ジャンル 現代社会と科学
早稲田校
ジャーナリストが語る紛争の深層
杉山 文彦(時事通信社解説委員、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所研究員)
曜日 | 金曜日 |
---|---|
時間 | 15:05~16:35 |
日程 |
全6回
・09月27日 ~
11月29日 (日程詳細) 09/27, 10/11, 10/18, 11/08, 11/22, 11/29 |
コード | 130713 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 17,820 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 20,493 |
目標
・国際ニュースについて理解を深める。
・紛争が起きている理由を深く知る。
・世界の動きと私たちの生活を結びつけて考える。
講義概要
日本は第2次世界大戦後、今日に至るまで長らく平和と安定を享受しています。けれども世界を見渡せば、紛争や社会問題に悩まされ続けている国・地域も数多くあります。それらの実情を私たちの生活と結び付けて考えることは、日本社会の今後を考える上でも、とても大切になるはずです。私は通信社のジャーナリストとして、これまでに途上国を中心に40カ国・地域以上で政治・軍事問題の取材に当たってきました。その中から、本講座ではパレスチナ、イラン、チベット・ウイグル、アフガニスタン、ミャンマー、フランスをとりあげ、各地をめぐる国際ニュースでは詳しく伝えられていない紛争の深層を探ってみたいと思います。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
---|---|---|---|
1 | 09/27 | パレスチナ悲劇の原点 | パレスチナ紛争の直接の原因は、実は宗教紛争ではなく、ユダヤ人による土地奪取の問題です。1948年のイスラエル建国で住みかを追われたパレスチナ人とその子孫は今や約600万人に上り、父祖の地へ戻ることが極めて難しくなっています。この紛争の歴史を詳細に追いながら、解決策を探ってみたいと思います。 |
2 | 10/11 | イラン女性の「革命」 | ペルシャ美人で知られるイランで2022年秋から「女性、命、自由」をスローガンに、従順だった女性も服装の自由を求めて、不服従運動に立ち上がりました。根底には、パーレビ王制打倒へ国民各層が結集した1979年のイラン革命の際、ホメイニ師ら宗教界の一部急進派が強引に宗教体制を樹立した問題があります。宗教体制がヒジャブ(イスラム女性のスカーフ)着用を強制し続けてきたことに、女性たちが耐え切れなくなっている実情をお話しします。 |
3 | 10/18 | チベット・ウイグルを覆う弾圧 | 中国が少数民族のチベット人とウイグル人に対する弾圧を続けています。中国政府は自分たちの意のままになる人物をチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の後継者に選ぼうとしているようです。ウイグルでは住民多数を強制収容所に送ったという国連の報告もあります。同化政策を強める習近平政権の下で少数民族は今後どうなるのかを考えます。 |
4 | 11/08 | 見過ごされたアフガニスタンの過激派 | 2001年9月11日、アメリカで発生した同時多発テロは世界中に未曽有の衝撃を与えました。こうしたテロの源流をたどるとアフガニスタンに行き着きます。このイスラム教国に1979年に侵攻したソ連軍と戦うためにサウジアラビアから現地入りしたウサマ・ビンラディンらが過激化し、1990年代から国際テロが頻発したのです。実は欧米や日本のジャーナリズムは当初、この新たな過激派の台頭の兆候を認識できていませんでした。なぜ、ビンラディンらの動向が見過ごされたのかを検証します。 |
5 | 11/22 | ミャンマー軍政の退潮と日本 | ミャンマーで2021年にアウンサンスーチー氏率いる民主政権をクーデターで打倒した国軍が2023年秋以降、少数民族と民主派が連携した反軍勢力の電撃作戦を受けて押され気味になっているとの見方が強まってきました。ところが、日本政府は相変わらず国軍との「対話」路線を続け、ミャンマーの若い世代から批判を浴びています。ミャンマーの現状と、日本の対応の課題について探ります。 |
6 | 11/29 | 文化大国フランスの矛盾 | フランスといえば、華やかな文化と芸術で知られるヨーロッパの主要国ですが、この国も近年、流血のテロに見舞われることがあります。背景には20世紀後半以降、中東やアフリカから大量に流入している民族や宗教の異なる移民が、フランス固有の文化にうまく適合できていない問題があります。外国人労働者の問題は最近日本でも難しい課題になっていますが、フランスの状況を知ることが日本にとっても参考になると思われます。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講日は12月6日を予定しております。
講師紹介
- 杉山 文彦
- 時事通信社解説委員、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所研究員
- 時事通信社のニューデリー特派員、カイロ特派員として、アフガニスタン内戦や中東情勢など途上国の問題を幅広く取材した経験がある。パリ支局長、外信部長、編集局総務を務めた。2016年から現職。編著に「世界テロリズム・マップ 憎しみの連鎖を断ち切るには」(平凡社新書)など。