ジャンル 世界を知る

中野校

ロシア史の諸問題 帝国の拡大と教会・社会・ヨーロッパ

  • 冬講座

池本 今日子(大東文化大学教授)

曜日 水曜日
時間 10:40~12:10
日程 全4回 ・01月15日 ~ 02月12日
(日程詳細)
01/15, 01/22, 01/29, 02/12
コード 340304
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 11,880
ビジター価格 受講料 ¥ 13,662

目標

・ロシア史に対する理解を深める。
・ロシア外交の背景について理解を深める。
・ロシアの「南下政策」について理解する。

講義概要

ロシアのいわゆる「南下政策」は、確立された戦略であったわけではない。この「南下」はヨーロッパの大国との対立に至る可能性が高いが、一方で、ロシアは18世紀以降ヨーロッパ化と、ヨーロッパの確固たる尊敬される一員となることを目指していた。ロシアは19世紀前半にはヨーロッパでの地位を優先したが、ヨーロッパの大国としての安定した地位は獲得できなかった。後半の2回は、ロシア史を特徴づける正教会と国家、社会と国家の関係に目を転じる。国家の直接支配を受けていなかった時期の教会と外交との関係、世論が誕生した後の社会、ユーラシア主義・社会主義などイデオロギーと領土拡大のための戦争との関係を探る。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/15 エカテリーナ2世の「ギリシャ計画」 エカテリーナ2世はオーストリアのヨーゼフ2世に、オスマン帝国をともに分割し、孫のコンスタンティン大公にコンスタンティノープルを支配させる計画を提案した。ロシアが常にオスマン帝国への拡大を狙っていることを示すといわれる悪名高い計画だが、その真意はどこにあったのか。18世紀までのロシアの「南下政策」とヨーロッパとの関係を取り上げる。
2 01/22 「ロシアの南下政策」とヨーロッパ ナポレオンを諸大国と共に玉座から追ったロシアは、外交上、かつてないほどヨーロッパの国になった。1821年のギリシャの蜂起のきっかけは、アレクサンドル1世の副官の蜂起だった。オスマン帝国はムスリムに聖戦を指示し、総主教が処刑されたが、ロシアは、そのイメージに反して、ヨーロッパ協調を重視した政策がしばらく続く。ロシアはクリミア戦争で再びヨーロッパ諸国に攻め入られ、19世紀後半のロシア外交は黒海とバルカンを巡って迷走していった。ヨーロッパ協調ないしヨーロッパとの対立はロシアに何をもたらしたのか、もたらすのか。
3 01/29 領土拡大と正教会 帝政期に正教会は世俗権力の支配化に置かれたが、17世紀までの時代には国家と時に対立しながらも、これを支えた。20世紀にはロシア革命時とソ連の崩壊後に精神的支柱として復活を遂げたかにみえる。正教会は帝国の拡大とその統治にどのような役割を担ったのか。領土拡大に正教会が与えた(与えうる)影響について20世紀まで検討する。
4 02/12 外交と社会・イデオロギー ロシア革命後、ヨーロッパ主義か汎スラヴ主義かの二者択一ではない、ユーラシア主義が誕生した。ユーラシア主義は、今日プーチンがよりどころとするネオ・ユーラシア主義とどのような関係にあるのか。社会主義のイデオロギーは外交に影響を与えたのか。19世紀末から20世紀を中心に、社会と外交、イデオロギーと外交の関係を探る。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は2月19日を予定しています。

講師紹介

池本 今日子
大東文化大学教授
鎌倉市出身。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。早稲田大学、上智大学ほかでロシア史等の講師を経て現職。専門分野はロシア近世近代史。著作に『ロシア皇帝アレクサンドル一世の外交政策―ヨーロッパ構想と憲法』(風行社)ほか。政治外交史のほか記憶、宮廷、近世近代におけるロシアとヨーロッパの相違と関係に関心を持つ。

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