ジャンル 世界を知る
早稲田校
アメリカ大陸到達―ヨーロッパが出会った新しい世界と人々
山本 大丙(早稲田大学講師)
曜日 | 水曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全8回
・07月02日 ~
08月27日 (日程詳細) 07/02, 07/09, 07/16, 07/23, 07/30, 08/06, 08/20, 08/27 |
コード | 120317 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 23,760 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 27,324 |
目標
・新大陸先住民の文化を概観する。
・アメリカ大陸の探索の歴史を知る。
・アメリカ大陸の地図が詳細になる過程とアニアン海峡のような新たに生まれた伝説を知る。
・西欧人の眼に映ったアメリカ先住民のイメージを知る。
・アメリカ大陸到達が当時の西欧にもたらした宗教的な衝撃を理解する。
講義概要
大航海時代、西欧人は大西洋のはるか彼方にそれまでは知られていなかったアメリカ大陸を「発見」します。その結果、世界は全く新しい局面を迎えます。中世的な世界観は放棄され、近代的な世界地図が作成されるようになります。また、宗教や伝説から科学が分離していなかった当時、実在しない地名が頻繁に地図上に姿を現しました。さらに、西欧人による新大陸の略奪は苛烈であり、数多くの先住民が強制労働や旧大陸から持ち込まれた伝染病により命を落としました。加えて、聖書に記されていないアメリカ大陸は時に宗教的議論を呼ぶこともありました。本講座では、アメリカ大陸到達が当時の西欧に与えた衝撃について学んでゆきたいと思っています。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 07/02 | オリエンテーション | 本格的な講義に入る前にオリエンテーションを行います。この講義の内容、目標などについて話します。 |
2 | 07/09 | アメリカ大陸─もうひとつの世界 | 3万〜1万年前、新大陸先住民の祖先は、シベリアから経由でアメリカ大陸に到達し定住しました。アメリカ大陸とは、ヨーロッパやアジア、アフリカとは異なる一つの世界でした。様々な言語、民族ごとに異なる習慣、風習、宗教、世界観。北米の狩猟民、極地方に住むイヌイット、アステカ、マヤ、インカといった文明を築き上げた人々。西欧人接触以前のアメリカ大陸がどのような世界だったのかについて述べます。 |
3 | 07/16 | アメリカ大陸到達 | 困難な航海の末にコロンブスはアメリカ大陸に到達します。彼自身はその場所をアジアと信じていましたが、アメリゴ・ヴェスプッチらによる後の探索によって、到達した場所がそれ以前に全く知られていなかった大陸ということが判明します。この事実は西欧において支配的だったヨーロッパ・アフリカ・アジアからなる地球という概念を覆すものでした。初期のアメリカ探索を糸口にアメリカ到達とそれがもたらした衝撃について述べます。 |
4 | 07/23 | 地図上の陸塊─アメリカ大陸と地理学と伝説─ | 16世紀の地理学者は、巨大なアメリカ大陸を様々なかたちで地図上に描きました。ある地理学者は南米のみを地図上に描き、またある地理学者はアジアとアメリカを陸続きと考え、結果、現実の姿とは似ても似つかない新大陸の地図が多数作成されました。また、アメリカの地図は、不確かな情報の宝庫でした。そこには「魔物の島」や「アニアン海峡」といった伝説上あるいは仮説上の存在が描かれることすらありました。新大陸がどのように描かれ、またどのように変化したのかについて見てゆきます。 |
5 | 07/30 | ヨーロッパ人と先住民 | ヨーロッパ人との接触は、アメリカ先住民にとって不幸なものでした。南米の豊富な貴金属のために、先住民は強制労働に従事させられ、多くの命が失われました。また、西欧人が持ち込んだ病原菌も、先住民たちに壊滅的な打撃をもたらしました。しかし、西欧においても先住民をどのように扱うべきか定まっておらず、ラス・カサスのように先住民を擁護した者も少なくありませんでした。植民地化が進むアメリカ大陸と、ヨーロッパ人がどのように先住民を考えていたのかについて述べます。 |
6 | 08/06 | アメリカ大陸という謎 | キリスト教が強い力を持つ16〜17世紀の西欧において、聖書に記されていないアメリカ大陸に住む人々の存在は大きな謎でした。この当時、聖書はモラル上の指針を示すだけではなく、世界や人類の起源についても真実を語ると考えられていたのです。したがって、新大陸に住む人々もノアの子孫であり、何らかの方法で旧大陸から渡って来なくてはなりません。それでは彼らは旧大陸のどの地域の人々の子孫なのか?この問題をめぐって生じた議論について概観します。 |
7 | 08/20 | アメリカ大陸とキリスト教の危機 | 大陸から遠く離れたアメリカ大陸。そこには生物や人間がいました。この事実はヨーロッパ人に大いなる懐疑をもたらしました。大洋によって隔絶された大陸に動物や人間が存在するということは、キリスト教の世界観・宇宙観と一致せず、やがて全地球規模で生じたノアの洪水を否定する思想家も出現します。そうした人々は様々な方面から非難を浴びましたが、やがて近代的な宇宙観や歴史観を生み出すことになります。この講義ではアメリカ大陸到達がヨーロッパ人の世界観に与えた大きな思想的・宗教的インパクトについて述べたいと思います。 |
8 | 08/27 | アメリカ合衆国の光と闇 | 後に世界に大きな影響を与えるアメリカ合衆国。イギリスの植民地だったこの国は、1776年に独立宣言を発布し、それ以降大きな力を持つようになります。西欧とは全く異なるこの新しい国は、民主主義の発展に大きな貢献をします。その反面、その拡大はかなり強引でついには太平洋のハワイにまで進出します。また、国内では長期にわたって黒人奴隷が使役され、さらに先住民は西欧からやってきた人々によって奥地へと追い立てられました。この講義ではアメリカ合衆国の光と闇について述べます。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆本講座は2024年度夏学期に開講された同名講座の内容と一部重複する場合がありますが、新たな知見を加え再構成されています。
講師紹介
- 山本 大丙
- 早稲田大学講師
- 1969年東京生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、同大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。専門分野はオランダ史、宗教史、思想史、科学史。