ジャンル 芸術の世界
早稲田校
映画音響論入門―小津安二郎、黒澤明、溝口健二
長門 洋平(東京都立大学准教授、静岡文化芸術大学講師)

曜日 | 土曜日 |
---|---|
時間 | 13:10~16:35 ※途中休憩をはさみます。 |
日程 |
全3回
・02月15日 ~
03月08日 (日程詳細) 02/15, 02/22, 03/08 |
コード | 140475 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 17,820 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 20,493 |
目標
・一般に視覚主体のメディアと考えられがちな映画を、聴覚面からも捉える力を身につける。
・日本映画の巨匠たちの作品を、音/音楽の観点からとらえ直す。
・映画において「日本的なるもの」がどのように表現されてきたかという点に関し、理解を深める。
講義概要
映画を「見る(観る)」とは言いますが、映画を「聴く」とは言いません。
動く写真=Moving Pictureという視覚メディアとして生まれた映画にとって、このことは当然であるとは言えます。しかしながら、とりわけ1930年前後に起こったトーキー革命以降、映画にとって音/音楽はなくてはならないものになりました。
本講義では、そのような「映画の音」を単なる映像の付随物と見なすのではなく、映像体験において中核的な役割を担う要素として集中的に検討します。とりわけ、小津安二郎、溝口健二、黒澤明といった巨匠たちの作品に注目しながら、黄金時代の日本映画の魅力を聴覚面から明らかにしていきます。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
---|---|---|---|
1 | 02/15 | 日本におけるトーキーの黎明——溝口健二ほか | 1927年公開のアメリカ映画『ジャズ・シンガー』(アラン・クロスランド)以降、世界各地でトーキー革命が本格化します。日本でも、溝口健二や五所平之助らによって「喋る映画」の可能性が模索され始めました。第1回目はその時期にスポットを当てながら、映画から「音が出る」ことの原初的な意義を検討します。 |
2 | 02/22 | 映画の「伴奏音楽」とは何か——小津安二郎ほか | 映画作品の内部に音が組み込まれるようになったことによって、映画における「リアリティ」の問題が再検討されることになりました。たとえば、映画の物語世界のなかでは流れていない(キャラクターたちには聞こえていない)はずの「伴奏音楽」とは映画にとってナニモノなのか、という問いが浮上します。第2回目は、そのような映画の伴奏音楽を中心に、その機能・効用を考察します。 |
3 | 03/08 | 戦後日本映画の音響とその現代性——黒澤明ほか | 日本における映画の音楽/音響表現は第二次世界大戦後に、現代性の追求という側面を強めていきます。その様相は端的に、「前衛志向」と「日本回帰」という一見相反する方向性としてあらわれますが、実は両者は同じコインの表裏です。第3回目では、日本映画の戦後を考えることで、現在の映像文化にもつながる「映画音響」の現代的可能性を探ります。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
3月1日は休講となります。補講は3月8日に行います。
講師紹介
- 長門 洋平
- 東京都立大学准教授、静岡文化芸術大学講師
- 1981年生まれ。博士(学術、総合研究大学院大学)。東京都立大学准教授。専門は映画研究、聴覚文化論。『映画音響論——溝口健二映画を聴く』(みすず書房、2014年)で、第36回サントリー学芸賞〈芸術・文学部門〉受賞。その他の著書に、『音と耳から考える——歴史・身体・テクノロジー』(アルテスパブリッシング、2021年、分担執筆)など。