ジャンル 現代社会と科学
中野校
グローバルサウスとしてのアフリカと日本
白戸 圭一(立命館大学教授、京都大学特任教授)

曜日 | 土曜日 |
---|---|
時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全3回
・02月22日 ~
03月08日 (日程詳細) 02/22, 03/01, 03/08 |
コード | 340722 |
定員 | 24名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 8,910 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 10,246 |
目標
・アフリカ諸国の最新情勢について知る。
・グローバルサウスと呼ばれる国々についての理解を深める。
・アフリカを知ることを通して日本の進むべき道を考える。
講義概要
米国の国力の相対的な低下が進む中、西側先進国を中心としてきた国際秩序は大きく変わりつつある。グローバルサウスに属する世界の多くの国々は、特定の大国に依存するのではなく、自国の利益を最大化するために自律的かつ柔軟に動く傾向を強めている。国連加盟国の4分の1強を占めるアフリカの国々は、グローバルな多極構造を利用する国家の典型であり、人口爆発を背景に国際社会における存在感と発言力を強めている。少子高齢化を背景とした国内市場の縮小、国際競争力の低下といった問題に直面する日本は、ますます存在感を強めつつあるアフリカ諸国とどのように向き合っていけばよいのか。3回の講義を通して考えたい。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
---|---|---|---|
1 | 02/22 | 資本主義の最前線としてのアフリカ | 日本社会の大勢が1990年代までに形成された「貧しいアフリカ」のイメージに拘泥する中、21世紀に入ってからのアフリカは世界各国から投資が集まる地域へと急速に変容した。各国で先端技術が急速に普及し、日本社会が明治時代から100年以上かけて到達した技術水準にわずか十数年で追いつく「リープフロッグ現象」がみられるなど、現在のアフリカは資本主義の最前線と言っても過言ではない状況にある。人口増大、新しいビジネスモデルの急速な普及など、アフリカ諸国の経済・社会の「今」を見ていきたい。 |
2 | 03/01 | 多極構造の最前線としてのアフリカ | ロシアのウクライナ侵攻後に開かれた国連総会で、多くのアフリカの国がロシアを非難する決議の採決で「棄権」「無投票」を選択した。アフリカ諸国の投票行動は、西側諸国が中心となって形成してきた国際秩序が世界ではさほど強く支持されてはいない現実を浮き彫りにした。アフリカの国々の間では、西側の主張に無条件で賛同したくないとの考えが広がり、同時に自国の発展に有益と判断した範囲内で中国とロシアの力を利用する動きが加速している。我々が自由主義に基づく国際秩序を維持するためには、アフリカ諸国を含むグローバル・サウスがより公正であると認識できるよう国際秩序を変革していかなければならない。2回目の講義では、こうした点について考えを深めていきたい。 |
3 | 03/08 | 日本の姿を映し出す「鏡」としてのアフリカ | 日本外交は長年、政府開発援助(ODA)を柱にアフリカ諸国との関係を深めてきた。だが、「失われた30年」と言われるほど日本経済が停滞し、国力低下が進みつつある現在、経済成長を続けるアフリカとの関係再構築が必要とされている。日本の対アフリカ外交の軌跡についての基本知識を学びながら、今後の関係の在り方について考えたい。 |
講師紹介
- 白戸 圭一
- 立命館大学教授、京都大学特任教授
- 1995年、立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社に入社し、外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務(1995〜2014年)。三井物産戦略研究所を経て2018年より現職。日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞した『ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄』(東洋経済新報社、後に朝日文庫)など著書多数。現在、京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、ササカワアフリカ財団理事、三井物産戦略研究所客員研究員を兼務。