ジャンル 世界を知る
早稲田校
神話と中世ヨーロッパ 「ニーベルンゲンの歌」「アーサー王物語系列」に登場する女性たち
石井 道子(早稲田大学教授、早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所長)

曜日 | 金曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全8回
・04月04日 ~
05月30日 (日程詳細) 04/04, 04/11, 04/18, 04/25, 05/09, 05/16, 05/23, 05/30 |
コード | 110319 |
定員 | 26名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 23,760 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 27,324 |
目標
・ヨーロッパ騎士物語・英雄物語について知見を広げる
・登場する女性たちについて知る
・女性像の源泉となる神話の伝承を理解する
講義概要
ヨーロッパ中世の物語は「騎士」や「英雄」、つまり男性が主人公です。登場する女性は主人公の恋人や妻、または脇役です。本講座では、男性主人公ではなく、いわば脇を固める女性たちに注目して中世の物語を紹介します。脇役である彼女たちがどんな存在なのかを、13世紀からさらにさかのぼり、物語の源泉である北欧神話やケルト神話に広げて考察していきます。女性たちが本来持っていた個性と魅力に触れると、中世の物語の世界が生き生きと見えてくることでしょう。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 04/04 | ブリュンヒルデ(1) | 中世ドイツ「ニーベルンゲンの歌」に登場するブリュンヒルデは本来北欧神話の主神オーディンに仕えるヴァルキューレでした。主人公ジークフリートの最初の恋人ですが、その後不本意にグンター王の妻になり、この拗れがジークフリート暗殺のきっかけを生みます。 |
2 | 04/11 | ブリュンヒルデ(2) | 「ニーベルンゲンの歌」に語られていないブリュンヒルデの物語を北欧神話に探り、彼女の本性を理解します。 |
3 | 04/18 | クリームヒルト(1) | 「ニーベルンゲンの歌」第1部で、クリームヒルトとジークフリートとの恋愛結婚は宮廷恋愛の理想のように描かれています。出会いから結婚までの乙女心に、13世紀の女性の繊細さを読みとります。 |
4 | 04/25 | クリームヒルト(2) | 「ニーベルンゲンの歌」第2部で、クリームヒルトは文字通り復讐の鬼と化し、夫ジークフリートの復讐にとどまらず、自らの一族を滅ぼします。復讐劇の根底にある激情を、北欧神話の観点から読み解きます。 |
5 | 05/09 | イゾルデ | 中世フランス・ドイツ「トリスタン物語」のヒロインであるイゾルデの悲劇の発端は魔法薬でした。薬を飲んだため、騎士トリスタンとの悲恋が始まりました。物語では夫マルケ王との三人の間の複雑な心理劇が描かれます。ケルト伝承である魔力を持つ妖精の姿をもとに物語を解釈していきます。 |
6 | 05/16 | グィネヴィア | 中世イギリス・フランス「アーサー王物語」のグィネヴィアはアーサー王の妻として宮廷の理想の女性です。一方でランスロットの恋人役を果たす、放埓な女性でもあります。いわゆる三角関係の背後に隠された、彼女の特別な存在意義について考察します。 |
7 | 05/23 | モルガン | アーサー王の義姉のモルガン・ル・フェイ(妖精モルガン)はケルトの妖精に由来する登場人物です。のちに15世紀の物語では邪悪な妖女となり、アーサー王の宿敵となります。悪女の役回りはどう解釈できるでしょうか。 |
8 | 05/30 | ヴィヴィアン | 「アーサー王物語」に登場する妖精ヴィヴィアンは魔術師マーリンの恋人、騎士ランスロットの育ての親、等々、多くの役割を持つ女性です。同名の複数の人々とも解釈されるヴィヴィアンですが、意外なことに21世紀の現代女性の姿に近い活躍ぶりを見せてくれます。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講日は6月6日(金)を予定しています。
講師紹介
- 石井 道子
- 早稲田大学教授、早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所長
- 東京大学大学院修士課程修了後、早稲田大学文学部助手を経て理工学部勤務、2004年より教授。専門分野はドイツ語学文学。ドイツ語教育と、神話や伝説を中心とした講義に携わっている。著作に『ミンネザング―中世恋愛抒情詩撰修』(共著)、「ドラゴン伝説」「グレゴリウス伝説」「メルジーネ伝説」等を扱った論文がある。