ジャンル 世界を知る

早稲田校

春秋戦国時代のポイント―「中華帝国」成立への道

  • 秋講座

高津 純也(川村学園女子大学教授)

曜日 土曜日
時間 15:05~16:35
日程 全6回 ・09月28日 ~ 11月16日
(日程詳細)
09/28, 10/05, 10/12, 10/26, 11/09, 11/16
コード 130321
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・中国の歴史と文化に対する理解を深める。
・近年の歴史学の取り組みと成果について知る。

講義概要

中国の長い歴史の中でも、春秋戦国時代(紀元前8〜3世紀)は戦乱の時代・群雄割拠の時代として広く知られ、その時代の出来事や人物をテーマにした文学作品や映像作品も多く作られてきました。そのような激動の背景には、単なる政治的な動揺にとどまらない、社会全体の変革が横たわっています。しかも近年の研究によって、中国の姿はその変革の前と後とで、想像以上に変わり果てたことがわかってきました。春秋戦国という時代が持つ、本当の意味とは何か。その前の時代およびその後の時代も視野に入れつつ、この時代を理解するためのポイントを押さえます。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 09/28 春秋戦国時代のbefore―初期王朝の時代 周王朝、その前の殷王朝、そしてその前の王朝(「夏」?)のことを「初期王朝」と総称する。その時代の様相については、これまで『史記』をはじめとする文献に頼って認識されており、それを甲骨文や青銅器銘文などの一次史料が補う形であった。しかし近年、出土史料の増加とそれに伴う文献史料の再検討により、当時の歴史像は大きく見直されることになった。司馬遷らにはじまる歴代の歴史家たちが想定し得なかった、初期王朝の時代の実相について説明する。
2 10/05 春秋戦国時代の始まり―「東遷」の真相 周王の支配力が衰えたその果てに、戦乱によって周王が本拠地・渭水盆地を放棄し洛陽へと遷る「東遷」という事件が生じた。そして、周王を差し置いて実力ある諸侯たちが覇権を競う時代、春秋戦国時代が幕を開ける。しかし、「東遷」という事件の実態は、従来大きく誤解されてきた。また、「東遷」によって世の中の何が変わったのかという点も、認識を新たにする必要があるようである。「東遷」の実態と、それを機に始まる春秋時代の政治構造について説明する。
3 10/12 春秋戦国時代の社会変革(1)―鉄製農具がもたらしたもの 「春秋戦国時代には鉄製農具が普及し、それによって農業生産力が飛躍的に高まり…」という話は、多くの高校教科書に記されている。しかしそれらを読む限り、それによってどれほど大きく社会が変わったのか、そのことを十分伝えきれてはいないように思われる。鉄製農具の普及という技術革新をきっかけに、ドミノ倒しのように社会の全てが変わっていく、それはいかなる展開をたどったのか。そのメカニズムについて説明する。
4 10/26 春秋戦国時代の社会変革(2)―新しい社会、新しい国のかたち 社会の大変革に直面した国々。中国大陸に散在していた数百もの諸侯国は、弱肉強食の嵐にさらされ、有名な「戦国の七雄」が天下のほとんどを領有する状況へと転換する。そして数百年をかけて、秦による「天下統一」が成し遂げられる。なぜ7つの国はそれほどまでに強大化できたのか、一方でなぜ7つの強国が併存する時代が続いたのか。そして、いかにして秦は統一を可能としたのか。国々のありようが変化していく過程について説明する。
5 11/09 春秋戦国時代のafter(1)―始皇帝の国と劉邦の国 秦の始皇帝による中国統一は、春秋戦国時代の社会変革の結果として成立したと言える。しかし周知の通り、その統一王朝はわずか15年で滅び、その後の混乱を項羽が一時的に制して覇権を握るも、それを凌駕して劉邦が前後400年に及ぶ漢帝国を成立させた。戦国の世から秦へ、そして項羽の王国から漢帝国へ―後の者は何を前代から受け継ぎ、何を変えたのか。諸政権に支配の成否をもたらしたものについて説明する。
6 11/16 春秋戦国時代のafter(2)―武帝から光武帝へ 前漢第7代皇帝・武帝は、漢帝国最盛期を現出した皇帝として知られる。しかし武帝は軍事的に成功しただけでなく、後世へと続く支配システムを立ち上げたようだ。そして、春秋戦国時代の社会変革の最終到達点は始皇帝の統一ではなく、武帝の支配、それ以降の衰退と前漢の滅亡、さらに光武帝による漢帝国復活と支配の確立という、そこまで展開して完了したと位置づけられるが、なぜそういえるのか。東アジア全域を見据えて説明する。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は12月7日(土)を予定しています。

講師紹介

高津 純也
川村学園女子大学教授
東京生まれ。博士(文学、東京大学)。専門分野は中国古代史。特に先秦〜前漢期諸政権の「国際」関係を研究。共著書として『論集 中国古代の文字と文化』(汲古書院)、『日中律令制の諸相』(東方書店)、『地下からの贈り物―新出土資料が語るいにしえの中国』(東方書店)などがある
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