ジャンル 文学の心
中野校
『平家物語』を読む 巻第一から巻第二
清水 由美子(中央大学等講師)

曜日 | 火曜日 |
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時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全10回
・04月01日 ~
06月17日 (日程詳細) 04/01, 04/08, 04/15, 04/22, 05/13, 05/20, 05/27, 06/03, 06/10, 06/17 |
コード | 310121 |
定員 | 36名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・物語を丁寧に読み味わいます。
・物語世界全体に目を配り、その魅力を解説いたします。
・絵画作品などもご紹介し、『平家物語』の世界を味わいます。
講義概要
『平家物語』を、全体の構成や背景となる史実などに目を配りながら熟読し、その奧深い世界を味わうとともに、この物語を作り上げ、語り続けてきた日本人の心の奥底をのぞいていきます。今期は、巻一から巻二を読みます。平家の栄華と奢りが語られたあと、歌舞伎でも有名な俊寛などが登場する鹿ヶ谷の陰謀へと事態が展開する緊張感溢れる部分です。一緒に楽しく学びを深めていきましょう。毎回補助プリントを用いて、同時代史料・絵画資料・地図・系図などを参照しながら、史実との関係、人物の描かれ方、合戦に関する知識などについてもわかりやすく解説します。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/01 | 巻一「清水寺炎上」「東宮立」 | 二条天皇崩御後に対立した延暦寺と興福寺であったが、とうとう延暦寺の大衆は興福寺の末寺であった清水寺に火をかける。世の乱れは宗教の世界にも及んでいたのである。後白河院による平家追討の動きだという噂も流れ清盛らは動搖する。そんな中、清盛の正妻時子の妹である後白河院女御建春門院が産んだ皇子が東宮に立ち、二年後には即位する。高倉天皇であった。 |
2 | 04/08 | 巻一「殿下乗合」 | 後白河院は平氏への反感を持ち始めていた。そのころ、重盛の次男資盛が、鷹狩りの帰途に摂政基房の一行に対し無礼を働き、そのために乱暴されるという事件が起きた。激怒した清盛は、参内しようとしていた基房を襲撃させる。平家の悪行の初めだった。 |
3 | 04/15 | 巻一「鹿谷」 | 高倉天皇のもとに清盛と時子の娘である徳子が入内した。後白河院の近臣であった藤原成親は、左大将の職を望むが、清盛の子息らによって奪われ、平家追討を決意する。鹿ヶ谷の俊寛の山荘に、成親ら反平家の気持ちを持つ人々が集まり、平家打倒の協議がもたれた。時折、後白河院も同席していた。 |
4 | 04/22 | 巻一「俊寛沙汰 鵜川軍」 | 成親は武士である多田行綱を味方に引き入れる。そのころ、後白河院の近臣の西光の子息の師高、師経が、任国の加賀で白山社の末寺鵜川寺の僧たちとの間で紛争を起こす。怒った白山の衆徒は本寺の延暦寺に訴える。 |
5 | 05/13 | 巻一「願立」 | 延暦寺の大衆は師高兄弟を罸するように朝廷に訴えたが、裁許は遅々として進まなかった。昔、山門が強訴したときに、関白師通が日吉山王の神罰によって命を落とした例もあり、事態の成り行きが憂慮されるのであった。 |
6 | 05/20 | 巻一「御輿振」「内裏炎上」 | 延暦寺の大衆は日吉山王の神輿をかついで内裏に乱入しようとする。大内守護だった源頼政は大衆を尊重する態度を取って衝突を回避するが、平氏軍は神輿を迎え撃つこととなった。いったん、神輿を捨てて山に戻った大衆であったが、再び入洛しようとする。使者に立った平時忠の機転で未然に防ぐことができ、師高兄弟の罪科が決定する。まもなく起きた大火によって大内裏も炎上してしまったのだった。 |
7 | 05/27 | 巻二「座主流」 | 治承元年(一一七七)五月、西光父子の讒言により、天台座主の明雲が白山騒動の首謀者として流罪となった。しかし、延暦寺の大衆は西光父子を呪咀したうえ、座主明雲を奪還するために山を下りた。 |
8 | 06/03 | 巻二「一行阿闍梨之沙汰」 | 十禅師権現の託宣によって明雲奪還に成功した大衆は、明雲を東塔の妙光坊にお入れする。かつて、唐でも、一行阿闍梨という僧が無実の罪で流されたが、天の加護によって救われるという出来事があった。 |
9 | 06/10 | 巻二「西光被斬」 | 明雲奪還に怒った後白河院は延暦寺への武力攻撃を考える。しかし、鹿ヶ谷の陰謀の仲間に引き入れられていた多田行綱が清盛のもとに行き、成親や西光の計画を密告する。激怒した清盛によって成親や俊寛は捕らえられ、西光は拷問の末に殺された。 |
10 | 06/17 | 巻二「小教訓」 | 清盛は、さらに成親に対しても怒りをぶつけるが、成親と姻戚関係を結んでいた長男の重盛が、父に対して情理を尽くして説得したので、清盛はいったんは成親の殺害を思いとどまった。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆すでにお持ちの『平家物語』テキストがございましたら、そちらをご持参ください。その場合は指定テキストを新たに購入する必要はございません。
テキスト
テキスト
『平家物語 覚一本 全 改訂版』(武蔵野書院)(ISBN:978-4838606504)※ 上記以外でもお手持ちの『平家物語』があればそれをお持ちください。その場合は指定テキストを新たに購入する必要はございません。
講師紹介
- 清水 由美子
- 中央大学等講師
- 東京大学大学院人文社会系研究科日本文化研究専攻修了。同博士(文学)。中央大学、清泉女子大学、成蹊大学、学習院大学等講師。主な論書は『平家物語を繙く』(単著、若草書房)、『校訂延慶本平家物語 十二』(共著、汲古書院)、『日本の古典を見る 平家物語』(共著、世界文化社)など。