ジャンル 日本の歴史と文化
中野校
日中戦争と海軍―仮想的アメリカを実敵へ
笠原 十九司(都留文科大学名誉教授)

曜日 | 月曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全8回
・04月07日 ~
06月02日 (日程詳細) 04/07, 04/14, 04/21, 04/28, 05/12, 05/19, 05/26, 06/02 |
コード | 310211 |
定員 | 24名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 23,760 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 27,324 |
目標
・陸軍が海軍をアメリカとの戦争に引きずっていったという通説の誤りを明らかにする。
・海軍は陸軍が満州事変を起こして軍備拡大に成功したことに対抗して、日中戦争を利用して、海軍航空兵力を中心とする海軍備拡大を図った経緯を明らかにする。
・海軍が日中戦争を利用して、仮想敵国アメリカに勝利すべく海軍備拡大をした結果、アメリカは対日経済制裁に踏み切り、追い込まれた日本が対米戦争に突入した「破滅のシナリオ」を明らかにする。
講義概要
盧溝橋事件を口実に陸軍が「北支事変」を起こすと、上海海軍陸戦隊は謀略で「大山事件」を起こし、第二次上海事変を開始。8月15日、海軍航空隊は宣戦布告なしに中国の首都南京を渡洋爆撃、戦線を一挙に日中全面戦争へと拡大した。海軍航空隊は連日南京爆撃を行ない、さらに中国全土の都市、軍事施設、鉄道、船舶への爆撃をおこなった。海軍は1939年2月中国最南端の海南島を占領、フィリピン、東南アジアに進出する航空基地、軍港基地とした。海軍航空隊は大編隊を組んで重慶爆撃を開始、1940年からは零式戦闘機が加わり、真珠湾攻撃の予行演習となった。山本五十六連合艦隊司令長官が真珠湾攻撃を計画、実施、対米戦争に突入した。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/07 | 海軍はなぜ大海軍主義への道を歩みはじめたのか | 海軍軍縮条約に加盟した海軍の時代 悲劇のロンドン海軍軍縮条約 海軍良識派を追放し大海軍主義へ 南進政策を国策とする 1936年に準備された海軍の日中戦争 |
2 | 04/14 | 海軍が仕掛けた日中全面戦争 | 盧溝橋事件と海軍の作戦始動 船津和平工作を破綻させた大山事件 謀略・大山事件の真相 上海海軍陸戦隊の第二次上海事変 |
3 | 04/21 | 海軍航空隊の南京渡洋爆撃 | 8月15日の南京渡洋爆撃―宣戦布告なき首都爆撃 山本五十六の涙 「世界戦史上空前の渡洋爆撃」 狙いどおりの海軍臨時軍事費獲得 |
4 | 04/28 | 海軍の南京爆撃と南京虐殺 | 海軍航空隊の南京爆撃―対米戦航空用兵訓練の開始 日本を世界から孤立させた海軍 海軍航空隊のパナイ号撃沈事件―“真珠湾攻撃への序曲” “真珠湾攻撃への序曲”の証明 支那方面艦隊の南京虐殺 |
5 | 05/12 | 海軍の海南島占領と南進基地化―自覚なきアジア太平洋戦争への道 | 日中戦争を利用した航空兵力・兵員の拡充 海南島の占領と南進基地化 海軍の治安掃蕩戦 自覚なきアジア太平洋戦争への道 |
6 | 05/19 | 決意なきアジア太平洋戦争開戦への道 | 重慶爆撃 対米航空決戦の実戦演習 重慶爆撃からアジア太平洋戦争へ 海軍航空隊の「南洋行動」―対米英開戦準備 |
7 | 05/26 | 海軍中央の無責任な開戦決定 | 開戦を決定づけた海軍の南部仏印進駐 連合艦隊司令長官山本五十六のダブルスタンダード 総力戦を指導できなかった連合艦隊司令部 敗戦までつづいた海軍と陸軍の対立・非協力 |
8 | 06/02 | 海軍の戦争責任はなぜ解明されて来なかったのか | 海軍反省会400時間の証言 東京裁判における海軍の「免責工作」の成功―“海軍は知能犯” 海軍は開明的・平和的という「海軍神話」の定着 山本五十六・米内光政の「智将」伝説 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講日は6月9日(月)を予定しています。
◆参考図書:『海軍の日中戦争―アジア太平洋戦争への自滅のシナリオ』笠原十九司著(平凡社)ISBN:978-4582454482
講師紹介
- 笠原 十九司
- 都留文科大学名誉教授
- 1944年群馬県生まれ。東京教育大学文学部卒業後、同大学文学研究科修士課程中退。博士(学術、東京大学)。専門分野は、中国近現代史、東アジア近現代史。著書に、『第一次世界大戦期の中国民族運動』(汲古書院)、『日本軍の治安戦』(岩波書店)、『南京事件』(岩波新書)、『日中戦争全史 上・下』(高文研)、『海軍の日中戦争』(平凡社)などがある。