ジャンル 文学の心

早稲田校

遠藤周作とキリスト教

  • 秋講座

古橋 昌尚(清泉大学教授)

曜日 土曜日
時間 15:05~16:35
日程 全5回 ・10月05日 ~ 12月14日
(日程詳細)
10/05, 10/12, 11/30, 12/07, 12/14
コード 130159
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 14,850
ビジター価格 受講料 ¥ 17,077

目標

・遠藤周作の生涯とキリスト教との関係について学びます。
・遠藤周作の代表作をキリスト教の観点から捉えて読み直します。
・遠藤周作の関心事、作家を方向づける文学的テーマについて学びます。

講義概要

昨年遠藤周作生誕百年を記念してさまざまなイベントが開催されました。長崎市の遠藤周作文学館では今年の9月までさまざまな記念の行事や企画を行なっています。2016年には『沈黙』刊行50年を記念して国際シンポジウムなどが開催されました。今年で死後28年になりますが、なおも衰えない人気を博しています。海外でも多くの作品の翻訳にくわえて研究論文が発表され、『沈黙』は今や世界文学となりつつあります。遠藤周作とキリスト教のテーマをめぐって、改めて遠藤の代表作を読み直してゆきます。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 10/05 遠藤周作とキリスト教 母郁は周作の信仰と作家業に影響を与えます。遠藤は小説家としてキリスト教と日本人、西欧と日本人、信仰のテーマに生涯を賭けます。キリスト教は遠藤に深くしみこみ、その人生を方向づけます。基督教、作家、日本人という遠藤のアイデンティティが作家としての道を切り拓きます。
2 10/12 『沈黙』 16〜17世紀切支丹時代の長崎を背景に、宣教者と被宣教側、西欧と日本との双方の言い分を検討し、宣教師ロドリゴと井上筑後守、フェレイラ、通辞らとのやりとりで出てくる日本泥沼論、深情け論、松浦公側室論、またパライソ論などをとりあげ、遠藤のメッセージを探ります。
3 11/30 『深い河』 大津はフランスの神学校で神とイエスの捉え方の違いに苦しみます。美津子は印度のヴァーラーナスィで大津と再会し、自らの人生の意味を探究します。大津を通して日本人にもわかるイエス像というテーマ、また日本人にとって意味をもちうるキリスト教の在り方が提起されます。
4 12/07 『わたしが・棄てた・女』 二十世紀の日本を背景に遠藤はイエスの似姿に息を吹きこみます。キリスト教色のほぼでてこない物語で、遠藤が森田ミツのうちにイエスの似姿を描くことで、シンボルを通してキリスト教のメッセージを伝えます。吉岡はイエスを裏切った弟子のように、ミツを証言する者となります。
5 12/14 『死海のほとり』 『沈黙』後7年をかけて完成したこの作品は世からの反応も鈍く、遠藤には納得がいきませんでした。他方で、遠藤自身の信仰にとって意味があり、創作技術に優れ、神の秘跡的観方、自らの神概念を追求した質の高い作品です。「私」はイスラエル巡礼を通してイエスの足跡を辿ります。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆小説作品は文庫で入手できますので、各自で読んでおいてください。
◆毎回の講義ではハンドアウト資料を配布し、大切なテキスト個所を引いて示します。

講師紹介

古橋 昌尚
清泉大学教授
専門はキリスト教神学、文学、宗教です。これまで主に文化的受肉と遠藤周作の文学と神学について研究してきました。『遠藤周作の文化的受肉――文学の営みにおける神学の実践』(仮題)2025年出版予定。『今日のアジアの教会におけるインカルチュレーション』編著。論文:「遠藤周作の啓示神学」、「ロドリゴの「土の違い、水の違い」との出会い」、「遠藤周作『深い河』における美津子の人生の意義の探求」、「『死海のほとり』、救いの物語」、「インカルチュレーションの諸モデル」、「グローバル化時代の宗教」、「解釈の循環が断ち切られるとき―神学方法論の行方」、「アジア特別シノドスとインカルチュレーション」、他。
  • 外国語 コースレベル選択の目安
  • 広報誌「早稲田の杜」
  • オープンカレッジ友の店