ジャンル 世界を知る

中野校

【対面+オンラインのハイブリッド】怪談から見る中国の歴史 幽霊や妖怪は中国人の社会と心を映す鏡であった

  • 冬講座

加藤 徹(明治大学教授)

曜日 火曜日
時間 10:40~12:10
日程 全5回 ・01月07日 ~ 02月04日
(日程詳細)
01/07, 01/14, 01/21, 01/28, 02/04
コード 340316
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 14,850
ビジター価格 受講料 ¥ 17,077

目標

・歴史の真実を知る面白さを学ぶ。
・現代と近未来の問題を歴史をヒントに考える。
・中国社会の特徴を理解することで、日本社会への教訓を得る。

講義概要

「怪談」は、その時代を生きる人々の不安や願望を映す鏡です。日本史では、中世まで怨霊といえば菅原道真とか平家とか貴族以上でした。江戸時代に「妖怪革命」(これは学者が使う学術用語)が起きると、妖怪は歌舞伎や浮世絵など民衆の娯楽の対象となり、また「お岩さん」のように社会的には無名の庶民の女性も怨霊になれるようになりました。その背景には、日本社会の歴史的な進化があります。中国の怪談はおよそ3千年の歴史がありますが、同様に、社会の進化や民衆の意識の変化を反映しています。豊富な図版や映像資料も使いつつ、中国史の予備知識のないかたにもわかりやすく解説します。テキスト・資料は講師が配布します。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/07 古代から六朝までの怪談 古代人は怪異を「本当にあったこと」と信じました。先秦時代の漢文古典に出てくる怪異譚から、六朝時代(3世紀〜6世紀)の志怪小説『捜神記』『捜神後記』までを取り上げ、乱世においてなぜ神仙思想や中国化した仏教が爆発的に広まったのか、その理由を中国の王朝の興亡史とからめて、わかりやすく説明します。
2 01/14 唐の怪談 7世紀に成立した唐は、シルクロードの異国情緒と貴族趣味が花開いた時代でした。『酉陽雑爼』や『宣室志』などの怪談集や、エロティックな『遊仙窟』、秘話実録的な『杜子春伝』、女性の怨念を描く『霍小玉伝』など多彩な伝奇小説(唐代伝奇)が誕生し、遣唐使を通じて日本にも大きな影響を与えました。「中国怪談のカンブリア大爆発」の背景となった唐の社会と歴史を含めて、わかりやすく解説します。
3 01/21 宋の怪談 10世紀に成立した宋王朝は、日本や西洋より数百年も早く「近世」(初期近代)を実現しました。合理的、科学的な思想が広まり、怪談を娯楽として楽しむ「妖怪革命」が日本より早く実現しました。『稽神録』『夷堅志』などの怪談集や、百科全書『太平広記』に載せる怪談の数々は、江戸時代の日本の落語家や講談師がネタの宝庫として活用しました。宋の社会の先進性や、日本の江戸時代のルーツは中国の宋であったという衝撃的な事実を、わかりやすく説明します。
4 01/28 明の怪談 14世紀に成立した明では、大衆文化が花開き、古典小説『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』『金瓶梅』などが続々と刊行されました。明の怪談集『輟耕録』や『剪灯新話』を読むと、明の時代は幽霊も大衆化が進み、サスペンスやミステリーの要素が洗練されていることがわかります。21世紀の日本人が読んでも面白い明の怪談を紹介しつつ、近世中国の歴史と社会についてもわかりやすく解説します。
5 02/04 清の怪談 17世紀から20世紀初頭まで続いた清は、最後の東洋的王朝でした。清の怪談は、社会と人間の本質を達観した文豪の手になる文学作品『聊斎志異』『池北偶談』『子不語』『閲微草堂筆記』など、非常に洗練されています。清は、満洲系の皇帝が圧倒的多数の漢民族を支配する征服王朝であり、清の文人は「文字の獄」など言論を理由に死刑になりかねない緊張感の中で生きていました。清の怪談の完成度の高さは、現実社会への発言の不自由さの裏返しでもあったのです。現代中国社会とも直結する清の社会の特徴について、怪談を紹介しつつ、わかりやすく解説します。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合、補講日は2月18日(火)を予定しております。
◆テキストはありません。教材はネット上に公開します。教室での対面受講者にはプリントを配付します。
◆あらかじめ、加藤徹著『貝と羊の中国人』(新潮新書)をお読みくださると、いっそう理解が深まると思います。
◆本講座は対面でもオンラインでも受講できるハイブリッド形式の講座です。 対面・オンラインのご都合のよい形式でご受講いただけます。
◆講師は中野校の教室で講義し、その講義がオンラインで同時配信されます。
◆対面で受講するときは、「受講証兼教室案内」に記載された教室へお越しください。「受講証兼教室案内」は通常の対面講座と同様に開講が確定してから送付されます。
◆オンラインで受講するときは、マイページからご受講ください。
◆オンラインでの受講を予定している方は、お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆本講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員・法人会員】授業動画の視聴方法(会員・法人会員向け)
【ビジター】授業動画の視聴方法(ビジター向け)
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講師紹介

加藤 徹
明治大学教授
1963年、東京生まれ。東京大学中文科を卒業後、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。文学修士。専門は京劇(中国の伝統演劇)。著書に『京劇』(中公叢書、2002年度サントリー学芸賞受賞)、『西太后』(中公新書、2005年)、『貝と羊の中国人』(新潮新書、2006年)、『漢文で知る中国』(NHK出版、2021年)その他がある。2025年4月よりNHKテレビ「中国語!ナビ」に出演中。
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