ジャンル 世界を知る

早稲田校

宗教人口の変遷がもたらす世界の潮流―イスラームとキリスト教、ユダヤ教

  • 春講座

宮田 律(一般社団法人現代イスラム研究センター理事長)

曜日 木曜日
時間 13:10~14:40
日程 全10回 ・04月03日 ~ 06月19日
(日程詳細)
04/03, 04/10, 04/17, 04/24, 05/08, 05/22, 05/29, 06/05, 06/12, 06/19
コード 110334
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・人口という観点からイスラーム、キリスト教世界、ユダヤ教の歴史的発展を知る
・世界ではなぜ一見、宗教戦争ともいわれる対立や紛争が発生するのかその背景を探る
・日本人はいかにイスラームと向き合うべきかを考える

講義概要

2023年10月ハマスのイスラエルへの奇襲攻撃でガザの紛争が始まった。一部では「宗教戦争」などという形容もあるが、宗教は紛争を起こすナショナリズムの一要素にすぎない。本講座ではイスラームに関する基本的知識を、教義、実践などから説き起こし、イスラーム世界の歴史的発展、キリスト教、ユダヤ教の人口動態を説明しつつ、イスラームがいかにこれらの宗教世界と関わってきたかを紹介したい。また日本人が今後国内で増え続けるであろうイスラームといかに関わっていくべきかを考えてみたい。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/03 イスラームとは何か イスラームの教義、特徴、実践などを平易に説明する。
2 04/10 イスラーム世界の歴史的発展―イスラーム人口はどうして増加したか イスラーム人口がどうして増加したのか、その宗教的要因、軍事的拡張、学術・産業の発展などについて説明する。中世世界では先進的であったイスラーム文明を紹介する。
3 04/17 キリスト教の人口動態 キリスト教の人口動態について、その生誕期から中世、近世までを語る。特にローマ帝国による国教化、神聖ローマ帝国のカトリック信仰、ルネサンスの基礎をつくったシチリア島とのパレルモやスペイン・トレドなどについて説明したい。
4 04/24 イスラーム世界を逆転したキリスト教世界と産業革命による人口増加 キリスト教はいかにして世界を支配するようになったのか、植民地主義発展の基礎となった産業革命時代の人口増加の要因について分析を行う。
5 05/08 ヨーロッパにおけるユダヤ教 ユダヤ教を信仰するユダヤ人がローマ帝国によってパレスチナを追われ、ヨーロッパ各地に離散(ディアスポラ)となる中で、いかにキリスト教世界から差別・迫害を受けたか。ヨーロッパ・キリスト教世界のユダヤ人観の歴史的発展を紹介する。
6 05/22 キリスト教を核とするヨーロッパ・ナショナリズムの発展と、その悲劇 ヨーロッパ・ナショナリズムは、イスラーム、キリスト教、ユダヤ教にどのような影響を与えたか、その悲劇の歴史を知る。
7 05/29 宗教がせめぎ合うアメリカ大陸 アメリカ大陸にキリスト教をもち込んだのはヨーロッパからの植民者たちだったが、ユダヤ人もヨーロッパでの迫害を逃れてアメリカ大陸に移住して成功を収める。また、現代では「キリスト教原理主義」とも表現されるキリスト教福音派も強い影響力をもっている。さらに、人種差別をうけた黒人の間ではイスラーム信仰も盛んになった。アメリカ社会における宗教のせめぎ合いや、ラテンアメリカ諸国におけるイスラーム社会について紹介する。
8 06/05 増加する世界のイスラーム人口 なぜムスリム人口は増加するのか、ムスリム人口増加をけん引するイスラーム神秘主義の活動やヨーロッパ社会におけるイスラーム・フォビア(恐怖症)など、イスラーム人口の増加がもたらす国際社会の変化について解明を行う。
9 06/12 虚構の「文明の衝突」 1990年代、世界では「文明の衝突」が唱えられるようになり、イスラームとキリスト教世界・ユダヤ教世界との対立図式が喧伝されるようになった。「文明の衝突」がなぜ強調されるようになったのか、その背景にある要因を検討する。
10 06/19 日本の中のイスラーム 日本のイスラーム社会が抱える問題を紹介する。少子高齢化が顕著な日本では外国人労働が必要になっているが、そのためインドネシアやマレーシアのようなイスラーム諸国からも技能実習生などが日本にやって来て、労働するようになった。また、インバウンドでムスリム観光客も増加しつつある。日本人はいかにイスラームと接するべきなのかを考えたい。

備考

5月15日(木)は講師都合により休講となりました。補講は6月19日(木)に行います。

講師紹介

宮田 律
一般社団法人現代イスラム研究センター理事長
1955年、山梨県生まれ。米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院修士課程修了。87年、静岡県立大学に勤務し、中東アフリカ論や国際政治学を担当。専門は、イスラム地域の政治および国際関係。著書に、『現代イスラムの潮流』(集英社新書)、『オリエント世界はなぜ崩壊したか』(新潮選書)、『中東イスラーム民族史』(中公新書)、『武器より命の水をおくりたい 中村哲医師の生き方』(平凡社)、『イスラエルの自滅』(光文社新書)など。
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