ジャンル 世界を知る
中野校
戦後韓国史―独立から朝鮮戦争まで
武井 一(都立日比谷高等学校講師)

曜日 | 土曜日 |
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時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全10回
・04月05日 ~
06月14日 (日程詳細) 04/05, 04/12, 04/19, 04/26, 05/10, 05/17, 05/24, 05/31, 06/07, 06/14 |
コード | 310313 |
定員 | 24名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・第二次世界大戦後の韓国の様子を知る
・現在にも通じる戦後政治の流れと起源を知る。
・日韓関係への影響を考える。
講義概要
日本の植民地から解放された朝鮮の戦後政策は、北緯38度線を挟んでソ連、アメリカが行いました。南では権力闘争のすえ、李承晩を大統領とする大韓民国が、北部は金日成による朝鮮民主主義人民共和国が建国されました。両者の対立が1950年から53年までの朝鮮戦争を招きました。一方、韓国の権力闘争は、やがて保守と革新の対立となり、先日の尹錫悦大統領の戒厳令宣告とその後の混乱に繋がりました。韓国の政治状況は対日関係や、日本の政治にも大きな影響を与えます。このような状況を理解するためにも、韓国の戦後史を知る必要があるのです。春学期は、そのような流れの基礎となった朝鮮戦争までの流れをふり返ってみたいと思います。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/05 | 植民地政策(創始改名、徴用など)・上海臨時政府(朝鮮独立の願い) | 1910年日本は朝鮮を植民地にしました。政策は時代によって大きく3つに分けられます。後期には創始改名をはじめとする皇国臣民化政策、内鮮一体化政策が強く行われると共に、工場や鉱山などに徴用が行われました。一方シャンハイには朝鮮の独立運動の中心となった上海臨時政府が作られました。この臨時政府が現在の韓国の精神的な起源となっています。 |
2 | 04/12 | 降伏・光復そして分断 | 日本の降伏は朝鮮の光復でした。南北の戦後政策はアメリカとソ連により行われました。米ソそれぞれ思惑があったからです。そしてそれが後の南北分断に繋がりました。 |
3 | 04/19 | 朝鮮人民共和国と李承晩 金九 | 朝鮮の南部では、朝鮮総督府から託されたグループ、アメリカから帰国した李承晩、上海臨時政府から帰国した金九、朝鮮共産党などが主導権を争い混乱状態に陥りました。 |
4 | 04/26 | 信託統治案と反信託運動 | 第二次世界大戦中連合国は、戦後の朝鮮を信託統治のもとに置こうとしました。これを受けて戦後すぐモスクワの会議で信託統治が提案されました。ソ連に意図があったからです。これに南部では激しい反対運動がおこりました。一方でアメリカの政策に対する反対も起こりました。 |
5 | 05/10 | 冷戦と朝鮮 | 1947年頃から冷戦の様相がはっきりします。米国は日本、朝鮮の戦後政策を転換します。国連は全国での総選挙を提案しますが実現せず、南部だけの単独選挙が行われました。これにより李承晩大統領による大韓民国が樹立されました。一方で単独選挙に反対した済州島では軍がそれを弾圧する4・3蜂起がおこりました。 |
6 | 05/17 | 韓国・北朝鮮の建国 | 韓国と同時期に朝鮮民主主義人民共和国政府も樹立されます。 |
7 | 05/24 | 朝鮮戦争(1) 開戦からソウル奪還まで | 北朝鮮の金日成は毛沢東、スターリンの賛成をえて朝鮮戦争を開始しました。戦後政治で唯一の国連軍が韓国を支持、ソ連と新政府樹立後間もない中国が北朝鮮を支持しました。北朝鮮軍は一気呵成に南を占領し、韓国政府は釜山に都を遷しました。その後マッカーサーが仁川に上陸することで戦況は逆転しました。この動きは占領下にあった日本にも大きな影響を及ぼします。 |
8 | 05/31 | 朝鮮戦争(2) 中国義勇軍の参戦 そして釜山 | 中朝国境付近までせまった戦線は中国義勇軍の参戦により南下し、再びソウルも北側に占領されました。戦線は次第に膠着状態になり和平への動きが出てきました。一方、北から避難してきた人は釜山などに集まりました。 |
9 | 06/07 | 朝鮮戦争(3) 休戦交渉と休戦 | 休戦交渉は米ソ対立の動きを受けて難航しました。さらに李承晩の振るまいが大きな影響を与えました。 |
10 | 06/14 | 休戦協定と分断の固定化 | 休戦協定の後、韓国では李承晩が一層権力を恣にしました。一方で戦後始まった日韓国交正常化の交渉は日本側の失言や李承晩の考えによって難航しました。 |
講師紹介
- 武井 一
- 都立日比谷高等学校講師
- 1963年東京都生まれ。成蹊大学法学政治学研究科博士前期課程修了(法学修士)。都立日比谷高等学校他講師(地歴・公民と韓国語)。公益財団法人日韓文化交流基金評議員。韓国の歴史、文化に関心をもち研究を行う。著書に『ソウルの王宮めぐり』(桐書房)、『朝鮮王宮完全ガイド』(角川ソフィア文庫)、『皇室特派留学生』(白帝社)などがある。