ジャンル 人間の探求

中野校

ヘーゲルの国家論

  • 春講座

大河内 泰樹(京都大学教授)

曜日 火曜日
時間 13:10~14:40
日程 全6回 ・04月08日 ~ 06月17日
(日程詳細)
04/08, 04/22, 05/13, 05/27, 06/10, 06/17
コード 310518
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・ヘーゲル「法哲学」、特にその国家論について理解を深める。
・ヘーゲルの国家論の現代的な意義と限界について考察する。

講義概要

19世紀ドイツの哲学者ヘーゲルは『法の哲学』(1820年)という著作とこれに関わる講義において、あるべき国家のあり方について論じました。この国家論は、ヘーゲルが目前に見ていた近代という時代との格闘を通じて構築されたものであり、彼が抱えていた問題は今日の社会のあり方にも通ずるものです。この講義では、私たちの「コロナ禍」の経験を出発点に、ヘーゲルが見ていた国家と私たちの時代の国家との共通点を、もう一人の哲学者フーコーの生政治を参照しながら明らかにし、この国家に見出される危険性を彼がどのように乗り越えようとしたのか、そしてその処方箋は私たちにどのような示唆を与えているのか、検討していきます。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/08 ヘーゲルの死とパンデミック パンデミックの犠牲者であったと見られるヘーゲルの死を出発点に、「生」に介入しようとする権力をヘーゲルの時代と私たちの時代の共通点として浮かび上がらせる。
2 04/22 生政治とポリツァイ ミシェル・フーコーの「生政治」という概念を参照しながら、ヘーゲルが『法の哲学』第三部「人倫」第二章「市民社会」で論じたポリツァイという概念を歴史的文脈から浮き彫りにするとともに、その現代的性格を明らかにする。
3 05/13 市民社会とポリツァイ ヘーゲルがポリツァイをなぜ必要だと考えたのかを、その背景となっている「市民社会」の概念を分析することを通じて明らかにする。さらに、逆にヘーゲルがポリツァイに近代的権力の問題点を見出していたことを明らかにする。
4 05/27 フランス革命とコルポラツィオン ヘーゲルが、ポリツァイを抑制するために導入するコルポラツィオンという概念を明らかにするとともに、まさにこのコルポラツィオンの導入が、ヘーゲルのフランス革命観と関係していることを示す。
5 06/10 ヘーゲルの国制論 ポリツァイとコルポラツィオンを組み込んだ有機的国家の概要を示し、なぜそのような国家を考えたのか、ヘーゲルが取り組んだ問題を明らかにしつつ、その現代的意義と限界を検討する。
6 06/17 戦争と歴史 ヘーゲルはなぜカントの永遠平和論を批判したのか。そして、それはヘーゲルが国際関係をホッブズ的な自然状態と見なしていることを帰結するのかを検討し、ヘーゲルの国際関係論がその歴史哲学と接続していることを明らかにする。

ご受講に際して(持物、注意事項)

参考図書:『国家はなぜ存在するのか ヘーゲル「法哲学」入門』大河内泰樹著(NHK出版)

講師紹介

大河内 泰樹
京都大学教授
福岡県生まれ。博士(哲学、ルール大学)。専門分野は哲学、とくにヘーゲルを代表とするドイツ古典哲学および批判理論。NPO法人国立人文研究所代表。著作に『国家はなぜ存在するのか ヘーゲル「法哲学」入門』(NHK出版)、『生命と自然 ヘーゲル哲学における生命概念の諸相』(共編著、法政大学出版局)など。

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