ジャンル 日本の歴史と文化

早稲田校

先駆者の生涯をたどる―女性法曹三淵嘉子の物語

  • 冬講座

神野 潔(東京理科大学教授)

曜日 火曜日
時間 10:40~12:10
日程 全8回 ・01月07日 ~ 03月04日
(日程詳細)
01/07, 01/14, 01/21, 01/28, 02/04, 02/18, 02/25, 03/04
コード 140230
定員 26名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 23,760
ビジター価格 受講料 ¥ 27,324

目標

・「女性法曹」の「先駆者」である三淵嘉子について理解を深める。
・日本の近現代における「女性法曹」の歴史について理解を深める。
・アメリカや韓国などの「女性法曹」の歴史と相対化する。

講義概要

本講義では、女性として日本で初めて弁護士・判事・裁判所長となった三淵嘉子(1914-1984)の人生を中心に、日本の「女性法曹」の歴史を見ていく。嘉子は2024年度前期のNHK連続テレビ小説「虎に翼」のモデルとなった人物であり、「先駆者」としてのその人生に対して大きな注目が集まっている。この講義では、ドラマと史実との違いなどにも目を向けながら、「女性法曹」の歴史の中に、三淵嘉子の人生とその功績とを位置づけていきたい。その過程で、①法曹史と司法制度史全般について、②他の「女性法曹」の活動について、③アメリカや韓国などにおける「女性法曹」の歴史との比較、の3点についても重視していくことにする。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/07 三淵嘉子のキャリアを概観する 本講座の「主人公」である三淵嘉子の人生(キャリア)について概観するとともに、嘉子について学ぶ上で基本となる史資料を確認する。
2 01/14 近現代の司法制度 三淵嘉子は1938年に高等試験司法科に合格し、弁護士試補を経て弁護士となる。ここに見られる試験制度や試補制度などは、日本が近代的な司法制度を整備していく過程で導入されたものであった。これらのことを中心に、近代的な司法制度全般の形成と展開について理解する。
3 01/21 女性と大学 三淵嘉子は1938年に明治大学法学部を卒業するが、この時代に女性が大学で学ぶということには大きな困難があった。日本の近現代における大学の成立と発展を理解し、女性たちに対して大学の門戸がどのように開かれていったのか(あるいは開かれていかなかったのか)を見ていく。
4 01/28 「女性法曹」誕生の意義 1940年に「初の女性弁護士」となったのは、三淵嘉子・中田正子・久米愛の3人であった。この3人は弁護士として勤務しながら母校の教壇にも立ち、後進の指導にあたる。また、雑誌の法律相談に積極的に応じるなど、女性たちにとって法を身近なものにしようとする努力を惜しまなかった。この2点を中心にして、「初の女性弁護士」誕生の意義について考える。
5 02/04 「女性法曹」の活躍と取り巻く状況 三淵嘉子たち「初の女性弁護士」から影響を受けて、石渡満子、渡辺道子、野田愛子、鍛治千鶴子など、多くの「女性法曹」たちが現れて後に続いた。彼女たちのキャリアと功績を辿りながら、主に1950年代から1960年代にかけての「女性法曹」の展開を追う。
6 02/18 「女性法曹」の歴史の比較研究 三淵嘉子は1950年にアメリカの家庭裁判所を視察し、そこで女性裁判官の活躍を目にしたという。また、韓国初の女性弁護士で、家族法の改正に力を尽くした李兌栄(1914-1998)は、偶然にも嘉子と同年の生まれであった。この2つの切り口を中心に、海外の「女性法曹」の歴史に目を向けて、日本のそれと比較したい。
7 02/25 三淵嘉子と家庭裁判所 三淵嘉子は1962年に東京家庭裁判所判事となり、以降、少年審判に力を尽くすようになる。嘉子の活動を通して、家庭裁判所の意義について考えていく。
8 03/04 裁判所所長時代の三淵嘉子 三淵嘉子は1972年に新潟家庭裁判所長となり、以降、浦和家庭裁判所、横浜家庭裁判所で所長を務めた。この時代の嘉子の活動と、裁判所を取り巻く状況について概観する。

講師紹介

神野 潔
東京理科大学教授
愛知県出身。慶應義塾大学法学研究科後期博士課程単位取得退学。東京理科大学理学部第一部准教授、教授等を経て、2021年より現職。専門分野は日本法制史(特に日本中世法史、日本近現代法学史・法曹史)。最新の単著として、『三淵嘉子-先駆者であり続けた女性法曹の物語』(日本能率協会マネジメントセンター、2024年)がある。
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