ジャンル 文学の心

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現代文学を味わう―文学理論の視点から 文学理論入門

  • 春講座

疋田 雅昭(東京学芸大学教授)

曜日 月曜日
時間 15:30~17:00
日程 全10回 ・04月07日 ~ 06月16日
(日程詳細)
04/07, 04/14, 04/21, 04/28, 05/12, 05/19, 05/26, 06/02, 06/09, 06/16
コード 710135
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・作家論および文学研究の手法をめぐる現状を知る。
・基礎理論(ニュークリティック、構造解析、ナラトロジー、読者論)の概略を学ぶ。
・応用理論(テクスト論)への足掛かりをつくる。

講義概要

最も好事家的な学問であると思われがちな文学を単なる教養ではなく、社会批評の学問として再認識する。「詩」や「物語」という概念を拡張し、社会の様々な物語の存在に気づくことが出来、かつそれらに批評的な視点を持つ方法を有する。そして、そのための具体的な方法としての「文学理論」の基本的事項を講義する。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/07 プロローグ あるいは 文学研究と理論の関係 現状の文学研究の問題点を概観した上で、「理論」を確立し導入する必要性とともに、文系における「理論」理解に関する問題点も検討する。
2 04/14 作家論をめぐる諸問題 あるいは 反作家論誕生前夜 作家論が根拠とする資料群の性質を検討しながら、作家論の歴史及び現状における問題点を検討する。
3 04/21 ニュークリティック あるいは 世界初の反作家論 世界で初めて成立した反作家論であるニュークリティック成立前夜の様子を、「文学の自立性」をめぐる漱石のエピドードを通じて説明する。
その上で、NCをめぐる「二つの誤謬」「四つの指針」を確認した上で、「パラドックス/アイロニー/テンション/アンビクシャス/テンション」までを講義する。
4 04/28 ニュークリティック あるいは イメージ理論の射程 前回の講義をうけて、まずは「イメジャリー」の説明をした上で、この講義では「テマティズム」をその手法の発展形とみなし、その理論的射程について検討する。
5 05/12 構造主義 あるいは 文学への可能性 構造解析は、社会学、心理学など様々な分野で使われる理論である。その中で、文学的な応用の例として、「キャラ」「話形」「設定」という三点をあげ、まずは「キャラ」と「話形」について講義する。
6 05/19 構造主義 あるいは 不可視な世界を可視化すること 前回の「話形」について、現代的な応用の可能性を考えて見る。その上で、設定構造という観点から、物語の「世界観」という視点を解説する。
7 05/26 ナラトロジー あるいは 語り手という概念 ナラトロジーの基本的手法である「視点解析」を「羅生門」をつかって確認した上で、必須概念である「語り手」について講義する。そいて、「レシ」「イストワール」「ナラシオン」を見抜くナラトロジーの基本姿勢を確認してみる。
8 06/02 ナラトロジー あるいは ナラシオンの内実 前回の講義をうけて、語り手の戦略性(ナラシオン)を検討する。その上で、「羅生門」では不十分である時間の問題を考えるため「走れメロス」をつかってナラトロジーの時間操作についても考えて見る。
9 06/09 読者論 あるいは さまざまな読者という難問 読者論と読書論(読書行為論)の違い、記号という性質を理解した上で、読書行為論の基本的な手法とその限界、読者論の難しさと可能性について考えてみる。
10 06/16 エピローグ あるいは 日本に反作家論が登場しなかった背景 なぜ、各国が独自の反作家的手法を生みだしている中、日本ではいわゆる和製反作家論を生み出し得なかったのか。戦後の文学部ブームとりわけ女子大生ブームに焦点をあてて、日本の文学部の特殊事情を考えて見たい。その上で、ようやく日の目をみることとなる、テクスト論の理論的背景についてもお話ししたいと考えている。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講は6月23日(月)を予定しています。
◆Zoomミーティングを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず
「オンラインでのご受講にあたって」
をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)

講師紹介

疋田 雅昭
東京学芸大学教授
兵庫生。博士(文学)。立教大学大学院後期課程博士課程修了。長野県短期大学を経て2014年に東京学芸大学へ着任。専門分野は、日本近代文学。とくに、近現代の詩歌やモダニズム、アヴァンギャルド芸術。現代小説。文学理論など。著書として、『接続する中也』(笠間書院)、『トランス・モダン・リテラチャー』(ひつじ書房)、共著して『スポーツする文学』(青弓社)など。

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