ジャンル 人間の探求
早稲田校
哲学史から解き明かす現象学 カントとフッサール
長坂 真澄(早稲田大学教授)

曜日 | 木曜日 |
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時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全8回
・04月10日 ~
06月05日 (日程詳細) 04/10, 04/17, 04/24, 05/08, 05/15, 05/22, 05/29, 06/05 |
コード | 110502 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 23,760 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 27,324 |
目標
・近現代の哲学史の中で現象学を捉える。
・個々の哲学者を超えて継承される問いに着眼する。
・問いを様々な観点から吟味する。
講義概要
20世紀ドイツの哲学者フッサールによって創始された現象学は、21世紀の今日、ドイツ語圏を超え、さらにフランス語圏、英語圏をも超え、多様な発展を遂げている。本講義では、現象学はそもそもなぜ成立するにいたったのかを、哲学史から解き明かすことを目的とする。このため本年度は、カントとフッサールに着目する。フッサールはカントからいかなる問いを継承するのか。フッサールはカントを継承しながらも、なぜ独自の現象学を打ち立てるのか。またフッサールによるカントの批判的継承は、後世の哲学者たちにどのように評価されているのか。これらの問いを追究することにより、現象学が哲学史の中で持つ意義を明らかにする。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/10 | 序論 | 第1回講義では、本年度の本講義全体の見取り図を概説する。とりわけ、本講義で扱う哲学者、カント、フッサール、ハイデガー、チャン・デュク・タオ、リクールについて、18世紀から20世紀のドイツ、フランスの哲学史を背景に、彼らの思想的な影響関係を素描する。 |
2 | 04/17 | カント哲学に潜在する現象学的な側面 | カント哲学は主観性のア・プリオリな構造を、感性、悟性、構想力(想像力)から明らかにする。第2回講義では、カント哲学が主観性の哲学という側面を持つことに着目し、カント哲学のうちに現象学的な探究の萌芽を見いだす。 |
3 | 04/24 | カント哲学に顕在する反現象学な側面 | カント哲学は主観性の構造を、客観の客観性の成立の可能性の条件として明らかにする。第3回講義では、カント哲学が客観性の成立から遡行的に主観を記述することに着目し、カント哲学の反現象学的な側面を明らかにする。 |
4 | 05/08 | フッサールによるカントの継承と批判 | フッサールは1890年代から晩年にいたる著作において、繰り返しカント哲学に立ち戻り、カントの術語を現象学の文脈に置き直しつつ採用する。第4回講義では、フッサールがカントを継承しつつもいかなる点でカントから隔たるのかを概説する。 |
5 | 05/15 | ハイデガーによるカントとフッサール | ハイデガーは1920年代から60年代にかけての複数の講義・著作において、カント哲学の現象学的な解釈を提示している。第5回講義では、時間論に着眼点を絞り、ハイデガーがカントとフッサールのうちにいかなる共通点を見いだすのかを概説する。 |
6 | 05/22 | チャン・デュク・タオによるカントとフッサール | ヴェトナムの哲学者チャン・デュク・タオは、1940年代にカントとフッサールを比較する諸論考を発表している。第6回講義では、カント哲学が原理的に扱うことができない問いにフッサールは向かったとする彼の解釈を概説する。 |
7 | 05/29 | リクールによるカントとフッサール | リクールはカントとフッサールを対峙させつつ、フッサールが現象学の枠組みでは原理的に持つことができない視点をカントは持っていたと考える。第7回講義では、リクールによるこの見解を概説し、カントの反現象学的側面が持つ意義について考察する。 |
8 | 06/05 | 総括 | 第8回講義では、これまでの本講義の内容を振り返り、カント哲学の現象学的側面を強調するハイデガー、現象学的側面・反現象学的側面の双方に着目するチャン・デュク・タオ、反現象学的側面をむしろ強調するリクールの議論を概観した上で、カント哲学以降に成立した現象学の意義と課題を明確にする。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講日は6月12日(木)を予定しています。
講師紹介
- 長坂 真澄
- 早稲田大学教授
- 博士(哲学、フランス、トゥールーズ大学)。専門分野は独仏現象学および宗教哲学。早稲田大学にて西洋哲学の授業を担当。書籍等著作物として『リクール読本』、『レヴィナス読本』(ともに共著、法政大学出版局)、『デリダのハイデガー講義を読む』(共著、白水社)がある。