ジャンル 人間の探求

早稲田校

【対面+オンラインのハイブリッド】はじめての哲学 持続可能性(sustainability)についての哲学的・文明論的考察

  • 夏講座

関口 浩(早稲田大学講師)

曜日 火曜日
時間 13:10~14:40
日程 全8回 ・07月01日 ~ 08月26日
(日程詳細)
07/01, 07/08, 07/15, 07/22, 07/29, 08/05, 08/19, 08/26
コード 120515
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 23,760
ビジター価格 受講料 ¥ 27,324

目標

・広い視野でものを考えることを学ぶ。
・人間性について理解を深める。
・現代社会の問題点について学ぶ。

講義概要

本講座では、最近、さまざまな場でしばしば議論されている持続可能性(sustainability)について、とりわけ現代の技術文明の持続可能性が危機に直面していることについて哲学的に考察します。今日のわれわれの文明を、その歴史をさかのぼり、また他の文明と比較するなど、さまざまな観点から見てゆきます。その際、国内外の優れた哲学者、思想家の考えをも参照して話を進めていきたいと思います。最後に、危機の克服がどのようにして可能となるかという点についての議論も紹介します。
入門の講座ですから、専門用語はなるべくさけて平易な言葉でお話します。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 07/01 テーマの提示。哲学的考察についての説明 まずは、哲学的思索とはどのように考えることか、という点について概説します。そして、本講座において考察のテーマとなる、現代の技術文明の持続可能性が危機に直面していることについて、いわゆるサステナビリティ議論の歴史を回想しつつ説明します。ローマ・クラブ『成長の限界』から紹介します。
2 07/08 技術文明の本質についての歴史的考察(1) 西欧における17世紀の科学革命、そして18世紀後半からの産業革命についてその本質を考察します。マックス・ウェーバーの資本主義論と全面的合理化論を参照します。
3 07/15 技術文明の本質についての歴史的考察(2) 21世紀の現代におけるサステナビリティの危機について、少子化の問題を中心に検討します。オルナ・ドーナト『母親になって後悔している』を参照します。
4 07/22 持続可能だった時代の社会 持続可能だった時代の社会の一例として、日本の明治維新以前の農村を例に、その社会の人々の心情を考察します。民俗学者の折口信夫の説を参照します。折口は日本の農民が抱いていた原罪意識を明らかにしました。
5 07/29 西欧における原罪論 前回の折口信夫の論を受けて、西欧における原罪論を、アウグスティヌスとルターを参照しつつ検討していきます。キリスト教神学における反ヒューマニズムが持続可能性を結果するその理由を説明します。
6 08/05 自然による人間知性の限界付け 前回の考察では、神が人間を限界づけるということが明らかになりましたが、この回では自然が人間の知性を限界づけていることを説く思想を検討したいと思います。ルソーの「自然に帰れ」、ストア学派の「自然に従え」。また、日本の思想家、良寛や明恵のテキストをも参照します。
7 08/19 アインシュタインの宗教思想 今回からは、持続可能性の危機を克服する現代の思想について検討します。まずはアインシュタインの思想を紹介したいと思います。アインシュタインは20世紀のもっとも優れた科学者の一人でしたが、すぐれた思想家でもあり、しばしば神について語ったことでも知られています。ヒロシマ、ナガサキの惨禍に重い責任を感じていた彼が、技術文明の進展に対して神をもちだして何を考えていたのか、説明したいと思います。
8 08/26 遠藤周作晩年の思想 今回は、現代日本の小説家遠藤周作の思想をとりあげます。カトリックの信仰者であった遠藤が、神なき現代において人間の知性が暴走しつつある現実に直面し、もはやカトリックの神学を捨てて考えた彼の、神とも言えぬ「神」についての思索を紹介したいと思います。最晩年の小説『深い河』にも触れます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆本講座は対面でもオンラインでも受講できるハイブリッド形式の講座です。対面・オンラインのご都合のよい形式でご受講いただけます。
◆講師は早稲田校の教室で講義し、その講義がオンラインで同時配信されます。
◆対面で受講するときは、「受講証兼教室案内」に記載された教室へお越しください。「受講証兼教室案内」は開講が確定してから送付されます。
◆オンラインで受講するときは、マイページからご受講ください。
◆オンラインでの受講を予定している方は、お申込みの前に必ず
「オンラインでのご受講にあたって」
をご確認ください。
◆本講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター)

講師紹介

関口 浩
早稲田大学講師
日独文化研究所 研究員、実存思想協会 理事、日本語版ハイデッガー全集編集者。共編著に、『ハイデガー「哲学への寄与」解読』(平凡社)、『ハイデッガー「存在と時間」の現在』(南窓社)、『西洋哲学の10冊』(岩波書店)、『ハイデガー事典』(昭和堂)など。翻訳書に、ハイデッガー『芸術作品の根源』、ハイデッガー『技術への問い』など。
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