ジャンル 日本の歴史と文化

中野校

続日本紀巻十一・巻十二を読む

  • 冬講座

松尾 光(元早稲田大学講師、奈良県立万葉文化館名誉研究員)

曜日 金曜日
時間 13:10~14:40
日程 全8回 ・01月10日 ~ 02月28日
(日程詳細)
01/10, 01/17, 01/24, 01/31, 02/07, 02/14, 02/21, 02/28
コード 340201
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 23,760
ビジター価格 受講料 ¥ 27,324

目標

・日本の奈良時代史を叙述する上で、基礎的で根本的な歴史文献である『続日本紀』を扱います。
・日本の古代史料そのものをじかに読み、文字・記事の正確・厳密な理解の仕方と多様な解釈を学びます。
・史料の解読を通じて、古代社会では何が関心事とされていて、人々の姿がどのように描かれていたかを学び取ります。
・史料解釈の多様さとそれに起因する解読の難しさを、また記載内容の限界やその理由などを考えていきます。

講義概要

『続日本紀』のうちの漢文を基本の教材とします。書き下しや現代語訳だけでは、もともとそこにはどう書かれていたのか曖昧になるからです。古代史の叙述のもととなる記事が本当はどう書かれていたのか。確実な史料を手に持ちながら、古代史を読み解いていきましょう。とはいえ長編である『続日本紀』を全文読み通すには際限なく時間がかかりますので、講師が各巻から適宜数ケ条の記事を取り上げる、抜き読みの形で進めていきます。今回は『続日本紀』40巻のうち、藤原四子政権はできたものの、新羅・唐の関係が変化し、日本は新羅の外交姿勢の変化に戸惑います。しかし国内では未曾有の疫病が流行し、対応に苦しむという時代の記事です。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/10 『続日本紀』巻十一を読む①天平三年条まで 雅楽寮所属の楽生についてその定員が決められた。従来弾圧してきた政府と行基集団との間で和解が図られ、行基随行者の国への取り込みがはじまった。国内では畿内惣官が創設され、長屋王事件後の政界動揺に対する策が講じられた。
2 01/17 『続日本紀』巻十一を読む②天平四年条まで 新羅の入貢が三年に一度と決められ、新羅からは珍しい鳥やロバなどがつぎつぎ齎された。しかし中国の内乱にともなう国際情勢の変化があり、日本でもこれに対処するために節度使が配置された。
3 01/24 『続日本紀』巻十一を読む③天平五年条まで 国政の要である国司について、その交代の手続きが滞ったため、改善が必要になった。第九次遣唐使が中国に向けて出発、国内では出羽国の政務運営の安定化のための拠点として出羽柵を設置した。
4 01/31 『続日本紀』巻十一を読む④天平六年条まで 中央官庁ごとに地方に財源をもつ古い経営の形が残っていたのを、国司が一体的に運営できるよう官の出挙稲をすべて統合することとなった。都では朱雀門の前で歌垣が盛大に行われ、国際情勢の緊張に対応した節度使は廃止となった。
5 02/07 『続日本紀』巻十二を読む①天平七年条まで 新羅が王城国と自称し、従来の朝貢の形で下手に出てくる外交姿勢から変換した。吉備真備が帰国し、そのさい多分野にかかわる多数の文物を齎した。その一方で、大宰府に天然痘が流行り始めた。
6 02/14 『続日本紀』巻十二を読む②天平八年条まで 遣唐使の中臣名代が帰国し、日本仏教界の一時期を支える菩提僊那ら来日した。橘三千代の先夫の子である葛城王が氏姓を賜って橘氏となり、臣籍に降下した。やがて首班となり、一時代を導く橘諸兄の出現である。
7 02/21 『続日本紀』巻十二を読む③天平九年六月条まで 新羅使の帰国とともに天然痘があらためてもちこまれ、使者達の復命・奏上にともなって平城京内に齎された。そんななか、新羅との関係はさらに悪化し、日本は常礼を失すと非難するものの、受け容れようとしなかった。国内では陸奥と出羽の間に直通路を通し、一体的な蝦夷対策が施せるようになった。
8 02/28 『続日本紀』巻十二を読む④天平九年十二月条まで 人民の生活に悪影響があるという理由で、王臣家の出挙稲の運用を禁止させた。年内は天然痘が蔓延し、長門から駿河まで、病に斃れる人々についての報告が絶えない。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆教材となる漢文テキストには、新訂増補国史大系本を用い、当該部分のコピーを配布します。書き下しや現代語訳されている本は、初回の講座でご紹介します。必要と思われる方はご携行下さい。

講師紹介

松尾 光
元早稲田大学講師、奈良県立万葉文化館名誉研究員
1948年東京都生まれ。学習院大学大学院博士課程単位修了。博士(史学)。高岡市万葉歴史館主任研究員・姫路文学館学芸課長・万葉古代学研究所副所長など歴任。兼任で鶴見大学・中央大学・早稲田大学非常勤講師を務めた。日本古代史専攻。単著18冊。最近作は『飛鳥奈良時代史の研究』『古代政治史の死角』(花鳥社)。
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