ジャンル 現代社会と科学

早稲田校

新聞・テレビは滅びるのか?―メディアの盛衰とジャーナリズムの行方

  • 冬講座

佐藤 吉雄(宮城大学客員教授、元朝日新聞社常務)

曜日 火曜日
時間 13:10~14:40
日程 全6回 ・01月21日 ~ 03月04日
(日程詳細)
01/21, 01/28, 02/04, 02/18, 02/25, 03/04
コード 140792
定員 31名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・マスメディアの歴史と役割、危機的な現状を知る。
・講師の体験を基に、報道、ジャーナリズムへの理解を深める。
・新聞、テレビが衰退するとどうなるか? その将来像も考える。

講義概要

ネット社会が深化する中で、日本のジャーナリズムを担ってきた新聞社の経営が危機に瀕しています。全国紙の部数は半減し、記者も減ってきました。新聞を追うようにテレビの視聴率も落ち、経営に揺らぎも見えます。事実を集めて真実に迫り、権力を監視するジャーナリズムは、志だけでは成り立たず、民主主義の基盤を脅かす危機が忍び寄ります。講師は朝日新聞の社会部記者、ニューヨーク特派員、編集長を経て朝日新聞デジタルを創刊し、テレビ局の社長も務めました。取材現場から経営の内幕まで、マスメディアの表も裏も熟知した体験をもとに、ジャーナリズムの本質に迫り、苦境に立つメディアの現実を紹介し、あわせてその将来像も考えます。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/21 マスコミは生き残れるのか?―メディアの盛衰と危機 社会のネット化、SNSの拡大でマスコミが窮地に陥っています。全国紙の部数は往時から半減し、記者の数も減少し始めました。テレビの視聴率も落ち、経営が右肩下がりになってきました。若い世代のマスコミ離れが危機を年ごとに深化させています。果たして打つ手はあるのでしょうか?
2 01/28 虫の目、鳥の目、記者の目―体験的ジャーナリズム論 虫の目で情報を集め、鳥の目で分析する。これが記者の目です。無数の事実を可能な限り集め、一つしかない真実に迫るのがジャーナリズムの本質です。現場での取材経験を基に、虫の目と鳥の目をどう生かして、実際に報道したのかを複数の事例から紹介し、記事やニュースを見る目を養います。
3 02/04 日本は二つの国で出来ている―東京と地方のメディア 東京一極集中は情報の世界でも進んでいますが、一皮剥けば首都圏は生活情報の過疎地帯ともいえ、身の回りのことがよくわかりません。コロナ禍が浮き彫りにした構造です。一方、地方のメディアは身近な情報の「取材密度」が高く、県がまるで独立国のようですが、ここでは危機が現実化しています。
4 02/18 テレビと報道―映像ニュース大国の行方 映像のインパクトが大きいテレビ報道。地上波だけで120以上の局がある日本は、世界有数の映像ニュース大国です。テレビ離れが進む中、取材経費がかさむ報道は経営の重荷でもあります。ニュース番組とワイドショーの垣根も低くなりました。民放経営の経験から、テレビと報道の現在と将来像を探ります。
5 02/25 ネットとジャーナリズム―新聞のデジタル化 日本で新聞のデジタル化はなぜ遅れたのか。「朝日新聞デジタル」の創刊をめぐる講師の経験から検証します。それは「イノベーションのジレンマ」の実例のようでした。一方で報道のデジタル化、ネット化の流れは加速し続け、データジャーナリズムが台頭し、NHKの「ネット必須業務化」も始まりました。
6 03/04 何が困る?  誰が担う? ―マスコミ衰退がもたらすもの トランプ氏の登場で深刻化するアメリカの「分裂」。その主役は新聞、テレビを見ない、信じない人たちです。マスコミ大国の米国で起きた現象ですが、日本では大丈夫でしょうか。ネット社会化がさらに進み、マスコミが衰退すると何が起きるのか? ジャーナリズムの将来も考えます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆この講座は2023年冬学期の同講師の講座(八丁堀校)に新しい知見を加えてアップデートしたものです。
◆ジャーナリズムを扱うため、内外の情勢により、内容を変更することがあります。

講師紹介

佐藤 吉雄
宮城大学客員教授、元朝日新聞社常務
東日本放送代表取締役社長(2016〜2022年)。事業構想大学院大学客員教授(2023年〜)。1980年に朝日新聞入社。社会部記者、ニューヨーク特派員、社会部遊軍長、名古屋報道センター長などを経て編集局長補佐(編集長)。92年に「メディア欄の創設」で日本新聞協会賞受賞。2011年に担当役員として「朝日新聞デジタル」を創刊、13年に常務取締役に就任し「朝日新聞メディアラボ」を創設した。東日本放送社長を退任後は、マスコミの表裏を知る立場からメディア研究、講義や講演など幅広く活動している。特定の持ち場を持たない遊軍記者の経験が長く、著書に「NHK」「精神病棟」「沖縄報告」など。
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