ジャンル 世界を知る

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遊牧民からみた中国の歴史―拓跋国家からモンゴル帝国の統一まで

  • 冬講座

古松 崇志(京都大学教授)

曜日 月曜日
時間 10:30~12:00
日程 全6回 ・01月20日 ~ 03月03日
(日程詳細)
01/20, 01/27, 02/03, 02/10, 02/17, 03/03
コード 740331
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・中国を含めたユーラシア東方の歴史の基本的なしくみを知る。
・日本とは異なり、ユーラシア大陸が多様な民族・文化の行き交う世界であることを理解する。
・これらを通じて、現代のアジアや世界情勢にかかわる諸問題を多面的にとらえるための知識や考え方を身につける。

講義概要

中央ユーラシアの乾燥地帯には、古来移動する牧畜を生業とする遊牧民が暮らし、彼らは強力な騎馬軍事力を武器にユーラシア大陸の歴史に大きな足跡を残しました。本講座では、ユーラシア東方に位置する中国の歴史を彩る重要なアクターでもあった遊牧民に焦点を当て、彼らの立てた遊牧国家の動向について、その中国とのかかわりを中心に、最新の研究をふまえながら見ていきます。具体的には、遊牧民の動向が中国史の展開に決定的な影響を及ぼした北魏から隋・唐に至るいわゆる「拓跋国家」より説き起こし、中国を含めてユーラシアを統合し、遊牧国家のひとつの完成形をみたモンゴル帝国(大元ウルス)に至るまでを大づかみに描いていきます。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/20 ユーラシア東方史と遊牧国家 中央ユーラシアの広域の地理環境と、そこに暮らした騎馬遊牧民について概述したうえで、中央ユーラシア史と中国史あるいは東アジア史とにまたがる歴史舞台としてユーラシア東方史を設定します。この地域設定によって、遊牧集団・国家と中国王朝の双方の歴史展開、あるいはその相互の対立・交流・融合や、遊牧国家による中国支配、中国本土に拠点を置く国家の中央ユーラシア進出といった多様な関係性をあわせて見通すことが可能となります。
2 01/27 拓跋(タブガチ)とテュルク ユーラシア東方では早くに遊牧国家(匈奴)と中国王朝(秦・漢)が南北に対峙する構図が生まれます。その後、匈奴と漢の双方が解体したのちに、大量の遊牧民集団が中国本土に流れ込んで、「五胡十六国」と呼ばれる時代が出現します。遊牧民と定住民が交錯・融合する局面を勝ち抜いたのが鮮卑拓跋部という遊牧集団で、彼らを中核とする北魏より隋・唐に至る一連の「拓跋国家」が中国を支配し、あらたな中国王朝の統治体制を築くことになります。北方で強盛を誇ったテュルク(突厥)との密接なかかわりもあわせて見ていきます。
3 02/03 契丹(キタイ)と沙陀テュルク 安史の乱以後、唐・ウイグル(テュルク)・チベットの三国鼎立のあと、9世紀のユーラシア東方は著しい多極化の局面に入ります。このころモンゴル高原南部から勃興したのが契丹で、遊牧軍事力を中核としつつ定住農耕民の生産力をおおきく取り込んだ新しいスタイルの遊牧国家を建設します。かたや中原ではテュルク系の軍事集団沙陀が興隆し、ユーラシア東方は南北にふたつの新興勢力が対峙し、両者が絡み合いながら歴史が展開していきます。
4 02/10 澶淵の盟と多国体制 11世紀初頭、契丹は沙陀の後継政権である北宋と「澶淵の盟」と呼ばれる盟約を締結し、両者は100年を超える友好関係を維持することになります。両国が対等な関係で平和共存することを可能にしたしくみを「澶淵体制」と名づけ、その特徴と意義や後世におよぼした影響力について考察します。また、その後ユーラシア東方では、契丹と北宋のみならず、西夏・高麗・チベット・西ウイグル・カラハン朝などの多国が比較的安定して並存する「多国体制」と呼ぶべき情勢がつづきます。
5 02/17 金(女真)の覇権 12世紀前半に東北アジアより勃興した女真が立てた金がユーラシア東方を席巻し、契丹・北宋をあいついで滅ぼしますが、金は高麗・西夏・南宋と盟約を結び、前代以来の多国体制は形を変えて存続します。一方、西に移った契丹は中央アジアにカラ=キタイを建設し、ユーラシア東方は金とカラ=キタイが東西に対峙する構図となります。この時代のユーラシア東方の多国体制の特質を明らかにするとともに、金とカラ=キタイの角逐がモンゴル帝国勃興へとつながっていく歴史的な背景について探ります。
6 03/03 モンゴル帝国と中国 13世紀にチンギス=カンが登場してモンゴル=ウルスを建国し、空前の規模でユーラシアの政治統合を成し遂げます。結果としてモンゴル帝国は、ユーラシア各地の伝統のなかで蓄積された知識・慣習・制度・学術・技術などを総合する存在となりました。ユーラシア東方では、大元ウルスが草原世界から海域世界までを真に統合した史上初めての政権となり、こうした大版図はのちに大清グルン(清朝)のもとで再現し、現在の巨大な中国の淵源となるなど、後世に大きな影響を及ぼしました。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講は3月10日を予定しています。
◆参考図書としまして、『草原の制覇(岩波新書シリーズ中国の歴史③)』 (古松崇志著、岩波書店) を通読していただくとより理解が深まります。(購入は必須ではありません)
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員】授業動画の視聴方法(会員向け)
【ビジター・法人会員】授業動画の視聴方法(ビジター・法人会員向け)

講師紹介

古松 崇志
京都大学教授
博士(文学、京都大学)。専門分野はユーラシア東方史で、主に内陸アジア草原地帯の遊牧民と中国の定住農耕民とが相互におりなしてきた歴史を解明することを目指している。著書として、『草原の制覇:大モンゴルまで』(岩波新書シリーズ中国の歴史③)、『ユーラシア東方の多極共存時代:大モンゴル以前』がある。
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