ジャンル 人間の探求

オンライン

現代哲学の最前線

  • 秋講座

仲正 昌樹(金沢大学教授)

曜日 金曜日
時間 15:30~17:00
日程 全4回 ・09月27日 ~ 10月18日
(日程詳細)
09/27, 10/04, 10/11, 10/18
コード 730562
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 11,880
ビジター価格 受講料 ¥ 13,662

目標

・現代社会のアクチュアルな課題を哲学的に捉える視点を身に付ける。
・「哲学する」とはどういうことか考える。
・哲学が科学の発展や政治・社会の変化とどう関わるか理解を深める。

講義概要

現代社会が直面する課題を素材として取り上げ、それらにどのような意味があるか哲学的視点から考える。最初の二回では、比較的分かりやすい正義論や自己決定論など、法・政治に関するテーマを取り上げ、古代ギリシア以来、哲学がポリス(都市国家)に生きる人間とどう関係してきたか確認する。後の二回では、近代自然科学を基礎付けることを自らの役割としてきた近代哲学が、科学の発展に対応して、学問全体、そして社会における自らの位置付けをどのように変化させてきたか、科学哲学や心の哲学の最新の議論に基づいて考える。認知科学等の発展が哲学的「人間」理解に与えている影響や、AIや動物など非人間に対する倫理の問題も取り上げる。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 09/27 リベラルな正義論の動向 一九七〇年代にロールズの『正義論』によってリベラルな正義論が注目されるようになった時代的背景やその課題を概観したうえで、ロールズやドゥウォーキンなどの正義論の理論構成上の特徴、どのような社会を目指していたかを見ていく。リベラルな正義論に対抗する形で輪郭が明らかになってきたリバタリアニズムの議論、特にハイエクやノージックの正義論も視野に入れる。
2 10/04 自己決定をめぐる哲学的諸問題 自由主義的な社会の大前提とされる「自己決定権」とはそもそもどのような権利であるか、自己決定権をめぐる現代のアメリカや日本の法的議論と、自己決定論の先駆とされるジョン・スチュアート・ミルの議論を対照しながら明らかにしていく。「自己」とは何か自体が定かでなくなる極限的な事例をめぐるマッキノンやコーネルの議論を参照し、新型コロナをめぐる問題も視野に入れながら、「自己決定」とはそもそも何か考えていく。
3 10/11 動物とAIと倫理学 倫理学はアリストテレス以来、人間の社会的振る舞い、人間同士の関係を探求する学問であったが、他の動物や地球生態系に対する知識や関心の高まりと共に、動物倫理や環境倫理などの分野が発達した。また遺伝子研究の成果によって、人間の身体を改良することやクローンを産み出すこと、人間であるかどうかの境目が曖昧な存在も生み出すことも可能になりつつある。更に、AI研究によって、AIが人間の人格に似たものを持つ可能性も浮上してきた。そうした状況の中で、倫理・倫理学はどう変容していくか考える。
4 10/18 「人間」の再定義 古代ギリシアでは、「人間性」の本質は、他の市民に対して言語によって働きかける、コミュニケーション能力とされていた。その「人間」概念を拡張することで、近代のヒューマニズムが生まれてきた。しかし、「人間」と他の動物の差異をめぐる近年の研究や、インターネットにおけるディスコミュニケーションをめぐる問題、AIによる人間労働の代替などによって、「人間」の基盤が揺らいでいる。人間のコミュニケーション能力を擁護するアーレントやハーバマスの議論と、その限界を指摘するデリダやスローターダイクの議論を対比しながら、「人間性」とは何か改めて考える。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は10/25(金)を予定しています。
◆Zoomミーティングを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員】授業動画の視聴方法(会員向け)
【ビジター・法人会員】授業動画の視聴方法(ビジター・法人会員向け)

講師紹介

仲正 昌樹
金沢大学教授
東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修了(学術博士)。駒沢大学非常勤講師、金沢大学法学部助教授を経て現職。専門は政治思想史、法哲学、ドイツ文学。主な著書に、『集中講義!日本の現代思想』『悪と全体主義』『現代哲学の最前線』『現代哲学の論点』(以上、NHK出版)、『今こそアーレントを読み直す』『マックス・ウェーバーを読む』『ハイデガー哲学入門』(以上、講談社)、『ハンナ・アーレント「人間の条件」入門講義』『ドゥルーズ+ガタリ「アンチ・オイディプス」入門講義』『マルクス入門講義』『フーコー「性の歴史」入門講義』『ニーチェ入門講義』(以上、作品社)、『今こそハイエクに学べ』(春秋社)。
  • 外国語 コースレベル選択の目安
  • 広報誌「早稲田の杜」
  • オープンカレッジ友の店