ジャンル 文学の心
中野校
『平家物語』を読む 巻第一
清水 由美子(中央大学等講師)

曜日 | 火曜日 |
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時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全8回
・01月07日 ~
03月04日 (日程詳細) 01/07, 01/14, 01/21, 01/28, 02/04, 02/18, 02/25, 03/04 |
コード | 340109 |
定員 | 36名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 23,760 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 27,324 |
目標
・物語を丁寧に読み味わいます。
・物語世界全体に目を配り、その魅力を解説いたします。
・絵画作品などもご紹介し、『平家物語』の世界を味わいます。
講義概要
『平家物語』を、全体の構成や背景となる史実などに目を配りながら熟読し、その奧深い世界を味わうとともに、この物語を作り上げ、語り続けてきた日本人の心の奥底をのぞいていきます。今期は、巻一の冒頭からのスタートとなります。一緒に楽しく学びを深めていきましょう。毎回補助プリントを用いて、同時代史料・絵画資料・地図・系図も参照しながら、史実との関係、人物の描かれ方、合戦に関する知識などについてもわかりやすく解説します。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 01/07 | 『平家物語』概説 | 講義の初回は、『平家物語』の作者、成立年代、諸本、琵琶法師との関わり、などといった基礎的な事項をご紹介します。また、全体の大まかな内容も見ていきます。 |
2 | 01/14 | 巻一「祇園精舎」 | 『平家物語』の序章として人口に膾炙された「祇園精舎」の章段を読みます。本文を丁寧に読み、これまで交わされたこの章段についての議論をふり返りつつ、物語全体における位置づけも考えていきます。 |
3 | 01/21 | 巻一「殿上闇討」 | 物語の幕開けは、「祇園精舎」の章段で主人公として紹介された平清盛の父忠盛の物語です。平忠盛は、鳥羽院に得長寿院を寄進するなどして昇進し、ついに武士でありながら内裏に昇殿し殿上人になることを許されますが、それを嫉んだ貴族たちは闇討ちを計画します。忠実な部下の存在と自身の機転でそれを乗りきった忠盛を鳥羽院は称賛します。 |
4 | 01/28 | 巻一「鱸」「禿髪」「吾身栄花」 | 忠盛はその後も活躍し、歌人としても名声をはせ、その子清盛も急速に昇進を重ねます。その清盛が船で熊野に向かっていたときに、船に鱸が飛び込むということがあり、人々はそれを熊野権現の御利生で、清盛の栄華が熊野の神のご加護によることを実感したのでした。平氏の威勢はつのる一方で、清盛が都に禿髪と称する密偵を放ったことなどは、都の人々の批判を呼びましたが、平氏一門は繁栄を極め、全国の半分ほどを知行国とするほどでした。 |
5 | 02/04 | 巻一「祗王」その一 | しかし、一方、自らの栄華に奢った清盛は悪行を重ねます。その一つは、そのころ都で評判だった白拍子の祗王に対する振る舞いでした。祗王は清盛に気に入られ、恵まれた生活を送っていましたが、ある日やってきた若い白拍子の仏御前の出現が彼女の運命を暗転させます。 |
6 | 02/18 | 巻一「祗王」その二 | 仏御前を気に入った清盛は、祗王やその母たちを邸から追い出します。絶望した祗王は出家し嵯峨に庵を構えます。そこにあらわれたのはなんと仏御前でした。仏の出現によって真の仏道に導かれた祗王は、仏御前ともども修道生活を送り、極楽への徃生を果たします。 |
7 | 02/25 | 巻一「二代后」 | 乱世のなか、悪行を犯すのは清盛だけではありませんでした。鳥羽院崩御後、後白河院と二条天皇の対立が深まり、そうしたなかで、二条天皇は、後白河院や周囲の反対を押し切って、故近衛院の后だった多子を自らの后にしたのでした。 |
8 | 03/04 | 巻一「額打論」 | その二条天皇が崩御し、二歳の六条天皇が即位します。二条天皇の葬送の夜に、墓所の周囲にかける扁額について、延暦寺と興福寺のあいだで激しい争いが勃発します。世の乱れは仏教界にも及んでいたのでした。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆すでにお持ちの『平家物語』テキストがございましたら、そちらをご持参ください。その場合は指定テキストを新たに購入する必要はございません。
テキスト
テキスト
『平家物語 覚一本 全 改訂版』(武蔵野書院)(ISBN:978-4838606504)※ 上記以外でもお手持ちの『平家物語』があればそれをお持ちください。その場合は指定テキストを新たに購入する必要はございません。
講師紹介
- 清水 由美子
- 中央大学等講師
- 東京大学大学院人文社会系研究科日本文化研究専攻修了。同博士(文学)。中央大学、清泉女子大学、成蹊大学、学習院大学等講師。主な論書は『平家物語を繙く』(単著、若草書房)、『校訂延慶本平家物語 十二』(共著、汲古書院)、『日本の古典を見る 平家物語』(共著、世界文化社)など。