ジャンル くらしと健康

中野校

手話―「日本語対応手話」と「日本手話」を学ぶ【継続】

  • 冬講座

鈴木 隆子(手話通訳士、日本語教師)

曜日 土曜日
時間 15:05~16:35
日程 全8回 ・01月11日 ~ 03月01日
(日程詳細)
01/11, 01/18, 01/25, 02/01, 02/08, 02/15, 02/22, 03/01
コード 340601
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 23,760
ビジター価格 受講料 ¥ 27,324

目標

・手話には「日本語対応手話」と「日本手話」があることを知る。
・聴覚障がい者には「ろう者」「難聴者」「中途失聴者」という方々がいることを知る。
・日本語の文法と比較しながら、手話を体系的に学ぶ。

講義概要

言語を学ぶときは、ネイティブスピーカーに習うのが良いと考えている方が、特に手話の世界には多いように思います。しかし「ナチュラルアプローチ」は1980年代中頃から、この理論に対する批判が多く出されているのです。なぜかというと、間違いが修正されずに「化石化」してしまうからです。「日本語」と「日本語対応手話」と「日本手話」とを十分に理解しないと、正しく訳すことはできません。「日本語」と「日本語対応手話」と「日本手話」それぞれがどのように異なるか、同じ日本語の文章を「日本語対応手話」と「日本手話」で表すとどうなるかをキチンと細かくご説明します。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/11 言語を学ぶときの基本的な知識 幼児が母語を『獲得』するのと、成人が第二言語を『習得』するのは根本的に異なります。その二つが違うことを知らないまま手話を教えている方がが多いようです。「母語を獲得する」のと「第二言語を習得する」のは異なるということを頭に入れてから、言語の勉強を始めましょう。
2 01/18 手話独特の表現「指さし」(1)&手話から日本語への訳し方 手話を学び始めて、とても難しいのは「指さし」です。日本人の聴者の社会では、「人を指さすのは失礼」と考えていますが、手話、特に日本手話の「指さし」をいったいどういう場面で使うのか、教わる機会がなかなかないと思います。ここではいくつかある「指さし」のルールの中から3つをご説明します。また、ろう者の使う「日本手話」を「日本語」に訳すときに、そのまま訳すととても変な日本語になってしまうので、どのように日本語に換えるかを練習します。
3 01/25 手話独特の表現「指さし」(2)&手話から日本語への訳し方 手話通訳歴20年以上の手話通訳者さんは、日本語対応手話を使う方が多いように思います。それは、当時の時代的背景によるもので、以前の手話講習会は「日本語対応手話」だけを教えていたからです。そのため、そういう方が講師をしている手話講習会では、日本手話を使う受講生さんが「指さし」を使うと、「なに、指さしてるの?」「とか「指さしが多くて目障り」などと言われてしまうことがあります。指さしの必要な場面について、正しく学びましょう。
4 02/01 手話独特の表現「指さし」(3)&手話から日本語への訳し方 日本手話独特の「指さし」について、どういうときに使うのかというルールを学ぶ3回目です。今まで何となく見よう見まねでおこなっていた「指さし」を、ルールを知ることによって、自信をもって表せるようにしましょう。また「そのまま表すと正しい日本語にならない日本手話」を自然な日本語に換える練習をしましょう
5 02/08 手話独特の表現「うなずき」(1)&手話から日本語への訳し方 「指さし」の他に、聴者の手話学習者を悩ませるのが「うなずき」です。「ろう者と交流すれば自然にできるようになる」などという迷信は捨てて、どういうときに「うなずき」をするのか、キチンとしたルールを学びましょう。また、読み取りの力の向上のために、手話から日本語へ訳す練習を続けます。
6 02/15 手話独特の表現「うなずき」(2)&手話から日本語への訳し方 地域の手話講習会などでは、受講生さんの手話表現について「ダラダラしている」「点(、)やマル(。)がハッキリしない」などと指摘をする講師が多いようです。ダラダラした表現にせず、句読点をハッキリ表すためには「うなずき」が必要です。日本語という音声言語にはない「うなずき」について学びましょう。
7 02/22 「〜になる」未来を表す手話表現&手話から日本語への訳し方 「そんなにお菓子を食べたら、太るよ」「台風の後は晴れになった」のような「未来」を表す手話表現について学びます。今までのこの手話の講座では動詞の「過去形」についてご説明してきましたが、今回初めて「未来」を表す手話表現の勉強をします。また、引き続き手話の読み取り力向上のために、手話から日本語に換える練習をします。
8 03/01 日本語の文型「〜ことになる」と「〜ことにする」&手話から日本語への訳し方 日本語でよく使われる「〜ことになる」と「〜ことにする」の意味の違いを確認し、手話表現を学びます。2008年から日本で一つの「聴覚障がい者のための手話でおこなう日本語講座」を開講し、指導していますが、「ことになる」と「ことにする」の違いを理解している聴覚障がい者は少ないようです。私たち日本人の聴者にとって日本語は「母語」なので考えなくても使い分けができますが、手話に訳す前に改めて日本語の意味と用法を理解しましょう。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆2024年度秋講座からの継続講座です。
◆前学期の復習から始めますので、新規の方も歓迎いたします。
◆テキストは不要です。講師の作成したプリントを配布します。
◆参考図書:『ろう者と聴者の懸け橋に:「手話通訳士」兼「日本語教師」の挑戦』(鈴木隆子著、大月書店)、『はじめてでもそのまま使える手話会話フレーズ228』(鈴木隆子監修、池田書店)をお読み頂くとより理解が深まります。

講師紹介

鈴木 隆子
手話通訳士、日本語教師
東京都武蔵野市吉祥寺出身。立教大学文学部英米文学科卒。大学時代は東京六大学野球のチアガール。手話通訳士・日本語教育能力検定試験に合格した日本語教師。宅建士の資格もあり。日本で唯一の「聴覚障がい者のための手話でおこなう日本語講座」を開講。外国人向けの日本語教育をもとにした独自の教授法で指導。著書は「ろう者と聴者の懸け橋に」「はじめてでも そのまま使える手話会話フレーズ228」等。手話通訳士であり、日本語教育能力検定試験に合格したプロの日本語教師として、自身の教室や大手企業などで聴覚障がい者に手話で「日本語の文法」「日本語の文型」「ビジネス講座」を指導している唯一の教師。

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