動の事績や遺された作品を紹介しながら、この著名な仏師が何を成し遂げたかを解明してみたい。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/02 | 快慶の登場:米国・ボストン美術館と京都・醍醐寺の弥勒菩薩像 | 仏師快慶が歴史上登場してくる時期の最初期の二作例を取り上げ、快慶最初期の作風を探る。 |
2 | 04/09 | 無位時代(アン阿弥陀仏時代)の活動①:京都・遣迎院と八葉蓮華寺の阿弥陀如来像を中心に | 快慶の活動の前半期に当たる無位時代(アン阿弥陀仏時代)の比較的早い時期に造られた二作例を中心にこの時期の作風展開を見ていく。 |
3 | 04/16 | 無位時代(アン阿弥陀仏時代)の活動②:兵庫・浄土寺阿弥陀三尊像 | 無位時代の大作の代表例である浄土寺阿弥陀三尊像を取り上げ、宋代彫刻にも影響されているこの大作の魅力を語る。 |
4 | 04/23 | 無位時代(アン阿弥陀仏時代)の活動③:金剛峯寺の造仏ー特に四天王像と孔雀明王像を中心にして | 快慶は、畿内を中心に活動を行っているが、その周辺地区の高野山にも重要な作例を遺している。その造形を詳細に語り、また歴史的意味についても言及を加える。 |
5 | 05/07 | 東大寺再興造仏への参加①:僧形八幡神像の問題を中心にして | 無位時代も後半期に入ると、快慶は慶派仏師の一員として東大寺再興造仏に関与するが、その概要をまず語る。そのあと、快慶が、造像施主という独特の立場から造像を行った僧形八幡神像について解説を行う。 |
6 | 05/14 | 東大寺再興造仏への参加②:東大寺南大門金剛力士像の問題 | 東大寺再興造仏の最終段階に、快慶は運慶らと共に東大寺南大門金剛力士像の造像に携わる。この造像の担当仏師の問題は謎が多いが、快慶がどのように造像に関与したかを改めて分析する。 |
7 | 05/21 | 無位時代最終段階の造仏の様相:奈良・文殊院文殊五尊像の問題を中心にして | 無位時代の終わり頃、快慶は東大寺南大門金剛力士像のほかに、もう一つの大作である文殊五尊像の造像に携わる。近年、この群像は、快慶と深い繋がりを有する重源との関わりを重要視する見解が出されており、この群像の重要性を改めて考えてみる。 |
8 | 06/04 | 法橋時代の活動:大阪・大円寺阿弥陀如来像と東大寺公慶堂地蔵菩薩像 | 快慶は、東大寺の再興造仏でようやく僧綱位が授与され、法橋に叙任される。法橋の叙任期間は短いが、二つの作例が知られ、これらを詳細に見ていきたい。 |
9 | 06/11 | 晩年(法眼時代)の活動①:岡山・東寿院阿弥陀如来像と京都・大報恩寺十大弟子像 | 快慶は、法橋叙任後程なくして法眼に昇進する。法眼時代は、快慶の晩年期に当たるが、作風がそれ以前と変化し、面貌表現が暗くなり、着衣表現も複雑で装飾化の傾向も出てくる。ここでは、法眼時代も比較的早い頃の二作例を通してその様相を見ていく。 |
10 | 06/18 | 晩年(法眼時代)の活動:奈良・光林寺阿弥陀如来像と和歌山・光台院阿弥陀三尊像を中心として | 法眼時代の造形様式が大成する法眼時代も後半期の基準的二作例を取り上げ、快慶がたどってきた様式展開の最終段階の様子を探る。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講日は6月18日(水)を予定しております。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず
「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)
備考
5月28日(水)は休講となりました。補講は6月18日(水)に実施いたします。
講師紹介
- 根立 研介
- 京都大学名誉教授、公益財団法人美術院理事長
- 文化庁文化財調査官なども経験し、各地の文化財を調査する。専門は、日本彫刻史。特に仏像制作者である仏師研究や肖像彫刻研究などに成果を挙げる。著書に『日本中世の仏師と社会』、『日本中世肖像彫刻史研究』などがある。また、『日本彫刻史基礎資料集成 鎌倉時代造像銘記篇』の編纂などにも関わり、日本彫刻史の基礎資料集の刊行にも尽力している。