ジャンル 日本の歴史と文化

中野校

幕府海軍―海軍黎明期の軌跡と明治への遺産

  • 春講座

金澤 裕之(防衛大学校教授)

曜日 水曜日
時間 10:40~12:10
日程 全6回 ・05月07日 ~ 06月11日
(日程詳細)
05/07, 05/14, 05/21, 05/28, 06/04, 06/11
コード 310216
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・幕府海軍を事例に近世から近代への連続性/断絶性を理解する。
・時間軸と空間軸を交差させ、立体的な歴史像を描く。
・個別の事象をより包括的な概念のなかで相対化して捉える。

講義概要

幕末を舞台にした小説、ドラマなどには江戸幕府の海軍(幕府海軍)や勝海舟、榎本武揚らこれに連なる人々がよく登場しますが、軍事組織としての幕府海軍の活動実態は意外と知られていません。この講座では幕府海軍を事例に日本における近代海軍建設の過程を追いながら、江戸から明治への連続性と断続性、海軍力という包括的な軍事概念からみた幕末海軍の意義、19世紀後半の国際社会と幕末日本の関係などについてみていきます。歴史を単に昔の出来事としてのみ捉えるのではなく、今を生きる私達に示唆を与えるものとしてどう捉えるか、人生経験豊富な受講者の皆さんの御知見も伺いながら一緒に考える講座にしたいと考えています。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 05/07 西洋の衝撃 19世紀東アジア世界への西洋列強の進出、いわゆる「西洋の衝撃」へのリアクションとして日本で海軍創設の気運が高まっていく過程を概観すると同時に、そもそも海軍とはいかなる軍事力なのか、現代にあって幕末の海軍に注目する意義は何か考えていきます。
2 05/14 海軍創設 ペリー来航を契機に創設された幕府海軍。日本初の近代海軍教育「長崎海軍伝習」、日本史上初となる軍艦の海外派遣「咸臨丸」太平洋横断航海、江戸湾防衛計画の策定、その他さまざまな実動任務を経て幕府海軍が急速に成長していく過程を見ていきます。
3 05/21 動乱期の海軍 文久の改革における海軍建設の成果と挫折、幕府海軍が初めて本格的な実戦を経験した幕長戦争(長州征討)の軍事史的意義、榎本武揚らオランダ留学生の派遣などから、海軍を通じて19世紀国際社会のなかの日本について考えていきます。
4 05/28 幕府海軍の終焉 将軍徳川慶喜主導で行われた慶応の改革により急速に制度的な近代化を進めていった幕府海軍が、大政奉還に始まる徳川政権の崩壊によりその近代化がほぼ完成すると同時に解体されていく過程を、鳥羽・伏見の戦いにおける海戦の様相などを交えて見ていきます。
5 06/04 箱館戦争 新政府への江戸城明け渡しの後、旧幕府海軍を率いる榎本武揚が五稜郭を拠点に新政府への抵抗を続けた箱館戦争。榎本軍、新政府軍双方の海軍が死闘を繰り広げたこの戦争を、今まで語れることの少なかった軍事史的な観点から考察していきます。
6 06/11 明治への遺産 明治維新によって創設された新政府海軍は人的資源、艦船、施設などさまざまな面で幕府海軍の遺産を継承していました。人材、装備、制度、西南戦争における海軍力運用などを例に、近世から近代への海軍の連続性と断続性について考えていきます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆参考図書:金澤裕之『幕府海軍』(中公新書、2023年)をお読みいただくとより理解が深まります。

講師紹介

金澤 裕之
防衛大学校教授
1977年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。防衛大学校総合安全保障研究科後期課程修了。博士(安全保障学)。防衛省防衛研究所戦史研究センター所員、同省海上幕僚監部基地対策班員などを経て現職。専門分野は明治維新史。日本の近代海軍建設を中心に研究している。著書に『幕府海軍の興亡』(慶應義塾大学出版会、2017年。猪木正道賞受賞)、『幕府海軍』(中公新書、2023年)など。慶應義塾福澤研究センター客員所員。江差町教育委員会開陽丸遺跡・引揚遺物保存活用検討委員。

  • 外国語 コースレベル選択の目安
  • 広報誌「早稲田の杜」
  • オープンカレッジ友の店